わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

「パジャマゲーム」もう少し語りたい

2017年10月27日 | 観劇記
東京公演が終わってしまい、今は大阪で公演中。その大阪公演もあと数回を残すばかりですね。
Twitterでの呟きを眺めながら、皆さんマニアックだなぁとクスクス。
ただ、私自身はリピートすることもありますが、一度しか観劇しない人が多いので、何度も観ると楽しいという舞台は評価しません。(「何度も観たくなる」は勿論大歓迎です。)
でも、何度も観たからついつい言いたくなるし、マニアックなファンに仲間入りしたくなってしまうのです。
2度目を観たとき、香盤表作ったら楽しいだろうなぁ、と思ったのですが、拠り所にするものがパンフレットにないのです。開幕しばらくして、ホームページ上にナンバーが発表になりました。パンフにこれがあれば作れたかもしれません。でも、もう、「太平洋序曲」の時のようなパワーはないですね。十数年前の話ですから・・・年を重ねました・・・
でも、ついつい、香盤表を作るなら・・・と変なところを観察(観劇ではない)私がいました(苦笑)。

さて、前置きはこれぐらいにして、書き残したいことを気ままに書こう、の勢いで書いていきます!!!

最初の場面で、男優さんがミシン台を飛び越す場面があります。公開稽古の映像にあったのですが、こんないい場面公開しちゃうのね、と思いましたし、怖いなあとも思いました。見るたびにしびれました。東京千秋楽まで本当にケガなく、良かった、と思う場面でした。
大阪もどうかケガのないようにと祈っています。

ケガなくと言えば、盆がないのに回り舞台のようなセットなので、躍動感あふれる舞台ではあるのですが、ヒヤっとすることも。
ある時、ハスラー社長が階段を上っているときに、あっ、こけた?と思ったら、シド工場長も危うく段ボール箱を落としそうになっていました。どうやら、上に着いたら止まることになっているはずが階段の途中なのに止まったようでした。
いろいろなタイミングでセットは回っていますが、階段を上る時は、セットが先に回り始めていてそこに乗っていくようですね。遥か昔に聞いた、慣性の法則、でスムーズにキャストの皆さんが動いているんですよね。
かなり前方に座ったときに、ピクニックナイフ投げの場面とかキャストの皆さんの反応の声が聞こえるのです。それで、セット回すときに掛け声とかあるのかなあ?と耳と目にこのうえない集中力を与えたのですが、収穫なし。つまり、音楽やセリフで動き出しを決めているんでしょうね。ダンスリーダー(青山航士さん)がいらっしゃるように、これもリーダーがいらっしゃったのかな?(逞しいのでついつい目が行ってしまう神谷直樹さん?)収穫あったとしたら、止める力もかけている場面も結構あったことかな。ついつい動かし始めには注目しますが、止める頃はお話が進んでいますので、ついそちらに気持ちが行ってしまっていました。押すより引く方が大変なんだろうなあ、と。で、ストッパー押して。止めるのはあまり注目していないのに、なぜかストッパーを押すしぐさは注目していたのですよね。目が二つしかないから、すべてを見るのは難しいのですよ、苦笑。
装置を動かすほうも大変だけど、動いていたことすら観客に感じさせない装置上の役者の皆さん、そして演出が素晴らしいなぁと思いました。
装置を動かすといえば、何よりヘルナンドス・ハイダウェイの場面、若手男優さん総出でビアノ2台乗った盆を回すのですが、とてもステキ。アップライト・ピアノとはいえ、300キロ近い重さがあるのが2台。600キロをあの速さで回す!!!!!あそこでピアノを登場させるのもステキなんだけれど、回っている・・・感動!!!
この場面は、もうお話も終盤ということで、いろいろなことが起きているのです。ところがちょっと暗め。ついつい何度も観たくなってしまう場面です。
でも、大筋は主要人物を見つめていればちゃんと進むので、初見の方も大丈夫です。

この「装置動かし」に気を取られるようになると、いわゆるヌマの淵にたたずんでいる感じでしょうか(苦笑)
トム・サザーランドさんの演出は、役者を袖に捌けさせない、が原則なのかと思っています。
装置動かしは突然舞台に出てきて動かすわけではないんですよね。自然に、そのあたりにいて、いろいろやっているの。なにしゃべっているのかなぁ、でも、あんまり楽しいこと話していると、きっかけ、遅れちゃうだろうしなぁ。
観劇ではなく、観察に近づいていますね・・・
ああいう演出だから、カンパニーの一体感がものすごく出るんでしょうね。
(「グランドホテル」も基本は舞台の奥の椅子にいることになっていたのですよね。ホテルだからいつも人がいるという設定。)

演出と言えば、「恋なんてしてない」をグラディスが引き継いで歌いながら場面転換するところも、自然な流れを大切にしていていいなぁと思うのです。同じ曲なのに、アレンジが違うと空気が涼しくなるのですよね。いつも、すごくおしゃれな転換だと思っていました。

最初のミシン台飛び越しも、ピアノ回しもしびれると言うか、ゾクゾクする場面ではあったのですが、私、自分が意外なところに目が釘付けになっていることに、ある日気が付きました。
それは、シドが背広の上着を着る仕草。中でも、上着着て、最後にYシャツの袖を引っ張るところとか、すごくいいなあって。
上着着るのは演出なのだと思いますが、シャツの袖を引っ張るのは、ご本人の癖?
ええ、新納さんについてあまり語っていませんでしたけど、こうしてちゃんと見つめていましたよ。
チャーリーへの思い入れが大きいのは確か。でも、役者さんとしては新納さんの方がたくさんの舞台を拝見しています。それだけにいろいろ思うことがありすぎて、言葉に出来ない感じでした。
新納さんは、見た目、とてもステキで、立ち姿も非の打ちどころがないのです。でも、動くと脆いというか、弱いというか、もっと自分を信じようよ、と声かけして差し上げたくなる感じでした。でも、今回のシドは、「自信」を感じました。歌も素晴らしいし、演技もどこにいても、いつでも「シド」でした。そしてセリフにしても歌にしても声の厚みが増したなぁと。
シドは、一人で舞台にいることも多いし、ソロも多い。だから、迷いがあると舞台全体が崩れてしまうと思うのです。「ブルー・タウン」はとても不安定な音の運びなのですが、安心して、というかあの時のシドの心情に寄り添うことができる歌唱でした。「ねえきみ」もしっとりと、よいですねえ。

正直、大好きな、特に歌声が大好きな佐山陽規さんがあまり歌わないにもかかわらず、なんでまた観たくなるのか?自問自答していました。答えは、キャストの皆様が佐山さんの歌声に匹敵する素晴らしい歌の数々を聞かせて下さるから、でしょう。そして、本当にストレスがありません。こんなこと言っては何ですが、「ええ、どうしてこの役者さんがこの役???まあ、あの役者さんがステキだからこの役者さんには目をつぶろう」と妥協しながら、プラスマイナスしながら、プラスに傾くとリピートしているわけです。この「パジャマゲーム」にはそういうストレスがありません。もちろん、細かいことを言えば、話の展開が強引なところもあります。でも、限られた時間の中でのこと。その強引にところは、観客の想像力を掻き立てるためにあると思えば、本当に楽しいです。それに、東京の半ばごろから、サイドストーリーの想像力を掻き立てるような小芝居(演技の充実)が随所に見られるようになりました。厳しく言えば、初日からやって頂きたいのですが、観客の反応が変化をもたらしているのかもしれませんから、日々変化するのは仕方のないことなのでしょうね。

まあ、いろいろ言ってみても、本当に楽しい舞台でした。
新納さんの言うように、「頭、パッカーン」で楽しめる舞台です。
でも、楽しいだけではなくて、歌、ダンス、演技、そして、演出、振付、装置、衣装、音楽どれをとっても素晴らしくて、観れば観るほど、また、観たくなる、刺激と安心感が同居している舞台でした。
大阪での大千秋楽までもうすぐですが、多くの方に観劇して頂きたいですね。

書き残したいことを気ままに書こう、の勢いで書いたとはいえ、支離滅裂。大変失礼いたしました。それでは、また。




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