観測にまつわる問題

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タイと日本の相似

2011-02-09 23:04:26 | 政治システム・理論
ブレアビヒアの事件に関して面白い記事があったのでリンク。

タイ・カンボジア紛争 バンコク都民は「交渉」支持、自国政府批判(newsclip.be)

>タイ政府の対応については、「不満」が80・2%に上り、「満足」の19・8%を大きく上回った。

>タイ軍の対応に「満足」は67・5%、「不満」は32・5%だった。

随分政府も嫌われたものだが、軍はまあまあ支持されているらしい。こうした支持を背景にクーデターは行なわれるのだろう。政治が信用されていないようにも見える。

タイ政治は、日本と同じく議院内閣制で二院制である。これは度々指摘してきたが、最悪の組み合わせであると思う。

まず解散があることにより、失敗すれば交代させればいいやという安易な認識が醸成される。政治とは本能として権力を獲りに行くものであり、そのチャンスが何時でも転がっているというのは無用な争いを誘発しやすいと考えられるだろう。権力闘争が過剰になりやすい政治だからこそ、ルールをもって(一定の)休戦期間が必要なのだ(じっくり選挙でリーダーを選んで、一定期間は基本支えるべき)。

また二院制というのがとても気になる。タイの二院制については良く分からないが、恐らく上院(元老院)(日本では参議院にあたる)の権限はそれほど弱くないのではないか。下院で選ばれた首相のもと政府は運営されるが、権力の強い上院があると、政治家の本能として権力を行使し、政府のある種足を引っ張るのは、日本の事例と同じだろう。一般にあまり認識されていないが、大山礼子「日本の国会」(158P~)によると、ねじれていなくても、参議院は自民党政権下において、事前協議制を通じて、自身の意向を政策に反映させてきた(つまりは分りにくい形で権力を行使してきた)のである。青木幹雄氏の権勢は有名だが、参議院の強さがあってこそだったのだろう(敗北=ねじれを機に一線を退いた)。

議院内閣制で二院制と言うとイギリスだが、上院の権限は弱いことに注意する必要がある。連中はやるべきことはやっているのである。どうも貴族院の政治的正当性の低さが上院の弱体化に関係しているらしいが、それはともかく、日本も(恐らくタイも)イギリスのように拒否権を与えず、棚上げする権利だけ与えて名実共に再考の府にするのがいいのではないか。これで政府の安定性は相当違ってくるはずだ。権力が強い反対勢力がいるなか、政治が実績をあげ信頼されるのは難しい。出来ないことをやらせて出来ないと失望してもしょうがないのである。

政治がしっかりすれば、軍への期待も減じるだろう。棚上げで再考をせまるぐらいであれば、上院が全力を出しても健全な批判として機能するとも考えられる。政治家の努力が国益に繋がるのが良いシステムである(今のシステムのままでは参議院が頑張れば頑張るほど政府がグラつき政治の弱体化を誘発しひいては政治の信頼を損ね続けるだろう)。こうした改革は憲法を改正しなければ不可能なのであり、憲法改正こそ日本再生の鍵を握っていると確信している。

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