観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」を考察する予定。

火山対策考

2018-01-25 22:58:59 | 政策関連メモ
ひとまず本白根山で亡くなられた陸曹長のご冥福をお祈りします。

で、今回の噴火は想定外だったというような話もあるんですが、これに関して筆者にやや違和感があります。というのも噴火口というのは結構広く見るべきで、何処で噴火するか分からないのではないかという感覚があるからです。

噴火にそなえ 富士山の火山マップ50年ぶりに全面改訂 新たな噴火口見つかる(ハザードラボ 防災と災害情報のニュースメディア 2016年07月25日 12時09分)



リンク先から富士火山の火砕丘と割れ目火口の分布を活動期別に表示した火口分布図(提供:産総研)を拝借しましたが、「産総研の活断層・火山研究部門のチームは、富士山全域の地質調査を開始。ボーリング調査や地層調査、年代測定を行った結果、火山灰や土壌に埋もれて分からなかった過去の噴火の歴史をつまびらかにした。」とのことです。富士山「最後の噴火」は宝永大噴火ですが、この時出来たのが宝永山です。富士山火口と言えば山頂をイメージするかもしれませんが、富士山の標高は3775.51m、宝永山の標高は2,693mで富士宮口五合目(標高2400m/参考:富士宮ルート あっぱれ!富士登山)から登山するのが比較的容易であるようですが、それは兎も角、富士山で次の噴火があるとして、何処で噴火するか正直分かりようもないという印象はあって、そういう認識があるからこそ、産総研の方々はシッカリ調査したんだろうと思います。

白根山近辺の情報は全く知らない素人意見ですが、本白根山の活動記録はないと言うものの、鏡池北が噴火口だとすると、本白根山頂より白根山頂の方が近いことは気になります。いずれにせよ、富士山に倣って全国の火山の地質調査を行えば、何処で噴火するか分からないというかかなり広く警戒しないと意味が無いということが明らかになるだろうと思います。

噴火口「想定外」で防災対応後手に 気象庁判断に空白の1時間 自治体嘆息「対象広げればキリがない」(産経ニュース 2018.1.23 22:01)

>他の火山では「火口域」を広く想定したり、複数火口を想定したりするケースもあるが、全国有数の火山を抱える長野県の防災担当者は「妥当性がない所に想定を広げたらキリがなくなる」と頭を抱えている。

基本的に火山の噴火口は広く想定すべきと考えられ、それをしないなら、予知はあまり意味が無いだろうと思います。日本は地震国ですが、少なくともこれまで大地震の予知が上手くいっていないことは明らかです。安くて頑丈で性能がいい無人観測機を開発し、世界に輸出して量産してコストダウンするなど、そういうことも考えていかないと、「予知自体、意味が無いね」ということになるかもしれません。

先に裁判所が巨大カルデラ噴火を想定して伊方原発運転差し止めを行いのけぞりましたが、2014年に神戸大学大学院理学研究科地球惑星科学専攻の巽好幸教授と鈴木桂子准教授は、日本列島で過去12万年間に起こった火山噴火の規模と発生頻度を統計的に解析し研究成果を発表しているようです(巨大カルデラ噴火のメカニズムとリスクを発表 神戸大学 2014年10月22日)。

>巨大カルデラ噴火を起こす火山は、地殻の変形速度が小さい地域に位置することが判りました。このような場所では、粘り気の高いマグマが効果的に、次々と地殻内を上昇して、巨大なマグマ溜りを形成すると考えられます。

>今後私たちがすべきことの1つは、厚さが約30kmもある地殻の真ん中あたりに形成される厚さ数km以下で薄く広がるマグマ溜りの状態を正確に捉える技術を確かなものにして、巨大カルデラ噴火の危険地帯である九州島の地下のモニタリングを行うことです。また、過去の巨大カルデラ噴火の規模と発生年代、そして噴火の経緯に関するデータを精密化することも忘れてはならないでしょう。

火山と噴火の仕組み - サイエンスウィンドウ - 科学技術振興機構

>群馬県と長野県の境にある浅間山で起きた噴火は、13時間前に予知することができた。

>噴火の予知には地震計やGPS(全地球測位システム)なども利用されている。地震計は地下にあるマグマの様子を知ることに役立つし、GPSは長期にわたる地面の動きを正確にとらえることができる。

>一つひとつの火山には個性があり、噴火の前兆なども違うので、予知にはそれぞれの火山についての幅広いデータの蓄積が必要です。



火山のメカニズムを考えると、マグマだまりさえ観測できれば、やはり結構なことが分かるんだろうと思います(参考:マグマ溜まり - Iwojima - 地質情報データベース - 地質調査総合センター)。素人の筆者にはどうすれば正確に観測できるか分かりませんが、優秀な学者の方々にはこういう研究をしてほしいとは思いますね。特に九州や東日本の優秀な若者には自分達の地元を守るためですから、こうした研究を志してもらいたいと思います。防災だからと言って幾らでもコストをかけられる訳ではありませんが、巨大カルデラの噴火はその被害の甚大性から研究に値するテーマではないでしょうか?こうした研究が軸となって技術が確立したら他にいろいろ応用できることも出てくるだろうと思います。

GPSに関しては日本版GPSみちびきに期待できるかもしれません(ケタ違いの精度、日本版GPS「みちびき」の実力 ITpro 2017/12/18)。

個性的な火山の調査に関しては、やはりキリがないですから、コスト・ベネフィットを良く検討し、人をはりつけるよりは、機械のパワーで解決したいものだと思っています。統計的な解析には例えば気象庁気象研究所|スーパーコンピュータシステムを活用。データサイエンティストの活躍の場は自然災害大国日本では防災の場にもあるのかもしれません。そうだとするなら、更なる養成の努力が急務ですね(日本がデータサイエンティスト教育で米国に圧倒的に遅れた理由 ダイヤモンドIT&ビジネス 2017年6月9日)。そうでなくとも、データサイエンティストは今後最も稼げる職業とも言われているようです(今後「最も稼げる職業」に!?注目のデータサイエンティストとは ダイヤモンドオンライン 2018.1.25)。国全体で見てどういう観測機だったら、もっとも安く正確に観測できるか検討することが大事だと思います。そしてそのデータを新しい解析手法で解析して対策を打っていく訳です。

以上、ハイテクですが、日本は火山国ですから、防災というマイナスを減らす発想だけではなく、何かプラスに使えないかという発想もあっていいでしょう。火山灰なんかの活用の可能性も無くもないようですね(火山灰を調べた。火山灰はこんなものに利用されている。 バリグー 2015/03/19)。火山灰土と言えば関東ローム層ですが、都市近郊農業を支援するなら((3)都市農業の現状と振興に向けた取組 農林水産省)、適地適作も考える必要もあると思います。

練馬大根の歴史(練馬区)

>江戸では「葛西」(葛飾・江戸川方面)と「西山」(武蔵野台地一帯)で栽培する野菜の種類が異なるが、これは土壌の違いによる。葛西は荒川や利根川の運んだ沖積土で水が豊富であったから、水気を好む野菜が主であり、これに対し、火山灰土の西山は根菜類の栽培に適していたのである。

筆者は補助金を必ずしも否定はしませんが、有効活用する発想がないと、常に非効率なゾンビ養成になるのではないかと懸念が無くもありません。

最後に火山の利用と言えば地熱発電ですが、アイスランドでは結構成功しているみたいですね(日本も見習うべきか 「資源小国」から「地熱大国」へ変貌したアイスランド いまや電力輸出も視野 産経ニュース 2015.3.3 10:00)。地熱発電(ウィキペディア)なんかを眺めると、デメリットもありはするようですが、やってやれないことはないし可能性は結構あるような気もします。マグマ発電て・・・(究極の地熱発電とも言われる「マグマ発電」が実現に向けて前進 Gigazine 2014年01月30日 20時00分19秒)。

>一説によれば日本国内の全電力需要の3倍近くをまかなえる潜在資源量を有するとされています。ただし、地熱発電には、温泉地からの開発に対する反発や開発適地の多くが国立公園や指定の自然公園にあり、自然公園法によって発電所の建設が認められていないなど開発にあたって問題は山積みです。しかし、その潜在能力の高さを考慮すれば、地熱発電・マグマ発電の開発が日本でも進むことを期待したいところです。

何らかの手法でマグマを抜くことができれば、噴火を避けることもできるような気がしないでもないですね。失敗したらエライことになりそうでもありますが。それは兎も角研究して損はないというか、大きな可能性はあると思います。火山国の日本ならではでしょう。アイスランドのいいところは見習っていけばどうでしょうか?

必要なのか規制緩和かもしれません。何も観光地として成り立っている地域の景観をブチ壊せとも言いませんが、寂れる地方に産業・仕事は絶対的に必要な訳ですし、そうでない箇所にはドンドン建てればいいと思うんですよね。これから伸びる産業だと思います。国立公園や国定公園もいいですが、筆者は別に地熱発電所をバリバリ建てたっていいんだと思いますよ。重要なところは白神山地みたいに核心地域とか設定したっていい訳です。サルやシカも増えすぎており(急増する野生動物被害 ~拡大の実態~ クローズアップ現代 No.34972014年5月15日(木)放送)、あえて挑発的な言い方をすれば、少々自然をブチ壊したところで、ちょうどいいぐらいかもしれません。江戸~明治の日本はハゲ山だらけでした。温帯多雨だからかどうか知りませんが、日本では放っておけば直ぐに草ボーボーになって木がドンドン生えてきます。希少な生物や観光名所は守らねばなりませんが、そういうことを計算しての環境保護ではなく、ただただ何もしていないのではないか?という気がしないでもないんですよね。少なくとも専門家は重要度を分析して重要性の低いところは、これからの産業のために明け渡すべきだと思います。

追記:1月29日に「活火山対策が必要なのでは?」をアップしています。