Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

泥沼香港

2014-10-05 01:19:44 | 時事
2017年に予定されている香港のトップ・行政長官を選出する方法で、中国の息のかかった推薦者による候補者しか認めない中国当局の決定に反発した人々による抗議行動が続いている。どのような収め方をするのか、現状では中国側はデモ隊を暴れすぎないほどに放置して、疲れを待って自然消滅を狙う作戦なのではないか。

当初は梁振英長官が北京に武力行使のお伺いをたてたが北京側に真っ向から否定された、との報道が出ていた。梁長官の統治能力に疑問符がつけられたようだが、習近平・国家主席(党総書記)が、「梁振英長官を信頼する」などとのコメントを出し、このような一部報道を否定、首はつながったようだ。

香港当局ナンバー2とデモ隊側の交渉を認めたのも、この日を期限に行政長官の辞任を求めていたことをうやむやにするためで、解決を求めたり譲歩をするつもりはまったくない。

デモ隊側は梁長官の辞任を求めているようだが、何の解決にもならない。香港のトップが、中国の国会にあたる全人代が決定した香港行政長官選挙の選出方法を変える権限などなく、もしデモ隊がそれで収まるなら、梁長官のクビを差し出してもいいかな、と中国側が考えていたのではないか、と思っていた。ただ、デモ隊の要求で香港トップが辞任すれば、中国側の面子は丸つぶれ。デモ隊に一歩も引かない態度が鮮明になったといえるだろう。梁長官の首は最後の切り札になるかもしれない。

ということで、3日になって温和な方法で活動していたデモ隊に喧嘩を吹っかけた反対派、と称する輩が、実は黒社会(暴力団組織)の一員らだと香港警察当局が発表した。当局側が裏に手を回したような気もする。人民日報の評論員論文が連日、香港で混乱が生じている、デモは違法活動だ、経済活動に大きな影響を与えている、などとネガティブキャンペーンを張り続け、大陸の読者、香港の無関心派らに訴えている。

国慶節の稼ぎどきなのに、大陸から香港への観光客をストップさせる措置もとり始めた。一番怖いのは香港の動きが大陸の若者に飛び火することだろう。

武力行使はもちろんできない。1989年の天安門事件の二の舞になる。幸いにしてデモ隊は穏健に活動しているので、突発的に衝突が起きる可能性は低いと思うが。

そもそも、香港の地方議会選挙などの投票率は10%台ときわめて低く、商売はするが政治に首を突っ込まない、というのが多くの香港市民のスタンスだ。政治活動をしているのは一部である、というのは間違いない。商売に不利になれば運動への支持は得られにくい。

今後は香港で経済的損失、違法、背後に英米がいてコントロールしている、などとのネガティブキャンペーンを張り続け、香港でデモ隊へのシンパシーを奪い、国際社会が目をそらすようになることように努めていくだろう。

習近平が「台湾にも一国二制度を適用」などと無責任な発言をしたが、この一国二制度に強い拒否反応を示していた台湾も注視している。大陸は香港や台湾がこの点に過敏になっていることを、まったく感じていないのだろう。民主的な手続きで長官を選ぶことの意味も、ただ1人1票で選挙をやらせればいいだろう、程度の民主観なのだと見られる。無神経で無感覚な発言なのだろう。もしこの時期に大陸の主張に台湾の国民党など親中派が乗るなら、年末の台北市長選をはじめとする選挙で、危機感を持った独立系、中間派の台湾市民の顰蹙を買い、大きな打撃を受けることになるだろう。国民党はそれを恐れて、馬英九が香港のデモを理解できる、などと発言している。香港の動きは台湾にも意味をもつものであり、北京はこの点でも解決が極めて難しい。