暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

ミニ

2014年07月06日 18時11分15秒 | 日常

 

ミニと聞くと我々の年代なら若いときの習慣からミニ・スカートとモーリス・ミニクーパーという単語が出て来る。 ビートルズがまだ楽天的なロックンロールをやっていたころに流行ったツィッギーの履くミニ・スカートを履きこなしているのを見て当時そんなスマートな日本人女性は甚だ少なく、そんなツィッギーのファッションには眼は引かれるものでもそれをセクシーだとは思わなかった。 まだ大根脚にピチピチのミニを履いている女の子の方に色気を感じる青二才だった。 その後オランダに来てからはツイッギーのようにミニを履く女性を日常にみることもあり、その細く屹立するような女性が股を開いて立つ姿には綺麗だと思うことはあってもセクシーだとは感じたことがない。 それが当時の中性的なファッションだったからだろう。 そこにはファッションなど頭にない青二才がそこにないものをねだっていたようだ。 

穿った言い方をするとモーリス・ミニクーパーにしてもミニ・スカートにしてもそれから80年代になり軽薄短小が言われるようになる前の先駆けとして出たもののようだった。 70年前後に高校・大学を経験したものにはミニクーパーはカッコいいものだった。 それはそろそろ流行り始めていたスーパーカーブームで名前が出ていた高級車たちとは違い、肩肘張らない庶民の車の匂いをさせているものだった。 スーパーカーは80年代のバブルと成金の持ち物を象徴しているようで自分はそれにはまったく興味もなく、時々街で見かけるミニクーパーを眺めてはカテゴリーが違うそれらの所有者の比較を頭の中で想っていたような記憶がある。 ミニと並ぶのはビートルズのビートル、ビートルズがハンブルグからはじけはじめた当地ドイツの国民車、フォルクスワーゲン・ビートルでも同じような想いをもったのだがそれでもそれはミニとは多少は違っていた。 もしそんな車がもてるならシトロエン2CVかミニ・クーパー、格がちょっとあがってフォルクスワーゲンのスポーツタイプ、カルマンギヤを持ちたいとぼんやり想っていたのが日本にいた頃の自分だ。 

1980年にオランダに来て初めの2年はプジョーのサイクリング車で毎日10km以上漕いで生活していたから1年もしない間に84キロあった体重が20キロ減った。 中学生の頃は別として今までで一番体が軽く自由に動かせた時期だった。 それが3年目に2CVの姉さん、Diana 6 の中古を当時3万円ぐらいで買ってからは変った。 その当時にはまだオランダには車検というものがなかった。 オランダの北の村の農家の納屋までバスに乗って買った車を受け取りに行き亡羊と広がる田舎道を走っているときには車を買ったという想いよりそんな何もないところをトコトコ走る気持ちよさはこんなボロ車のものだと思った記憶がある。 この村には2年ほど前に30年ぶりに出かけておりその時は徒歩だった。 そこはオランダ縦断遊歩道ルート450kmほどの始点・終点だからだ。

くすんだオレンジ色の冴えないDiana6以来ずっとフランス車に乗っている。 理由はただ安くて性能が安定しているうえに中の空間に馴染むものがあるからだ。 オランダの知人に日本車ばかり乗る人が何人もいて、お前は日本人なのにどうして日本車に乗らないんだ、いいよ、日本車は、といわれるけれどそれにはいつも、日本車高いから、自分に買えるのはこれぐらいだだ、と答えることにしている。 実際にそうでさまざまな条件をまとめると偶々フランス車ばかりになったというだけのことだ。

さて、ミニだ。 そのサイコロのような小さな車体には興味はあるけれどオランダの高速や幹線道路を走るにはいささか難があるようにも思う。 たとえば大型トレーラの後ろを走っていて急にトラックがブレーキをかけるようなことがあるとするとミニだと車体がトラックの下に潜り込んで運転している者の首から上が見事にちょん切られるように感じて怖い。 実際義妹が若いときにミニを運転していてそうなりかけたことがあるのでそれには現実味がある。 けれど一昨年日本のゴミ屋敷を整理していたときに旧国道沿いの郵便局の近くにミニを中心に昔のヨーロッパの車ばかり置いている中古車屋があったので面白く思い散歩のついでにそこに寄って主人と話をしたことがある。 人口10万の町の近郷ではミニに乗っているものが50人はいると聞いて人気があるものだと思ったし、高校を出たばかりの若い男の子がミニに惹かれてそれに乗っていてそこに来てメンテナンスのことを詳しくその主人に尋ねているのに接して好ましく思ったものだ。

今日屋根裏部屋でモニターに向かっていると表をホーンを鳴らして走る音が聞こえた。 どうせ昨日のサッカーの試合でオランダが準決勝まで進んだことを喜ぶクラクションだと思っていたら家人がミニのパレードだと言って部屋に入ってきた。 毎年今の時期に隣町のミニ・愛好会が近郷近在のミニを集めてその町にある精神薄弱児の施設の子供たちを乗せてパレードするのだという。 だからそんな子供たちに手を振って答えてやろうよ、と言い下に降りた。 そういえば何年か前にもそのようにして見たような記憶が蘇ったのだがそれは大型バイクのハーレーのパレードだったのかもしれないし独特な構造をもつ軽量オートバイというか原付自転車というか、ソレックス愛好会のパレードだったかもしれない。 何れにせよ下に今は止んでいるものの時折雨が降っていてまだ濡れている芝生を横切って道路に出るのに木靴を履いてのこのこ出て行くと最後の三台が前を通り過ぎ、後を途中で止まった場合に引張っていくレッカー車と警察の白バイが続いたのだが残念なことにその最後の三台はミニを焼きなおしたBMWのものだった。 少なくとも100台は通り過ぎているのだから味のあるクラシックのオリジナルを残念ながら見過ごした。 自分には現代風の焼きなおしたものは似て非なるものに思えて親しみは湧かない。 近所にはビートルの焼き直し、フィアット500チンク・チェントの焼き直しがあるけれどそれも同様だ。 2CVの焼き直しはまだ見た事がない、、、とここまで書いてネットでよくよく見てみたら2CVにも焼き直しがあった。 それにも親しみが湧かない。 これは一体なんなのだろうか、ディズニーランドを毛嫌いするのと共通するものがあるのかどうか気が向いたら一度は考えてみたい。


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