昭和50年5月10日の記事です。大阪高槻市で事件は発覚しました。
「四児を次々殺す」「産んでは袋や容器に」「団地のベランダに放置」とあります。
高槻市の団地で、自分の生んだ嬰児をこの4年間に4人も次々と殺し、ブリキ缶などに詰めて4階の自宅ベランダに積み重ねていた母親が9日午後、高槻署に殺人死体遺棄の疑いで緊急逮捕されました。
逮捕されたのは会社員の妻A(32)。Aは夫が出張中の3月2日、自宅のトイレで男児を出産、すぐにビニール袋に詰め込んで窒息死させ、新聞紙に包んだうえベランダに放置したのをはじめ、47年2月、48年8月、49年4月ごろにも、それぞれ生んだばかりのわが子を窒息死させ、ブリキ缶に詰めたと自供しました。
同署の調べでは、夫が生活費として月給12万円のうちから5万円しか渡さず、生活が苦しかったと、夫が月のうち半分は九州方面へ出張で家をあけ、夫婦仲もしっくりしていなかったことから、「これ以上子供ができては」と、思い余って次々と殺したのではないかとみています。
家庭は夫婦と6才と4才のそれぞれ女児の4人暮らしであります。夫婦は43年5月に恋愛結婚。Aは「夫は何も知らない筈だ」といっているが、調べに対して夫は「49年年ごろは、妻の妊娠に気づいていたが、妻の姉が遊びにきたとき「Aが流産した」と話しているのを聞き流していた。今年の春は、からだが大きくなっても中年太りと思っていた。事件の事はなにも知らない」と否定しています。
Aは夫から渡される生活費だけではやりくりがつかず、内職で月1万~1万5千円を稼ぎ、生活費に充てていたといいます。
事件が分かったのは団地の主婦たちの、「おなかがおおきくなったのに子供を産んだという話をきかない」とのうわさ話を警察が聞き込んだのがきっかけといいます。 それはそれでなんとも……。