何もするにことかいて
「二歳の娘を餓死さす」「知恵遅れを悲観」銀行次長「水も与えず十日」昭和50年5月10日の記事であります。
妻が出産で入院中に2才になる知恵おくれの幼女を寝室のべビーベッドに10日間も閉じ込めて餓死させた父親が、東京・成城署に殺人の疑いで緊急逮捕されました。世田谷区の三井銀行本店のA(42)で「将来、親に万一ののことがあったとき、この子の面倒をだれが見てくれる。心を鬼にしてほうっておいた」と自供、泣き伏していました。まさに鬼の所業です。
自供によると幼女は知恵おくれで、いまだに両親の区別がつかず、妻が出産のため入院したのを機会に、衰弱死させることを計画します。長女(小学6年)には寝室には絶対入らぬようにと言いつけて出勤、夜はベッドのわきで過ごしたと言います。
腹を空かせた幼女は3、4日目には「チューチュー」と音をたてて指をしゃぶっていましたが、心をオニにしてほうっておきます。十日目幼女は息をひきとりました。頬はコケ、目が落ちくぼみ、あばら骨は浮き出、しゃぶりつづけた右手の親指は皮膚がはがれ、その悲惨な姿に捜査員も言葉を失ったといいます。
Aは「どんなに責められてもいたしかたありません。ただ娘の冥福を祈るだけです」と泣き伏します。