Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

中国台湾「一国両区」

2012-03-24 23:02:10 | 時事
台湾メディアの報道によると、中国訪問中の台湾の呉伯雄・国民党名誉主席が22日、中国共産党の胡錦濤総書記と会談、初めて直接「一国両区」の概念を示し法理基礎であると語った。独立派の民進党は「中華民国を売った」「中華民国は消滅する」「台湾は中華人民共和国の一地区になるのか」と強く批判している。呉名誉主席の発言に対し胡総書記は「中台両岸は統一に至っていないが、中国の領土と主権は分裂しておらず、大陸と台湾は同じくひとつの中国に属するという事実は変えることは出来ない」と答えてた。

そもそも、「一国両区」は、馬英九総統が2008年9月にメキシコの報道機関の取材に対して述べたもので、今回、呉名誉主席は馬総統に託されて、胡総書記に面と向かって「一中各表」(中国はひとつ、解釈はそれぞれ)の立場と「一国両区」の概念を伝えた、という。

台湾紙「中国時報」の社説には、「我々(台湾)が大陸に提出した一国両区の概念は、合憲合法であり、主流な民意に合致している。さらに重要なこととしては、我々は直接大陸に対して『もし大陸が中台両岸はひとつの中国に属している』(中国の解釈は各自の解釈に任せる)と台湾に受け入れてもらいたいと考えるなら、『一国両区』という中台の政治スタンスを受け入れなければならない」と書いている。
「中国時報」は、中華民国憲法は数々の改正を経ているが、すべて「ひとつの中国」の基礎の上に制定されている。それをうけて立法院は「台湾地区と大陸地区の人民関係条例」をつくり、「一国両区」の概念は憲法に記されている。
また、呉名誉主席が提示した「一国両区」は同時に、「九二共認(92年コンセンサス)、一中各表」を示したことになり、それぞれの表現に差異はあるといえども、求める方向は同じだ。九二共識は1月14日の総統選を経て多くの人民の支持を獲得した。現状を変えるものではない。
中国時報がこのように好意的に報じるのは、もちろん、台湾の多くのメディアが外省人に牛耳られた統一派の傾向の言論を持つからだ。

もちろん、かつて李登輝元総統が提唱した「両国論」や、陳水扁前総統の「一辺一国」とは正反対の考えであり、民進党に限らず「台湾が国連などの国際団体に加盟したり、世界各国と相互に大使(代表)を派遣しあったり、ということは台湾が永遠に中国から離脱するなどとする台湾独立分子の主張だろうか」と反発する書き込みも見られる。独立系のテレビ「民視」などは警鐘を鳴らしたようなニュースを流している。

限りなく中国が香港やマカオを特別行政区として抱えている考え方に近いのではないか。それを台湾側から「各表」「2つの政治実態」を認めてもらうための「善意」とするなら、自爆的行為なのではないか。

一方の中国側の報道は低調で、人民日報系の「環球時報」は台湾のメディアの報道を引用して呉伯雄の発言を紹介した上で、胡錦濤が「両党と両岸は引き続き強力に政治相互理解を進めることが、とりもなおさず今後も両岸関係が良好に発展する鍵であり、推進力になる。相互理解を深めるためには、九二共認を堅持し、台湾独立に反対することだ」との発言を紹介した。

さらに新華社などは呉伯雄が24日、河南省にある黄帝の故郷を訪れ、焼香したと写真付きで大きく報じている。黄帝は、神話上の中国を統一した最初の皇帝であり、中華民族の始祖だとしている。旧暦3月3日にあたるこの日に、黄帝が生まれ、後に都が定められた地とされる河南省新鄭市で、中国内外の中国系住民代表が参加し、儀式が開かれている。

この辺を強調して報道するのも、台湾にいる住民も「中華民族」である、という部分を強調するためだろう。台湾人は実際には「中国人ではなく台湾人」とのアイデンティティーを持ち、中台関係についても「現状維持」を支持するのが大多数だ、という現実に目を向けず、政治的に物事を解釈する大陸側の意図が見える。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。