暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

升天祭(しょうてんさい)の日に

2009年05月22日 08時58分43秒 | 日常
祭日であるものの最近は昔と違いプロテスタントが優勢のオランダでも徐々に休日にも店が開くのが多くなっていることから、まあ、いつも利用するスーパーは開いているだろうと車に乗って快晴の午後出かけたら二階の駐車場には車が一台もなくこれはしまったと高を括っていたことを少しは悔やんで、さて、晩飯の材料はどこで買うのか思案しながらもと来た道を戻って途中の別のスーパーに行っても住宅街のスーパーは同じこと、結局空瓶と紙くずを近くの再生コンテナーに放り込んで帰ってきただけだった。

それでは駅の近くには殆ど年中無休の単身者向けのスーパーがあるからそこに行けばいいと自転車に乗ってノコノコと普段の仕事場に向かう道筋にペダルを漕ぎ出した。

オランダ語でHemelvaart(へーメルファート)と言えば英語では「へメルの屁」と響きそうな名前の国民の祝日である。 Fart というのは英語で「屁」 オランダ語ではHemelは天国、Vaartはそれに向かって移動すること、つまり昇天であり、よくは知らないけれどイースターで復活したキリストが改めて決定的に昇天した日であるらしい。 それでは復活したのは、ええっと、6週間前だからその間キリストはどこで何をしていたのだろうと埒もないことを信心のない外国人はぶらぶらと昨日も入ったスーパーの前を通りかかったらなんとさっきのスーパーと同じチェーン店なのにここは開いているではないか、駅前まで行かなくともいい、それじゃ昼飯はその前のスナックバーに入って揚げ芋とビールで、、、と店の前に来ると、諸事情のため一時閉店と札が下がっており中のショーケースの冷凍揚げ物の入っているはずの場所が空でステンレスの大きなガラスケースの入れ物だけが光っているだけだ。

ぶらぶらと町の中を、それでは別の揚げ芋屋にと頭の中の地図をたどってもどこにもない。 日曜日でも開いているところがあいにく今日はキリストが昇っていったから芋屋もそれについていってしまったのだろう。 あとは女子供向けのジュースやアイスクリームを売る店ぐらいでマクドナルドに行ってもビールは売ってないし、、、と思っているうちにモロッコ人が経営する魚屋のチェーン店が開いていて若くボケーっとした兄ちゃんがカウンターの向こうで退屈そうに新聞を読んでいて、家の近くにもこのチェーン店がありたまにはそこで食うのだけれどそこはアルコールを置いていないからここも駄目なら買い物の後、家でベーコンエッグでひるめしにしょうかと店に入り飲み物の棚を見てもなにもない。 帰ろうかとその若者の前の冷蔵陳列ケースを見ると無造作にハイネケンの緑の瓶や缶が並んでいるから瓶と白身魚の揚げ物にニンニクタルタルソースをかけた物を頼んで小さなテレビで女子テニスがかかっている前でビールをちびちび飲みながら魚を待った。

女子テニスもしばらく見ていない。 私が好きだったのはテレビでテニスを見始めたころ、クリス・エバート=ロイドの内向的なところ、マリー・ピアスの優雅さ、アンナ・クルニコワのお人形さんのかわいさ、リンゼイ・ダベンポートのごく普通の素朴なアメリカ女性的なところなどであとのスーパースターたちのパワープレーにはのめりこめなかった。 オランダではなんともなかったのに日本では「シャラちゃん」などと呼ばれて騒がれてから大分経って何かの選手権のときにテレビで見て他の何人かのようにやたらと声をあげるマナーの悪さとプレーには魅力を感じなかった選手が今、名前からして同じくスラブ系の若手と対戦している。

それはマリア・シャラポワでポーランドのワルシャワでのトーナメント、6-1の劣勢でやる気もだいぶ失せているのかこれでは勝てそうもない。 彼女の右肩に何か力士の膏薬のようにべったりと貼り付けられたものもある。 黄色のスカートが可愛いものの可愛いだけで勝てなければどうしようもない。 魚が来てそれを口にしているうちにテレビの画面で負け試合の最後の握手をレフリーにするまでに店に何組かの客が来て揚げ物を買っていくのだがこういうぽかぽかと天気のいい日には日差しの中で立ち食いをするほうが気持ちがいいのか誰も空いたテーブルに座るものがない。 

気持ちのいい青空の下自転車を押して遊覧船の乗り場まで歩いてくればそこにはかなりの客が3時発の船を待ちながらのんびりとアイスクリームを舐めていた。 先々週市役所と教会で結婚式を挙げた知人の娘が持つカフェー・レストランは当分休業の札が出ており航空会社に勤めている彼女の兄の家族特典で2割ほどの料金で世界中飛べるということだったからどこかでまだハネムーンを楽しんでいるのだろう。 

そういえば、我々にはハネムーンというようなことはなかったように思う。 二人であちこち何日もいろいろと旅行はしたが結婚後にはゆっくり旅行しているような時間はなくそのまま20年以上そのまま来たようでそのうち完全に定年になればハネムーンで四国八十八箇所を巡る、というようなことをするかもしれない。 けれどそれでは何だか線香臭いハネムーンのようで、或る程度の実体はあってもハネムーンとは呼べないだろう。


明日は息子が裏庭でバーべキューをするからリストにはその材料が並んでいるものの祝日の数少ないスーパーからなのか昨日とは違いかなり込み合っており生鮮食料品の棚にはかなり空のところが見え売れ筋のものが消えているようだ。 バーベキュー用の各種肉の個別の材料にはないものが多く、結局詰め合わせのものと鶏のドラムスティック、七面鳥のステーキ肉を買った。 車だとバーベキュー用の炭やビールのケースなども買うのだけれど自転車ではそんなものをいれるスペースもないので買い物袋3つに一杯住めこんで家に戻った。 橋の上を通るときには水上スポーツのシーズンが始まったのか沢山のボートに飲み物、食い物を積んで家族、友達の小さなグループが行きかうのが見られた。

買ったものを冷蔵庫に詰め込んでいると庭で日向ぼっこをしている娘と家人がお茶の時間だというからそれに加わり買ってきたミニドーナッツを二つほど平らげたがそんなものはビールにもワインにも合わないので仕方なく濃いセイロン紅茶を飲んでいると家人が、真の男は濃いものをのむのよね、とニヤニヤしながら言う。 真の男はこんなときには紅茶など飲むものか、と嫌味に返した。 じゃ、真の男は何を飲むのよ、と娘が言うから、真の男はSiSiさ、というと二人とも笑い転げた。 おとうさん、SiSiなんて飲んだことないのに、、、とは、冗談のわからぬ娘だ。 

分からないのはこの間から始まった全国共通高校卒業試験の物理の問題だ。 大学で理系医学部に進みたい娘が今日の試験の問題を眺めていたのだけれど、問題がどんなことを求めているのかは分かるけれど具体的な解法や数式などさっぱり分からない。 大方40年以上前に高校で覗いたことなどもう忘れているし国も違い程度も格段に違い分かるわけがない。 おまけにDNAのスパイラルにかけてそれをいくつかに分析してスパイラルの方向を示す方程式を求めるなどというのまであり、例に挙げられている方程式や数式など今まで見たこともなく全くお手上げだ。

夕食まで天気がいいから両隣との境にある垣根の散髪をした。 2年ほど前に父の日に送られた電動ヘッジトリマーでやると楽なものだ。 それまで15年以上毎年大きな剪定バサミを両手でチョッキンチョッキン蟹さんよろしく梯子に登って片面が1時間以上かけてやっていたものが電動では15分ほどなのだから早いのだけれどなければないで別段手でやってもその間は耳の中でジャズが鳴っているのだからどうということもないのだけれどあったらそれを使わないということはない、ということだ。

今日はのんびりポカポカの一日だった。 こんな日に昇天するのも悪くない。


ウィキペディア; キリストの昇天、升天祭(しょうてんさい)の項
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AD%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%88%E3%81%AE%E6%98%87%E5%A4%A9

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