Takepuのブログ

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胡錦濤は軍事委主席も引退か?

2012-11-13 02:23:09 | 時事
香港英字紙サウスチャイナ・モーニングポストは12日、現在開催中の中国共産党第18回党大会(十八大)を最後に総書記職を習近平国家副主席に譲る胡錦濤総書記(国家主席)が、軍トップの中央軍事委員会主席に留任しない、と報じた。過去、小平は軍事委員会主席のポストだけは手放さなかった。これにならったのか、江沢民前総書記は、胡錦濤に総書記職を譲った後も2年間は軍事委主席に居座り、影響力を行使していた。軍や党の人事がおおむね胡錦濤ら団派の思惑通りになったことから、中央軍委主席にも江沢民と同様2年間程度留任し、習近平政権で院政を敷くのでは、と見られていた。
夏頃には、自らの人事を貫くため、腹心の李克強・副首相(次期政権で首相になる見込み)が軍事委副主席になるなら、胡錦濤は自ら中央軍事委主席職にはとどまるつもりはない、と表明していた、との報道もあった。その後、薄煕来前重慶市党委書記の処分問題などで党内のイニシアチブを握ったとして、腹心が中央軍事委の秘書職になるだとか、軍事委副主席人事が事前に決まり、胡錦濤の腹心の空軍司令官が抜擢されたなどの情報から、軍事委主席職にもとどまる、というのが大方の観測だった。

サウスチャイナは江沢民の十年間前の先例を打ち破り、20年来で初めて中国共産党指導部の全面権力移譲で、アナリストたちもびっくりしている、としている。

来年3月の全国人民代表大会(全人代)で国家主席職を習近平氏に譲ることで中国の党・政府の最高指導者の地位は完全に習近平氏に移ることになる。

一方で、ブルームバーグのサイトは12日、習近平氏は総書記職に就いた後も2年間は軍事委主席になれない、と報じた。その理由として、尖閣諸島を巡る日本との緊張や、米国との緊張関係が続き、中国の圧力が弱まることを懸念しているためだ、としている。

胡耀邦を最後に党主席職が廃止され、胡耀邦が党総書記になった後も、党主席や国家主席でもない小平が1981年から89年11月まで党中央軍事委主席を手放さなかったのは、中央軍事委主席こそが「陰の党主席」だとの見方がある。「政権は銃口から生まれる」という毛沢東の言葉をみるまでもなく、最高権力は軍権だというのが中国共産党の考えだ。

総書記は党中央書記処を束ねる役割であり、党全体を束ねる党主席とは意味が違う。毛沢東の職であった党主席を華国鋒や胡耀邦が便宜的に継承しても、胡耀邦時代に党主席職を廃止し、胡耀邦を総書記にしたあと、中央軍事委主席の職を手放さなかった小平こそが「陰の党主席」と見て良いと思う。

ということで、軍事委は共産党と政府の両方にある組織だが、人民解放軍が「党の軍隊」であることからも、もし十八大で習近平・党中央軍事主席が誕生したなら、来年3月の全人代で政府の軍事委主席が交代するのを待たずに、軍トップになったと考えて良いだろう。

胡錦濤が軍事委主席を手放すかどうか。当たるも八卦当たらぬも八卦だが、15日には答えが出るだろう。