観測にまつわる問題

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種子法の廃止並びに松前町の食と課題:松前町議会(12月11日 総務産業建設常任委員会から)

2018-12-11 14:15:56 | 農林水産
イネ「こんなにいろいろあるんだ!」(農林水産省)

松前町(マサキチョウ)議会を初傍聴。前半の議題は種子法の廃止関連で農業の話題でした。決議は非採択。そういう訳で、議会での議論をベースに農政について記事にしておきます。

主要農作物種子法(衆議院)

>(目的)第一条 この法律は、主要農作物の優良な種子の生産及び普及を促進するため、種子の生産についてほ場審査その他助成の措置を行うことを目的とする。
>(定義)第二条 この法律で「主要農作物」とは、稲、大麦、はだか麦及び小麦をいう。

結局、優良な種子の生産及び普及の促進を目的に助成するための法律が種子法です。これが撤廃されることにより、優良な種子の生産及び普及を目的とした助成ができなくなる訳ではないでしょうが、特にそれをしなくとも法律を大義名分に助成を要求されることは無くなるんだろうと思います。廃止に反対の記事がネット等で見られますが、特に反対する理由はないように思います。

また、稲・大麦・はだか麦・小麦に関しての話であり、果実や野菜に元々種子法は関係ありません。にも関わらず反対論によるデマが流れることもあるようです。

参考:種子法廃止についてデマや勘違いを解説します(Togetter)

上記記事でも指摘されていますが、種子法に基づき都道府県ごとに開発され続けるブランド米ですが、いい加減米の需要も減っているのに何時までもこの法律を撤廃しなかったことこそおかしな話です。食糧難の時代に制定された法律を今まで維持してきたことが脅威的とも言えますが、ようやく安倍政権が重い腰を上げてくれたということなのでしょう。 新潟・埼玉・兵庫は種子法廃止に伴い、独自に条例を制定したようですが、そういう県があってもいいんだろうと思います。新潟なんかは日本を代表する米処ですしね。今後、新潟県が創り続けるブランド米が市場を制していくのかもしれません。まぁ米に限らず、公金を投じて各都道府県が創造しつづけるマニアックな新品種が日本にとってどう役にたつのか、お手並み拝見といったところなのでしょう。それはともかく、種子法が無くなり、内心喜んでいる首長は案外いらっしゃるのかもしれません。農業界は基本反対なのかもしれませんが、猫も杓子も米の種を研究するという時代では少なくともありません。

日本がこれまで開発してきた種子には優れたものも多くあるんだろうと思います。議会では穀物メジャーを批判する意見が見られましたが、日本は日本でその遺産を活かして世界で商売すればいいのではないでしょうか。種子法がありながら(公金を投じながら)、穀物メジャーのような存在が日本で見られないことこそ問題でしかありません。自由貿易の推進は強い日本農業を目指すのであれば、寧ろチャンスと言えるではないでしょうか。特許料で稼ぐだけのネタは日本にあるのでは?

また、議会でも指摘されていましたが、安全性に関する誤解もあるようです。種子法廃止の問題点と指摘されている食品安全に関しては、食品衛生法の領域なのであって、種子法廃止に関係あるとは思えません。米は日本古来より親しまれている基本農産物なのであって、今更安全性も何もないものです。寧ろあえて言えば種子法に基づき開発される新品種こそ危険性を完全に否定しきれないといったところでしょう。

ただ、公金が断たれ、種子が高くなる可能性はあるのかもしれません。議会で指摘されているように食料自給率の問題もありますし、先進各国同様、農家に対する補助は必要だとは思います。でも、それが種子法による必要はないと思います。今まで幾らなんでも需要を見ずに惰性で公金を投入しすぎたと考えます。残念ながら(バラ撒きはあまり好きではありませんが)、直接所得補償した方が効率的なのは間違いありません。

更に食料自給率の問題ですが、緩やかな減少傾向にはあって、懸念があるのは当然だと思います。ただ無条件無闇に公金を投入できる時代でもないと思います。種子法廃止で食料自給率の更なる減少の懸念がなくもないでしょうが、根本的には農地転用に関係する制度が食料自給率に深く関わると考えられます。農家が農地を売却して宅地にしようと思っても、自由に宅地にできる訳では現状ありません。これが食料自給率を維持するための根本規制だと思います。農地が自由に転用されれば、確かに食料自給率が危機に陥る可能性はあります。しかしそこに手をつけない限り、農地は基本的には維持されると考えられます。問題は農地があっても、人がいないケースです。賃上げでどうにかできるなら、賃上げすればいいと思いますが、農業だけが人手不足でもありません。また、人が減っても生産性を上げることで、食料自給率を維持することは可能です。農業界こそ問題点を整理して、政府に何を求めるか冷静に考えてみてもいいのではないでしょうか。筆者としては生産性を上げつつ担い手を確保していく現状の安倍政権のやり方を推進していくのが、日本にとって望ましいんだろうと考えています。

なお松前町で穀物と言えば、愛媛県松前町ははだか麦の生産でも知られます。松前町のはだか麦を支援するプロジェクトがこちら(愛媛県松前町『芽吹きと実りのはだか麦』プロジェクト~:愛媛大学)。

個人的には松前町の食と言えば、味噌が気になっています。ギノーみそは地元の有名ブランド。味噌は日本の食で欠かすことが出来ないスーパーフードです。

また、お隣の伊予郡仲間の伊予市にはかつお節やダシで有名なヤマキが存在します。「調味料×伊予郡」を狙ってプッシュが筆者は面白いと考えます。

松前町で食と言えば、シラス(稚魚)もよく知られるところです。筆者の好物でもあるのですが、現時点では知見もなく、今後の課題としたいと思います。松前港は加藤嘉明公が足立重信に軍港として整備させ、そこから朝鮮出兵したという歴史もあるそう(松山城を築く前は松前城が拠点でした)。中々難しそうですが、松前の港や漁業をどう考えるかという問題もあるような気はします。

後、町議会の傍聴で知り合った人に聞いて考えましたが、松前町の今の課題として、ショッピングモール「エミフル」とどう共存していくかがあるようです。いずれ取り組んでみたい課題です。


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