わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

マリー・アントワネット

2006年11月01日 | 観劇記
初日!観劇してきました。
感想を書くつもりなのですが、少々酔っ払っていまして・・・と自覚しているので多分酔いはさめつつあるのですが、どう考えても二人で飲むお酒の量ではなかったような・・・反省しています。でも、そのおかげで各分野の演劇話に花が咲きました。

気を引き締めて本題の「マリー・アントワネット」についてです。
初日を帝国劇場で観て来ました。下手の結構後ろだったのですが、(コンタクトレンズをしてですが)私の視力がこんなによいとはびっくりしました。それほど、自分が注目しているキャストの皆様の演技が素晴らしかったと言うことだと思います。

が、作品として、舞台として、どうであったか・・・
私は、たとえ多くの人が素晴らしいと言っても、自分の中でだめとなればだめなのです。そして逆もあります。
しかし、この「マリー・アントワネット」は自分の中で決められないのです。勿論、初日であることを考慮しても、です。
もしかしたら、二度観たらすごくしっくりするかもしれないと思う場面がたくさんあるのです。それは、その場面が後の場面の前振りになっているからで、そういうところがとても多いのです。また、ある程度、遠藤周作さんの原作や「ベルばら」、そしてあの時代の歴史を知っていればより楽しめるのではないかという気もするのです。
初日は、キャストも観客も探りあいのようなところがありますので、これからを楽しみにしたいと思います。

ただ、残念と言えばショー・ストップするようなナンバーが主役にないという点でしょうか。

あらすじは、史実ですので書きません。遠藤氏の原作にも添っています。
そこでキャストへの感想を少しずつ。役名については、東宝のHPなどをご覧下さい。感想に混じって、舞台の内容にも踏み込みますので、知りたくない方はここで読み終わりとして下さい。

涼風さん。
一幕のわがままさに、ちょっと引きましたが、二幕は本当に素晴らしかったです。タイトル・ロールとはこういう演技を言うのだと思いました。歌も、いつもと変わらず安定していました。初日でここまで落ち着いて歌えるのであれば、今後はますます期待してしまいます。

石川さん。
ルイ16世をこういう風に演じられるのは、石川さんしかいないと思いました。とても情けないのですが、やはり王であることを漂わせる素晴らしい演技でした。
先程、ショー・ストップの曲がないといいましたが、「もしも鍛冶屋なら」は素晴らしいナンバーでした。私は絶対王制の王も時代の被害者であると思っています。その思いが共感できるナンバーでした。

井上さん。
実は、子供の頃からへそ曲がりだったので、私は「ベルばら」の中でフェルセンがとても好きでした。まあ、当初は彼の存在の本当の意味はわからなかったのですが、カッコよかったのです。優柔不断でもありますが、一人の人間、男であるとか女であるとかに関係なく、ここまで愛せるのかというその設定に心惹かれていたのだと思います。
そして、この舞台のフェルセンもまさに私が惹かれる愛を貫きます。井上さんは、その愛を歌い上げ、演技でマリー・アントワネットを包み込んでいました。素晴らしいフェルセンであったと思います。フェルセンの歌うナンバーはどれもステキです。

山路さん、山口さん。
と併記したわけですが、歌はそれなりでした。が、最後の肝心の場面で、山口さんの歌詞が聞き取れず、ものすごく残念でした。キー・ワードを歌っていると思いますので。
2人必要だったのか。どちらかに絞った方が、舞台としてはしまったと私は思いました。

新妻さん。
涼風さんと逆で、一幕はとてもいいです。が、二幕はどうでしょうか。心の動きが表現しきれていないと思いました。緊張していたのかと思いますが、マルグリットが一つの面しか見ていないときに思ったこと、そして視野が広がったときに感じたことが違うのだということをもう少し明確にして欲しいですね。歌は安定していますが、まだまだ感情を、マルグリットという人間の成長を入れ込みながら歌うには至っていないと感じました。

土居さん。
いつも、どの舞台も素晴らしい歌と演技で私を魅了して下さる方です。とても安心して舞台を拝見できる女優であると思っています。しかし、今日はさすがの土居さんも緊張のご様子。新妻さんの緊張が伝染したのではという感じでした。もっともっと歌に感情を入れることの出来る方ですので、今後に期待したいです。

春風さん、林さん、tekkanさん。
見せ所はあります。が、ちょっと勿体無い感じです。感情を乗せるとか、そういう場面はありません。
林さんはロアン大司教も演じられるのですが、この役柄が関連する「首飾り事件」の取り上げ方は難しいです。遠藤氏の原作には相当の分量がこの事件に割かれています。ここを割愛するのはヨーロッパではとても重大な事件だったので、説明なしでも「首飾り事件」の一言ですむからではないかと思いました。そして、この事件の後ロアン大司教が無罪を勝ち取ることにものすごい意味があるのですが、舞台だけではなかなか理解しがたい部分だと思うのです。まあ、この話しだけで映画も出来るぐらいですから、本当に難しいのです。

こんな感じでしょうか?
やはり内容に結構踏み込んでしまいました。

これで、終わりではありませんよ。やはり、「太平洋序曲」のメンバーは私にとって特別な思いがあります。製作発表参加にチャレンジしたのも、佐山さんや広田さんのご活躍を楽しみにしていたからです。

広田さん。
べメールという宝石商では、あまり歌はありませんが存在感はあります。その前に、オルレアン公の舞踏会での台詞も広田さんだったと思います。
話しをもどしてべメールですが、首飾り事件の中心人物なのですから、事件が発覚したときにもう一押しあってもよいのではと思いました。事実はどうであれ、あの事件でアントワネットは地獄へおちていくのですから。
最後の方で、エベールという新聞記者を演じられます。アントワネットがある卑劣な行為をしたと糾弾し、彼女を断頭台へと送るのです。革命派にとってはすごいいい情報ですが、あまりにむごい内容です。広田さんの口からは聞きたくなかったかも・・・。まあ、役の上のことですから、仕方ないのです。こちらは、迫力満点でした。本当に狂気を感じさせて下さいます。

佐山さん。
本当に久しぶりの帝劇へのご登場です。ギヨタン博士を演じることはわかっていました。が、最初にこの帝劇で響いた歌声は違いました。貧しい民衆の一人として「もう無くすものはない」でした。7、8人で歌われる歌ですが、「あっ、佐山さんの声」とすぐにわかりました。やはり佐山さんのお声が入ってくると、歌に厚みが増します。実は、お姿より、声に先に反応したので、ファンとしてはちょっと失格かも・・・。でも、暗い場面でしたから、仕方なかったことにしておきたいと思います。その後も、この杖をついた老人として演じる場面が続きます。相変わらず、きめ細かい演技で、暗い中でもひきつけられていました。
そして、ギヨタン博士。MA公式ブログのインタビューで、「ちょっと変わった場面」とおっしゃっていたので、楽しみというか、ちょっと怖いというか、待ちきれない思いでした。
そして、ついにその場面がやってきました。
確かに、変わっています!!!ルイ16世の石川さんとギヨタン博士の佐山さんのとてもとても不思議な世界です。
この場面は、あとあとのギロチンやルイ16世の歌の伏線となっていくのです。ですから、リピートすると何だかとても心に残る場面になっていくのではないかと感じました。が、一度しか観劇しない観客のためには、この場面は、ラパン夫人の刑の後に入れ込んだ方が印象的だと思ったのです。そうした方が鞭打ちより(この時代はもっと残酷な刑がありました)ギロチンが人道的であるという、狂気がさらに伝わったのではないでしょうか。
佐山さんは最後に、アントワネットの裁判の場面で裁判官の声を担当なさいます。素晴らしい歌声です。劇場の後ろの方から聞こえてきますので、臨場感溢れます。

少し書くつもりが、書き出したらこんなに書き綴ってしまいました。
ということは、いろいろ感じることがある舞台だったということなのです。また、少し時間を空けて、観劇する予定です。

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