e-note 2005

どうも、ぽんすけです。メモ帳代わりに軽くやらせてもらいます、嘘だけはつかないように・・・

ポリティカル・セックスアピール

2008年09月30日 23時49分55秒 | 
井上篤夫著『ポリティカル・セックスアピール -米大統領とハリウッド-』(新潮新書)読み終える。これもめちゃくちゃ面白くて、最高の一冊。

新聞に紹介されていて、ぜひ読みたいと思っていた。しかもよく聴いているラジオ番組Daily Planetでもこの本が紹介されていて、さっそく手に取った。

日本でも盛んに報道されるアメリカ大統領選挙。予備選を含めその様子を見ていると、なんかお祭りのようにも見て取れる。日本なんかと違い狂い湧き立つような、過剰とも思える熱狂ぶりが目につく。ある程度は裏方による演出であろうとは誰もが思うところだが、実はその根を探っていくと米大統領はハリウッドによってつくられている、そんな話。

ちょっとスゴイ、面白すぎ!!

本より抜粋です
●ヒラリー大きな柄のカラフルな服装は、ハリウッドの重鎮で、ファッション誌のカリスマ編集長、アナ・ウインター(メリル・ストリープ主演の映画「プラダを着た悪魔」のモデルといわれる)が決め(以降略)
●ミスター・ハリウッドの異名をとる男。(中略)デヴィッド・ゲフェン、49歳、彼こそ2年後にスピルバーグ、カッツェンバーグとともにドリームワークスSKGを立ち上げることになる「みすたー・ハリウッド」こと、全米でトップの音楽プロデューサーである。
●ゲフェンはビル・クリントンを大統領に押し上げた。ジョン・レノンの「ダブル・ファンタジー」を誕生させた。(中略)音楽界ではジャクソン・ブラウンやイーグルスを発掘し、映画界に乗り出すやトム・クルーズをスターにし、ブロードウェイでは「キャッツ」や「ドリームガールズ」を送り出した。
●1920年から1930年代の第二次世界大戦中前夜、ハリウッドの成功者達は政界とのつながりを求めていた。当時、ショービジネスは、いわば賎業・醜業としてさげすみの対象であったからである。また、エンターテイメント産業は、ユダヤ系移民の手によって発展してきた。アメリカは移民が建てた国であるとはいえ、ユダヤ人はマイノリティ(少数派)であり、ハリウッドの重鎮たちがいくら富を蓄積しようとも、本流とはちがう所詮は「ショウビジネス界」の人間であり、上流階級であるWASP(ホワイト・アングルサクソン・プロテスタントの略。白人のエリートをさす)には受け入れられなかった。そのためハリウッドは、その黎明期からつねに中央権力とのつながりを求め、さまざまな画策を展開してきたのである。
●ハリウッドでリベラリズムが開花した背景には、ニューヨークの作家たちの流入があった。映画化サイレントからトーキーに変わるにしたがい、無声映画のシンプルなセリフとちがって高度な内容や心理描写が書けるブロードウェイの劇作家や全国紙に作品を掲載していた短編小説家たちが、ハリウッドに呼び寄せられたのだ。たとえばジョージ・S.カウフマンやF・スコット・フィッツジェラルド、リリアン・ヘルマンなどである。(中略)彼らは自由主義と社会主義のバックグラウンドを持っていた。映画の脚本に政治や先鋭的なイデオロギーを盛り込んだ。また、映画産業における地位を確立するため、映画脚本家組合(SWG)を組織し、社会問題への発言を行った。

このように書き綴ると、まるまる一冊書ききらなくてはならないので・・・とにかく面白い本でした。いやぁ、世界ってスゴイ!