2014/05/31
「沙本比売の御子本牟智和気父親の垂仁天皇に育てられたり()」
「御子つれて舟遊びするその舟を尾張の相津の木で作りたり
(1 尾張の相津にあった二股に別れていた杉の木から二股の丸木舟を作った:
,2 大和の市師池や軽池に浮かべて遊んだ:
)」
「この御子は長い顎髭胸元に垂れ下がるまで話せなかった
(01 あるときに空高く飛ぶ白鳥を見て口パクをする御子なりし:
,02 山辺の大鷹遣わせその鳥を捕まえるように命じなされり:
,03 大鷹は白鳥を追うあちこちに和那美之水門でついに捕らえり:
・木の国
・針間の国
・因幡の国
・旦波の国
・但馬の国
・近江の国
・美濃の国
・尾張の国
・信濃の国
・高志の国<和那美之水門>
,04 天皇は御子がその鳥見てしゃべる期待をすれど元と変わらず:
)」
「天皇は悩み寝たれば夢の中誰かが出でてわが宮祀れと
(01 わが宮を整えあなたの宮のごと祀れば御子は話し始める:
,02 太占で占い神の正体を探ればそれは出雲大神:
,03 その御子を出雲に遣わし祀らんと従者探せり占いにより:
,04 占いで曙立王アケタツノミコが選ばれて王ミコに命じて誓約をさせる:[誓約]大神を拝むがよけりゃ池の鷺誓約によりて木から落ちよと
,05 誓約にて鷺が地に落ち死にましたその逆にもまた真実になる:誓約にて死んだ鷺たち生き返れ言えば再び生き返りたり
,06 甘樫の丘の樫の木枯らしたり繁茂させたり思いのままに:天皇は曙立つ王に感心し特別の名を賜りました[倭者師木登美朝倉曙立王ヤマトノシキトミトヨアサクラアケタツノミコ]
)」
「曙立アケタツと菟上ウナカミの王ミコお供して出掛ける前に占いをせり
(1 那良戸から出立すれば跛アシナエや盲メシイに出合い縁起が悪い:大和国と山代国の間にある奈良山越えの入口
,2 大坂戸から出掛けるも跛アシナエや盲メシイに出合い縁起が悪い:大和国と河内国の間にある大坂山越えの入口
,3 ただ木戸は障りはなくて縁起よい入口なりとそこから出でる:大和国と紀伊国の間にある真土山越えの入口
)」
「木戸出でて土地ごと定む品遅部を出雲へ行ける道の途中に()」
「出雲にて大神拝み帰るとき斐伊川の中仮宮建てる
(1 曙立ら斐伊川の中皮付きの丸太の橋で仮宮建てる:
,2 岐比佐都美キヒサツミ[出雲国造の祖]斐伊川下に青山を作り大御饌奉りたり:
,3 その時にしゃべれぬ御子が口開き出雲大神のことを聞きたり:青山は山ではなくてイワクマの曾宮にあれる神[葦原色許男大神=大国主]祀るとこ?
,4 伴の王ミコ御子が話すを喜びて早馬を駆り都に伝う:アジマキの長穂宮に移した後天皇に報告
,5 話したる御子は一晩肥長比売と交わりたれど見れば蛇なり:
,6 驚いて逃げれど比売は悲しみて海照らしては舟で追い来る:
,7 御子はまた驚き山が低いとこ舟あげ陸をまた逃げし:
)」
「曙立アケタツと菟上ウナカミの王ミコ都へと帰り天皇に報告をする
(1 大神を拝みしことでその御子が言葉を話せる次第を述べる:
,2 天皇は喜び聞いて菟上ウナカミを出雲の神の宮造らせる:
,3 天皇は話した御子の記念にと鳥取部等の部民定める:鳥取部+鳥甘部トリカイ+品遅部+大湯坐オオユエ+若湯坐を定めた
)」
2014/05/28
宝島社新書で「大麻と古代日本の神々」出口博著を読んだ。本著では忌部氏の家伝である「古語拾遺」にスポットライトが当てられている。
この本は、忌部氏が斎部と改字した四年後の平城天皇の大同二年(807)に斎部広成によって書かれたものだが、家伝であるので古事記の記述からは少し細かく祖先神のこと、祭祀のことが書かれている。
少しつまんでみようとネットで調べて、独自の現代語訳をしてみようとトライしたが、難しいのでテキストが必要と言うことがわかった。いずれ岩波文庫を探しに行くが、簡単に概観してみる。
古語拾遺の中には、アマテラスの岩戸隠れでのどんちゃん騒ぎ(いろいろな祭祀の原点がある)のことや、天孫の始祖である瓊瓊杵のことや、高皇産霊神の子である天の忍日命(大伴氏の祖)や天の太玉命(忌部氏の祖)のことが書かれている。
天の太玉命は天富命、天日鷲命等を子孫に持つが、古事記にはこれらの神は出てこない。しかし、国家建設に一役買っていた忌部氏は麻栽培に力を入れていた。四国の阿波と南房総の安房は、忌部氏の足跡が残っている。忌部氏は幻覚性大麻を知っていて、その植生を求めて四国から安房まで移動した。シャーマンの神がかりには、この幻覚性大麻が何らかの方法で使われていたと言われている。このへんの事実には、松本清張も興味を持っていて「火の路」や「眩人」などで書いているらしい。
いずれにしても、面白そうなのでしっかりしたテキストで、「古語拾遺」を読んでみようと考えている。
2014/05/27
「稲城へと入る后は孕みたりそのため囲みを急には攻めず
(1 沙本毘米を三年も可愛がってきた:
,2 稲城で逗留する間に御子が産まれた:
,3 御子を稲城の外に出して天皇に言う:自分の子だと思うなら養育をしてほしいと
,4 沙本毘古は恨むが后はいとおしい:
)」
「天皇は兄を怨めど妹の沙本毘売愛し取り返さんとす
(1 強者モサの中に敏捷なるを選びては御子取るときに母も取れよと:髪であれ御手でありても掴めるは何でもよけれ取りて引き出せ
,2 沙本比売は情ココロを知ってあらかじめ対策をして逃げる準備を:
・髪を剃ってその髪でかづらを作って被り
・玉の緒の紐を腐らせて切れやすくして手首に三重に巻いて
・酒で衣服を腐らせて破けやすいようにした服を着て
,3 かくのごと準備をしてはその御子を稲城の外にさし出でましき:
,4 強者モサたちは御子受け取ってその母をとらえんとせど捕まえられず:
,5 天皇に報告すれば悔い恨み玉造たちに罰を与えり:『ところ得ぬ玉作り』なる諺はこのとき罰で土地を取られり
)」
「天皇は『子の名は母親オヤがつけるもの、この子の御名をいかにせん』とぞ()」
「稲城焼く火中に生れしそのゆえに『本牟智和気』とぞ申すべし()」
「天皇は子育て妻をいかにせん沙本比売に聞くどうしましょうと
(1 育てかた:乳母と風呂に入れる女をつけて
,2 夫の世話:旦波の比古多多須美智宇斯の王の女で兄比売、弟比売を使えばいいと
,3 こうして沙本毘古の王を殺された:同母妹の沙本比売も殉死した
)」
2014/05/24
「沙本毘目が后となりしときに聞く『夫セと兄イロセとのいずれを愛ハしき』と(沙本毘古が妹の沙本毘売に)」
「沙本毘売は迷いたれどもしかたなく『兄イロセを愛し』と答えたまえり()」
「沙本毘古は謀りて曰く汝と吾でこの天の下治めようとぞ
(1 八塩折紐小刀を妹イロモにと授けてこれで夫を刺せと:
,2 天皇はあるとき后の膝枕寝ていたときに刺されんとする:
,3 小刀で三度刺さんとしたけれど哀しく思い涙を落とす:
,4 天皇は驚き起きて沙本毘売に尋ねて言うに夢の話を:
・沙本[佐保]の方から暴雨が降って私の顔を濡らした
・錦色の蛇がわたしの首にまとわりついた
,5 こんな夢みたがこれは何をさす:
,6 嘘ついてごまかすことはできないと本当のこと話してしまう:
,7 刺さんとしあなたに叛く謀ハカリゴトあなたは不安で夢を見られし:)」
「天皇は欺かれたと軍興し沙本毘古の王撃ちにいきたり()」
「沙本毘古は稲城を作り待ち構えいよいよ戦始まらんとす()」
「沙本毘売は兄を思いて後しろから逃げでて稲城に入りたまう()」
2014/05/23
「天皇の伊佐知の命は師木にある玉垣の宮で世を治めたり(伊玖米入日子伊佐知の命)」
「伊佐知には后妃が多く皇子女も十六人と繁栄したり
(1 佐波遅比売[沙本毘古の命の妹]に娶ひ:
1-1品牟都和気の命
,2 氷羽州比売の命[旦波の比古多多須美知の宇斯の王の女]に娶ひ:
・2-1印色の入日古の命
・2-2大帯日古淤斯呂和気の命
・2-3大中津日子の命
・2-4倭比売の命
・2-5若木入日子の命
,3 沼羽田の入毘売の命[氷羽根州比売の命の弟]に娶ひて:
・3-1沼帯別の命
・3-2伊賀帯日子の命
,4 阿耶美の伊理毘売の命[沼羽田の入比売の命の弟]に娶ひて:
・4-1伊許婆夜和気の命
・4-2阿耶毘都比売の命
,5 迦具夜比売の命[大筒木垂根の王の女]に娶ひて:
・5-1袁那弁の王
,6 苅羽田刀弁[山城の大国の淵の女]に娶ひて:
・6-1落別の王
・6-2五十日帯日子の王
・6-3伊登志別の王
,7 苅羽田刀弁[大国の淵の女、弟]に娶ひ:
・7-1石衝別の王
・7-2石衝毘売の命、またの名を布多遅の伊理毘売の命
)」
「皇子女は十六柱で男王十三人で女王は三人ありし()」
「伊佐知継ぎ2-2大帯日古淤斯呂和気が天の下を治めたまいき(この命体格がよく身長は一丈二寸[約1.9m]で脛は四尺一寸[74cm]もあり)」
「2-1印色イニシキの入比古なるは治水とか武器製作をおやりになった
(1 治水事業
・血沼の池
・狭山の池
・日下の高津の池
を作った。
,2 武器製作
・鳥取の河上の宮に居られて、横刀壱仟口を作らせた。
・これを石の上の神宮に収めなさった。
・そうして、その宮におられて河上部を定めた。
)」
「弟の2-3大中津日子は全国の各地で部民を営めり
(山辺の別
,三枝の別
,稲木の別
,阿太の別
,尾張の国の三野別
,吉備の石无の別
,許呂母野別
,高巣鹿の別
,飛鳥の君
,牟礼の別
等)」
「2-4倭比売は斎宮として伊勢にいき天照大御神を拝み祀つれり()」
「皇子女はいろんなところの祖先にとなりて国土はいや栄えたり
(4-1伊許婆夜和気の王は、沙本の穴太部の別の祖である
6-1落別の王は、小目の山の君、三川の衣の君が祖である
6-2五十日帯日子の王は春日の山の君、高志の池の君、春日部の君の祖である。
6-3伊登志和気の王は、子どもがいないので古代として伊登志部を定めた
7-1石衝別の王は羽咋の君、三尾の君の祖である
)」
「7-2伊理毘売は景行天皇の息子なる倭建の后となれる(7-2布多遅の伊理毘売の命は倭建の命の后とおなりになった)」