観測にまつわる問題

政策中心の政治ブログ。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」を考察予定。

農業と所得、食料安全保障

2024-09-14 08:39:20 | 農林水産
石破茂衆議院議員に聞く(1)「農業所得と自給率に国費を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】(JAcom)

>「生産調整をやめる」と言い、かなり抜本的な農政改革に手を着けましたが、民主党政権になって頓挫しました。
>「こんなことを言っているからだめなんだ。米価は下がるのだからその分、直接所得補償でいいんだ」
・・・なるほどですね。さすが理にかなっていると思います。

農家の皆さんは全力で農業に勤しめばいいと思うんです。ただ米は目立ちますが、米だけを特別扱いする必要はないような気はします。自由にやれば、農家の皆さんが自分で調べて需要に合せた農業をするのであり、そうであるべきです。畜産と併せて認定農家に一律の給付をするのが経済的だと私は考えます。

石破茂衆議院議員に聞く(2)「農協はもっと政治運動を」【食料・農業・農村/どうするのか? この国のかたち】(JAcom)

>民主党が戸別所得補償を出した時にさんざん罵倒したのは私たち
・・・あれは社会主義です。足りない分を補償するという発想ではなく、自民党は一律で(畜産含む)農家に給付して、農家の意志を尊重するのが経済的です。漁業は獲り過ぎが問題なので、また別のスキームが必要。

追記:【世界比較】各国と日本の農業保護の度合いを比べてみた|jd🇳🇵農業

日本の農業所得に占める公的補助(PSE)の割合(%) (2021)は欧米と比べて高いようです。土地が狭いんだから当たり前でしょうが、民主党勢が思いっきりデマを流しているようです。そもそも「所得補償」も欧米のパクリなのに専売特許のように喧伝していて辟易しますが、まぁ連中は事情を知らない選挙民を騙せれば、それでいいと考えているのだと思います。

所得補償と言うと、生産量に関わらず一定の所得を保証する政策の印象ですが、(民主党がパクった)アメリカの「所得補償」とは、目標価格と市場価格の差を支払う(補償する)制度のようで、生産量が多いほど儲かるようにはなっているようです。

私が主張した一律の給付ですが、アメリカでは農家に対する直接固定支払い制度として実施された時期があったようです(何故止めたかは不明)(米国の農業政策 農林水産省)。日本でも水田活用の所得補償交付金においては、戦略作物助成・二毛作助成・耕畜連携助成でそれぞれ一定の金額の交付が行われています(1 農業者戸別所得補償制度 - 農林水産省)。そう考えると、農家に対する直接固定支払いをしないのは、保守的な農家が革新的な農業に意外と挑戦しないからなのかもしません(日本では米粉用米、飼料用米の交付金は高く、農水省的にはお勧めのようです)。また日本では畑作物の所得補償交付金を行っています。これは恐らく米がダブついている(需要の減少に供給の減少が追い付かない)からで、一種の減反政策だと思います。私等は農家に任せれば、米の価格低下を受けて転作が進むのではないかと思うのですが、高い米価を主張してきた農家の方はそう簡単に転作しないのだと農水省は見切っているのかもしれません。しかし米の需要は減少してきたのでしょうか。

なぜ食べない!コメの消費が減り続ける真因(東洋経済)

どうも食の多様化が進んだ理由は複合的なようで、若者ほど米離れしているようです。そうだとすると、政府が原因を分析して新品種を開発する等しないと、流されるままに日本文化は衰退してしまうのかもしれません。ただ米粉の利用(米麺)だと日本文化を守っていると言えるかは微妙でしょう。パンが嫌で麺を食べて文化が守られたと言えるでしょうか。米を炊くのが手間なら、レトルトパックご飯が競争力がある可能性はあります。ご飯につきものの味噌汁で言えば、即席みそ汁市場が市場拡大しているようです。つまり日本文化への一定の愛着はあって、レトルトパックご飯も売れており、消費者の時短志向を上手く取り込むことが農業政策に必要なようです。パンが好きでも家でパンをつくる人はそんなにいるとは思えません。時短と言えば、農水省は防衛省と協力してレーションを共同開発してみるのも面白いかもしれません。戦闘用食料で悠長に炊飯は出来ないはずです。その技術が民間に広まることも有り得るでしょう。

また食料安全保障の観点で重要なのはカロリーのある作物をつくることです。幾ら農家が儲かっても花ばかりつくったのでは食料安全保障になりません。そう考えると農家に対する直接固定支払い制度が不味いのは、例えば儲かる花(や野菜等)をつくることを誘導してしまうからなのでしょうか。カロリーの無い食物・農作物が儲かるのは、需要に対してギリギリの供給が狙えるからです。不作だったら食べなければいいんですね。主食の場合は不作だから飢饉では困りますから、余裕のある生産の必要があり、従って常に供給過剰で価格が低水準になります。だから政府が保証しないといけない訳ですが、ほどほどに供給過剰である必要はあります。ですから、日本のカロリーベース自給率がいいか、生産額ベースの自給率がいいかの論争がありますが、生産額ベースの自給率は食料安全保障の観点からは妥当ではないとなるでしょう。いざという時、カロリーの無いものを食べても腹は含まれんせんからね。ただし自給自足の観点でエネルギーの輸入が途絶えたらどうするという問題があります。

エネルギーの自給と言えば、電動化でしょう。農業にもその波はあるようです。ただし課題もあって、充電時間と稼働時間の問題で、FCVも選択肢のようです。また一種の太陽光発電でバイオディーゼルも面白く、農地不足の観点から、ユーグレナに可能性があるようです。また未利用資源や廃棄物の利用の可能性も考えられます。

農家の所得の問題に戻ると、カロリーと自給と文化・環境・人手不足等の観点から補助金を出すのが最適解かもしれません。つまりカロリーのある作物に限って、農家に対する直接固定支払い制度の検討をするのがシンプルのように思います(カロリーの無い作物は適切な価格まで自然に上がります)(減反をやらなくても需要が減る予測があったら、農家の方は調整できると信じます)。海外作物との競争は関税があるでしょう。自給に関しては、農業機械に関する補助金が考えられます。文化面は稲作・ご飯に関する補助金が有り得るでしょう。地域によっては、田園風景と観光などと組み合わせた戦略も有り得ます。環境負荷の観点で補助金があっても良く、人手不足にロボット等で対応するべきなのは、カロリー供給を目標にした農業は儲からないからです。農業って多面的ですね。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿