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Ship of Fools ; 見た映画 Oct. 07

2007年10月29日 10時15分36秒 | 見る
愚か者の船
 (1965)
SHIP OF FOOLS

149分
製作国 アメリカ

監督: スタンリー・クレイマー
製作: スタンリー・クレイマー
原作: キャサリン・アン・ポーター
脚本: アビー・マン
撮影: アーネスト・ラズロ
特殊効果: アルバート・ホイットロック
音楽: アーネスト・ゴールド

出演: リー・マーヴィン
ヴィヴィアン・リー
ホセ・ファーラー
ハインツ・リューマン
オスカー・ウェルナー
シモーヌ・シニョレ
マイケル・ダン
ホセ・グレコ
ジョージ・シーガル
エリザベス・アシュレイ
チャールズ・コーヴィン
リリア・スカラ

 62年に発表された長編小説『愚者の船』を「ニュールンベルグ裁判」のメイン・スタッフが映画化。内容は1933年のある日、メキシコのベラクルスからドイツのブレーメルハーフェンに航海したドイツ客船、ベラ号の船上の人々の物語である。ある者は肉欲に、ある者は金に醜い姿をさらけ出す。ある男女は閉じられた未来を激情の中に忘れ、ある娘は開かれた未来の中に歓びを探し求める……。欲望と虚飾、愛情と軽蔑、セックスと背徳、狂信と忍耐、饒舌と沈黙、生と死、善と悪、好奇心と無関心、そして喜劇と悲劇が交錯する。登場人物が多彩な、いわゆる“グランド・ホテル形式”の映画で、ヒットラー政権が誕生した33年の物語というためであろうか、「ニュールンベルグ裁判」同様、白黒撮影である。しかし、原作に縛られて映画として大胆に昇華できず、船上という世界と隔離されたニュアンスが生かしきれていない無念さが残る。タイトルの由来は、小人の船客が船上の面々を自分をも含めて皮肉ったもの。アカデミー賞では8部門で候補になり、撮影賞と美術監督賞を受賞した他、O・ウェルナーがNY批評家協会で、L・マーヴィンが本作と「キャット・バルー」の演技によりナショナル・ボート・オブ・レヴューと英アカデミー賞で主演男優賞を受賞。なお、V・リーの最後の出演映画でもある。

以上が映画データーベースからの情報であるのだが私がこの題名を知ったのは60年代の初め叔父の書架にあった世界好色文学の一つでありフランスの召使譚から蚤が湿り気を求めて女体を駆けめぐるような荒唐無稽なものが連なっている中の一つだったように記憶している。 後年、この作家が果たして好色文学のカテゴリーに入るのかどうか分からないままに、ナチス台頭の状況下で人はどのような過去を持ち各自の現在を生きるのかというような話だと漠然と承知していた。

長編小説であるそうな。 映画はその中の政治性を端折って製作されたもののように想像するが2時間半かかって結末に持ち込む作品は登場人物群の物語としては必要な長さなのだろう。 

父の日のプレゼントとして安っぽいハリウッドのDVDを贈られそれを返品し、代わりとしてその店の投売りバスケットに入っていたものだった。 ヴィヴィアン・リーとリー・マーヴィンの写真が見えたから拾い上げたのだが、もうそこでは好色文学の映画化うんぬんは頭にはなかった。 逆に鑑賞後、これのどこが好色なのか訝った。

二人のリーは別として後年、探偵ものや戦争もので見たジョージ・シーガルをここで又見るのは以外な気がした。 70年代には中年のとば口で活躍していたのだから今おもえば別段不思議でも何でもない。 それに途中から乗船するメキシコ人移民のなかに昔、白黒テレビシリーズ「怪傑ゾロ」の軍曹で出ていたかの俳優もその時代を感じさせられた。 航海船上の物語であるから登場人物の物語が浮き彫りにされ、絡み合うところに面白さが現れるのだろうが、ドイツ船籍の客船の物語ではドイツ人が中心の話であるからメキシコ、スペイン人の描写はそれとしてドイツ訛の英語を皆に話させ、そこに無粋なアメリカ人野球選手リー・マーヴィンを配するとまさにこの年齢の役割にぴったりのヴィヴィアン・リーとあいまってこの映画に光彩を放つようだ。

船医の屈託はドイツの憂鬱を製作のアメリカ側からみたものとして描かれているのかという下衆の勘ぐりが起こりそうになるのだがそれも穿ちすぎなのだろうか。

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