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観測にまつわる問題

政治ブログです。「保険」「相続」「国民年金」「AIロボット」「運輸エンタメ長時間労働」「GX」を考察予定。

瀬取り対策と北朝鮮漂流船の関連性の一考察

2018-05-20 08:56:56 | 政策関連メモ
北朝鮮って陸の孤島みたいになっているので、関係各国が港や空港・国境でちゃんと検査したら違法な輸出って商売にならなくなるんですよね。瀬取りという手法は覚せい剤取引でも使われるとか。覚せい剤製造国とも言われる北朝鮮(国がやれば摘発される恐れがありません)からの小船が要注意でしょう。「漂流漁船」が最近増えたのは瀬取り対策が始まって、ダブついた覚せい剤を運び込む従来のルートが遮断されたからなのかもしれません。難破等で貴重なブツが失われるリスクがあっても、他に手段がないのであれば仕方がないところです。見つかりそうになったら覚せい剤を海洋投棄して誤魔化すことも可能でしょう。引渡し先は従来と同じところに存在します。小船で運ぶ価値があるのは少量で高価なもの。小船を使う価値は見つかりにくいことです。工作員運搬もないとは言えませんが、日本に送り込む明快な目標が判然とせず、小船では貴重な工作員を遭難・摘発で失うリスクが大きいと考えられます。覚せい剤を運び終われば、例えば不法滞在で捕まり強制送還してもらいます。この辺の仕事に優秀な工作員を使う必要もないと考えられます。北朝鮮も多大なコストを支払って養成した工作員を使い捨てる訳にもいかないでしょう。優秀な工作員を送り込む時はかつてのフル装備工作船を使う可能性の方が高いと考えられます。

覚せい剤使用が多い国は日本とフィリピンらしいですね。この2ヶ国は特に怪しい小船に要注意かもしれません。フィリピンも日本と同じ海洋国家・島嶼国家ですし、瀬取り対策に加わってみるのがいいのでは。

瀬取り対策や「漂着船」対策が進めば(日本やフィリピンへの輸出が無くなれば)、ターゲットは韓国・中国・ロシアに移るかもしれません。38度線は中々越えないでしょうが、韓国では最近瀬取りに協力した船があったというニュースがありました。中国政府が何処まで信用できるか分かりませんが、人民解放軍と北朝鮮の繋がりも指摘されます。北朝鮮は脱北者は許さないでしょうが、北朝鮮軍自身が越境取引に関わる可能性もないとは言えません(中国を必ずしも信用しない北朝鮮的にはリスクがありそうですが)。基本的には鴨緑江があるので、北朝鮮と中国の取引はチェックできるはずです(朝鮮族の最大のコミュニティもあり鴨緑江が途切れている吉林省との間の陸路は渤海や鴨緑江の瀬取り対策・「漂着船」対策・小船対策と共に特に重要と考えられます)。極東ロシアは市場としては小さいですが、シベリア鉄道の検査がザルだったら拡散の大きな危険性はあるのではないでしょうか。

北朝鮮が非核化でグズグズしているということは、まだまだ制裁の実効性があがっていないのかもしれません。北朝鮮も国を衰退させたくないでしょうし、悪事がバレたら困るはずです。

竹島が日本のものと言える簡単な論証

2018-05-19 11:32:34 | 政策関連メモ
韓国は日本が竹島領有を主張すると一々騒ぎ出す国です。日本も自国の領土は主張しなければなりませんから、日本が発言する度に揉めることになります。自国の領土を主張するのは何処の国でも同じです。韓国が日本を監視して一々因縁をつけてくるから何時まで経っても喧嘩が絶えない訳です。これまで日本は自国の領土の主張は控えてきたかもしれませんが、これからはそうはいきません。韓国は日本の植民地ではなく、基本的には対等の関係です。日本は韓国のために自分の主張を控えるべきなどという甘えた考えは捨ててもらわなければなりません。

以下竹島が何故日本の領土と言えるのか簡単に纏めます。

前提1:対馬は日本の領土です。対馬国は魏志倭人伝(第3者の中国史料)でも日本のカテゴリーに入っていますし、疑う余地はありません。韓国人は日本が竹島を言うなら対馬は韓国などと主張しますが訳の分からない言いがかりです。対馬が独立した国であったことはなく、ずっと日本の領土でした。耽羅国(済州島)は15世紀始めまで独立していたようであり日本に朝貢したこともあるようですが、日本が済州島の領有権を主張することはありません。日本が済州島の領有権を主張するより酷い誤りが韓国の対馬領有の主張です。こんな荒唐無稽の主張が一定の力を持つのは韓国ならではで非常に残念な人達だと思っています。

前提2:対馬(や北部九州)は地理的に朝鮮との橋渡しの役を担ってきました。史料上の根拠もありますし自明ですね。

前提3:中国貿易の利権は強大(危険を冒す価値がある)ですが、朝鮮との貿易はそれほどでもありません。

前提4:竹島は飲料水にも乏しく居住に適しません。事実アシカが棲む島でした。

前提5:昔の地図はいい加減。韓国は竹島に国があって古来韓国の領土と主張していますが、あのような絶海の孤島(ほぼ岩山)に人が住んで国があった可能性はありませんし、証拠も出てきていません。逆に韓国がありもしない幻の島の領有を主張したことは現代になってもあります(バラン島)。

結論:朝鮮との交流に対馬近辺をあえて通らないルートは通常では考えられません。北部九州から対馬に立ち寄らずに朝鮮に渡ることはあるかもしれませんが、山陰方面から対馬付近を通らずあえて日本海を渡る必要がありません。隠岐や山陰における朝鮮の存在感は薄く橋渡し役を担ったという史料はないはずです。中国の場合は東シナ海ルートがありますが、朝鮮の場合は対馬ルートをあえて使わない理由がありません。幾ら史料を探してもないものはないということになるはずです。竹島は日本の主張通り日本が漁業が盛んになって鬱陵島にまで渡るようになるまで無主の地でした。鬱陵島は元々韓国の領土ですが、その先に行く必要がない重要性が低い島でした。重要性が高いなら日本が来るまで空にすることはありません。韓国は空島政策をとる国であり海洋国家ではありません。幾ら探してもちゃんとした竹島領有の根拠は出てこないでしょう。それは存在しないからです。バラン島を何時まで探すつもりでしょうか?

例外:日本海ルートは基本的に存在しませんが(漂流漂着の類なら存在するでしょうが、韓国は漂流者がいたから韓国領土だと主張していません)(安龍福が英雄とか笑止な話がありますが彼は鬱陵島で不法に漁労していたところ当地の開発していた日本に(強制)連行されて日本に渡ってきた人です。鬱陵島は史料上元々韓国だったので日本は住民がいなかった鬱陵島を韓国のものとして認め返しています)、例外があります。渤海使です。渤海は朝鮮半島の新羅と対立しており、新羅を牽制するため、朝鮮半島付近を通らず日本と通交する必要がありました。ですからわざわざ危険を冒して日本海を渡った訳です。逆に言えばそういう事情が別段ない限り、対馬付近を通らないルートが存在しません(このあたりで漁業で遠征が始まったのは江戸時代の日本になります)。渤海は韓国ではありませんし、韓国も竹島領有の根拠を渤海に求めている訳ではありません。

韓国が日本に対して竹島問題で高飛車に出られるのは自分の主張に自信があるからなのでしょう。根拠の無い自信は粉々に砕いておけば、一々言いがかりをしてくることもないでしょうし、それが原因で揉めることもないだろうと考えます。韓国内の議論にそれほど関心がある訳ではありませんが(中国と違って完全に実効支配されているので兵が出せないなら取り返す見込みも無い)、日本で報道されるなら目には入りますし、目に入ったら何か言わない訳にもいきません。韓国こそ認識を変える必要があるんじゃないでしょうか。

日本経済を考えていくたたき台

2018-05-09 16:13:13 | 政策関連メモ
日本経済を考えていくためのたたき台記事をつくります。

日本経済があまり伸びていないと指摘されて久しい訳ですが、この原因はもう皆薄々分かっていると思いますが、急激な少子高齢化が原因だと思います。市場が縮小すると皆思っているから、国内消費や投資が抑えられ、デフレ傾向になり、それが更なるデフレを呼ぶ訳です(安倍政権の金融緩和でその流れがストップしています)。

これの対策は消費や投資を増やすしかありません。別に金を配って消費を増やせと主張する訳ではありませんよ。それは持続可能ではありませんし、金が配られることが分かっていたら働かないのが人間です。そんなことで問題が解決するなら、途上国にありがちなポピュリスト政権は大繁栄して、そうした国は先進国になっています(事実は直ぐにハイパーインフレになって国が終わります)。

ひとつには金を持っているが使わない富裕層の消費・投資を増やす必要があります。これはお金自体はあるのですから、サプライサイドの問題です。富裕層がお金を使いたいと思うような対象がないから金が使われない訳で、企業努力等が必要です。インバウンドでも富裕層向けの施設が日本に少ないというのがありましたね(インバウンド獲得も日本での消費を増やす優れた処方箋だと思います)。

もうひとつは消費性向が高いがお金がない低所得者層の所得が伸びれば消費は増えるということになります。具体的には最低賃金の引き上げになります。最低賃金が引き上げられたら、それでやっていけない企業は清算するでしょうし、それでもやっていけるよう企業努力が促され、低いと言われる日本の生産性も上がっていくと思われます。働き方改革も同じですね。労働時間を短くすることで、生産性がない仕事は削られることになります。筆者の見るところ、企業は惰性で仕事をしており、生産性を上げることに本気であるようには思えません。解雇される労働者が出たら、人手不足の業界への人の移動もあるかもしれません(給与を上げてもキツイ仕事が嫌というなら移民でも何でも入れるしかありません)。生活保護よりワーキングプアの方が苦しいという逆転現象も最低賃金の引き上げで(生活保護が据え置かれたら)解決するでしょうし、所得が増えれば家庭でもつくって少子化を解決しようという人も現れるかもしれません。最低賃金の引き上げは世界的には一般的な政策であるようです。少子高齢化の度合いが違うかもしれませんが、ヨーロッパなんかで日本ほど低成長に陥ったという話を聞きません。企業負担はあるかもしれませんが、消費が伸びれば企業は儲かります。得する会社も損する会社もあるかもしれませんが、全体的にはこれはもうやらないと日本経済がどうにもならないところまで来ていると思います。

コンビニなんかはまだ24時間営業をやっていますし投資の余力はあります。コンビニは3強を軸に寡占化が進んでいます。これは群雄割拠し、深夜営業を止めつつあるファミレス業界と対照的です。M&Aもその方が効率的で必要ならば促していかねばなりません。個性的な個人経営の店は好きですが、細かいチェーンが乱立していいことはあまりない状況ではないかと思います。

生産性を上げることは賛成ですが、単に労働時間が減って同じ仕事をしていくだけなら、消費が伸びる要素はあまりありません(有給がまとめてとれれば旅行業界は潤う可能性はあります)。スマホの使用時間は伸びるかもしれませんが。定型的な仕事を機械に任せて、人にしかできない仕事をしていく、新しい仕事をつくっていくということであれば、経済成長に繋がるとは思いますけどね。

今のデフレ状況は消費税が必ずしも原因ではなく(影響はあると思いますが)(消費税が原因であれば、欧州経済はとうの昔に死んでいますが、近年日本より成長していることは事実です)、やはり急激な少子高齢化による市場収縮予測が原因だと思います。これは必ずしも日本終了のお知らせではないと思いますが、やらなけらばならないと分かっていることをやらずにどうにかなる状況ではないというのが筆者の考えです。出生率が減っているという情報を隠すことはできませんし、隠すべきでもなく、これはたちまち解消できる問題ではありませんから、他の手段を持って経済成長させていかねばなりません。日本だけが経済成長を止めたら、いずれは他の国に吞まれて本当に終了する可能性もありますし、国がいずれかの時点で破綻する可能性もあります(借金の額が大きいのですから利払いが増えたら直ぐに終わる可能性があります。緩やかなインフレはこうした問題にも対処できます)。いずれにせよ、日本がデフレ傾向に陥る主因は特異的な急激な少子高齢化が原因と考えられ、政府の財政政策というこれまでの常道で問題が持続的に解決するとは思えないというのが正直なところです。消費税上げもデフレを加速させますから、これも勿論正しい処方箋ではないでしょう。財務省は誰もが知る最強官庁ですが、財務省の言う通りにやって全て上手くいくなら、バブルも崩壊していませんし、低成長が続いたりもしていません。


ドロボウの激減と監視カメラ

2018-04-25 21:29:13 | 政策関連メモ

時事

【図解・社会】刑法犯認知件数の推移(時事)

ここ15.6年で犯罪が激減しているようです。

>警察庁の担当者は「官民一体となった犯罪抑止への取り組みのほか、住宅や自動車のセキュリティー向上、ドライブレコーダーを含む防犯カメラの増加などが功を奏したためではないか」と分析している。

住宅で言えば、オートロック式の非木造の共同住宅が普及し(2-5 住宅の設備 総務省統計局)、それが空き巣を諦めさせているのではないかと考えられます(7割の空き巣が5分で犯行を諦める!?賃貸物件でもできる6つの泥棒対策 シングルハック)。

記事にも書いていますが、自動車のセキュリティ向上とはドライブレコーダーの増加のようです(車上荒らしの手口・対策・ドライブレコーダー4つ | 羊たちの沈黙)。

引ったくりに防犯カメラが効果あるというのもあるでしょう。防犯カメラはこれからAIでまだまだ強化されてくると考えられます。

>罪種別では、全体の7割以上を占める窃盗が前年比6万7607件減の65万5541件、強盗も同480件減の1852件だった。13年以降の過去5年間でそれぞれ窃盗が約33%、強盗も約44%の大幅減となった。

ドロボウ(物理)終了のお知らせですね。捕まるリスクが高いから止めようみたいな。何とも見もふたもない話ですが、これからは防犯カメラでは対応できない犯罪や、防犯カメラがあってもやってしまうような人に焦点が当たってくるのかもしれません。

>略取誘拐は239件で前年比11件増。子どもが交流サイトで知り合った容疑者に連れ回されるケースなどが含まれているとみられ、昨年は小学生50人、中学生40人、高校生42人が被害に遭った。

交流サイトで子供の事件被害、最多の796人 15年上半期(日経新聞 2015/10/15)を見ると、フィルタリング機能の利用で犯罪被害は防げそうです。また、規制の効果で出会い系サイトにおける犯罪は減少したようです。

>詐欺も3.9%増の4万2575件で、うち有料サイトを利用したなどとだます架空請求詐欺が5756件と、5年間で約3.8倍に増加した。

架空請求詐欺メールって誰がひっかかるのか不思議に思うところはありますが、全く知識がない初見ならそういうことも有り得るのかも知れません。迷惑メールを大量に撒く奴(引っかかる確率は低くく、大量に撒かないと商売にならないと考えられます)は何のためにそれをするかと言えば、詐欺でご飯を食べるためにやるんでしょうし、少なくとも誰のプラスにもなっていませんから、メールの大量送信を許可制にするとか、迷惑メールの大量送信を抑止できないかと考えてしまいます。

まぁ、あれだな。監視カメラ製造の会社とかAIや個人認証の技術を持っている会社が買いなんじゃないですか。

クルーズ船推し

2018-04-17 19:12:49 | 政策関連メモ
クルーズ船誘致、注文相次ぐ 住民「秘密裏に進めないで」 瀬戸内町町政懇談会(南海日日新聞 2018年4月17日)

>鎌田町長が町の課題や2018年度以降の主要政策を説明した後、眞地課長がクルーズ船寄港地誘致について国の計画や町の将来構想、懸念材料について解説した。

最近八重山だけでなく、宮古や奄美、沖縄本島、九州もなるべく見るようにしているのですが、奄美でクルーズ船誘致の懸念があるようですね。

環境に関しては、取り組んでいるクルーズ船もあるようですね。

環境への取り組み|プリンセス・クルーズ

クルーズ船が環境を破壊するなどと言われないよう、業界の努力も必要ですね。日本の造船業界は技術がありそうですし、寧ろチャンスかもしれません。

安全性に関しては以下のページを参考にしました。

クルーズ客船やフェリーでの事故の原因とは?(All About 旅行)

>世界には300隻以上の客船がクルーズを行い、いまや北極や南極もクルーズで一般の人が行ける時代です。乗船人数が多いので、事故があると目立ちますが、客船の事故率、死亡率はかなり低いものです。

クルーズ船が世界的なブームになっている理由とは:2015年には日本での利用者数が100万人を突破(訪日ラボ)

伸び盛りの業界のようです。如何に魅力的な寄港地になるかという観点もあっていいかもしれません。夜に移動で日中に陸上で観光するらしいので、観光地としての魅力がある寄港地はチャンスが大きいのではないでしょうか?団体客が一気に来るようなもので、自由旅行にまかせるのもいいですが、バスなんかを準備しておくといいかもしれませんよね。これなら、ボーッとしていても乗り遅れるなんて危険性は低い訳で、順当な観光地を無理なく回れます。土産物なんかは宅配で自宅に送るシステムなんかあると面白いかもしれません。家を長期留守にしているのなら、帰宅時期にあわせて配達してもいいですし、天候のいい時に島から出して、配達先の近くで保管しておけば、遅れる可能性も低くなるかと思います。どのくらい需要があるか分かりませんが、荷物になるのが面倒だから、売れない土産もあるかもしれませんしね。生ものなんかクルーズの途中では土産として買えませんし、大島紬がいいと思っても嵩張るから止めようかもあるかもしれません。

平日やシーズンオフに大口の観光客が来たらおいしいですしね。

クルーズ客船観光の特性と寄港地の魅力度評価の試み(運輸総合研究所)

また、あえて寄港地として割り切るのもいいんじゃないかと思います。入港料もあるようですし。昔は風待ち港、潮待ちの港、補給港がありましたし、船が来て港が栄えないということは基本的にないのではないでしょうか?

分かり易い特許明細書の効用とIot時代の特許

2018-04-15 21:50:10 | 政策関連メモ
知的財産権、とりわけその中核である特許権に関する現在の問題点(コラム)(日本アイアール株式会社)

>自社製品(技術)を中国で模倣された場合に、自社の保有する中国特許権の侵害であるとして訴えても解決することが困難である。

>自社(日本企業)製品が、他社(特に米国企業)が保有する特許を侵害しているとして訴えられたとき、その製品に関して自社で基本技術を先に特許出願等していたにもかかわらず、米国企業側に反証できない。

>大学や公的研究機関の法人化に伴い、米国にならって、TLO(Technology Licensing Organization)の設立と展開が進められているが、技術移転、すなわち技術売買の実績は極めて乏しい。

>これら3分野での共通する問題点は、日本語で記述された発明技術、すなわち特許明細書がわかりやすく記述されていないことである。

>研究論文は研究成果の発表であり、当業者は、極めて限定された「当該技術分野」の研究者であり、それ相当の知見のある人たちである。つまり「科学・技術」の限られた特定の範囲内でのみ、理解されれば良い。一方、特許明細書は研究開発の成果と事業が結びついている必要がある。しかも当業者は様々な分野の人たちである。

>曖昧なでわかりにくい日本語特許明細書を、何とか改善しようという取り組みは、一部の公的機関等でも始まっているようです。

知的財産権の問題で検索して出てきたページですが、興味深い内容です。結局のところ、日本の特許明細書は限られた専門家や業界内だけで通じる内容になっており、それが特許権が上手く活用できていない原因になっているようです。日本の問題は技術力というより、説明力にあるという結論は頷けるものがあります。

勿論曖昧にも効用があって、分かる人には分かるというスタイルの方があるいは手間がかからないというメリットはあるかもしれません。ですが、それは中国で訴える時に敗訴する原因になったり、アメリカに訴えられて負ける原因になったり、経営者が読んでも分からないので売れない、例えば自動車業界と通信業界のような業界横断の協力が進まないということになるようです。

中国・アメリカの存在は大きいですし、特許の売買促進、通信と他業界の連携などこれからの課題を考えるに、日本がこれからも技術立国をやっていくならば、分かり易い特許明細書が重要になってくるという訳であり、そういう改善の取り組みは一部の公的機関で始まっているという内容でしょう(現状がどうなのかは知りませんが)。

IoT時代の特許、発明者保護か独占排除か(日経新聞 2018/4/15 17:00)

>和解金目的で特許侵害訴訟をしかける一部事業者の封じ込めを狙った米政府の対策などもあり、「米国の特許の取引総額は5年前の1割以下になった」(一色太郎・外国法事務弁護士)という。

>イノベーションを促進するために守るべきは発明者の権利か、新規参入の機会か。

個人的な感想ですが、方向性としては新規参入の機会を促進した方が良いと考えます。まず、これまで明らかに無駄な訴訟が存在しました。これに対して特許権が守られなかったがゆえにイノベーションのモチベーションが落ちたという事例が見当たらないようです。日本の事例を考えると、寧ろ売買が成立してもいないのに、技術は開発されてきており、特許明細書を分かり易くすることにより、まだまだイノベーションは促進される情勢なのであって、特許料が入らないがゆえにイノベーションが起きないというようなことを心配する必要はないと考えられます。

日本には技術力のある中小企業も多いとされますから、新規参入が進んだ方が良いとも考えられます。基礎研究は並行して進めるべきでしょうが、以前書きましたけどデンソーとか技術が分かる部品メーカーあたりが主導権を握る形の方が良いと思うんですよね(技術が分からないと投資の是非が分かりにくい訳です)。特許は広く使われると当然儲かりますし、逆にあまりに儲かり過ぎると(それだけで食べられる存在は)、逆にイノベーションを阻害する存在にもなりかねません。少なくとも日本のとる道ではないのではないでしょうか。勿論全く特許が儲からないでは、(通常)誰も新しい技術を開発しないだろうと思いますが、日本のみならず世界で強い会社は大体新しい技術を開発してきた会社なのであって、ある程度以上に儲かる状況であれば、技術開発しないというような選択肢を選ばないだろうと思います。

いずれにせよ、イノベーションが最大限に促進されるシステムが良いシステムでしょう。これに対して、そもそもイノベーションが促進されなくていいのではないかという仮定は勿論考慮する必要はないと考えます。停滞でも構わないと考える国は厳しい国際社会の競争の中で脱落する国だと考えられますし、そうした方向性を日本という国が選ぶことはないと考えられるからです。個人の生き方を否定する訳ではありませんが。

公文書問題雑感(4月11日)

2018-04-11 19:20:37 | 政策関連メモ
本日入荷のVoice5月号のケント・ギルバート氏の記事のヒラリー氏が公務で私用メールアドレスを使用した件の一節が面白かったです。

アメリカでは「国務長官はじめ閣僚や政府職員が作成したメールを含む文書は、すべてが公文書扱いとなり、すべての内容が自動的に政府のアーカイブに保存され、一定期間経過すると公開される」のだそうです。全てが公文書って書いていますから、私用のメールが存在しないようにも読めますが、一方で「公務で」とありますし、私的なメールが公文書となるのではないとここでは考えておきます。何もかもが記録されて公開され「政敵」に好き放題利用されるのでは、さすがにやってられないはずですし、誰もメールしたくないということになるはずです。そういう扱いはあまりに人間的ではありません。

ということで、公務で私用メールアドレスを使ってはならないし、公務で使ったメールは一定期間経過した後、公開されるというのは当然有り得る考え方かなと思います。別に会談がいちいち録音されておちおち話もできないということにならなければそれでいいような気はしますし、仮にそうなったところで、まぁゴルフとかするだけですしね。全部全て公開しろ!という人もいらっしゃるかもしれませんが、そういうスパイ(同然)の人の言うことは無視すればいいでしょう。きわどい話は当然あるでしょうし、そういう話を全部公開するというのは有り得ない話です。まぁ赤い国では全部非公開ですが、それにあわせる必要はありません。赤い人は何故か自国の文書だけを全部公開させようとし、赤い国の体質には目を瞑って味方しようとします。もっとも言うことを聞いてはならない人達です。

つけくわえておきますと、ヒラリー氏の件は、その時日本で(日本語)ニュースは見ましたけど、勿論詳しい訳ではありません。メールを破棄したのはメールボックスが一杯になったからかもしれませんし、ハードディスクドライブのデータを完全破壊したというのも確たる証拠がある話なのか良く分かりません。ただ、ケント・ギルバート氏がそう書いているので、そう伝えられているのだなと思っただけです。

紙の公文書も別に技術系文書はそのカテゴリーで分けるとしてそれ以外は別に公開していいんじゃないかと思います。例えばどの兵器がどうとかその手の情報は相当の長期間秘密にしておけばいい訳です。後追いで敵国にマネされるというか、ヒントを与えるとアホくさいですからね。経済とかも評価の核心部分は秘密にすることがあっていいような気はしますね。あるいはあえて評価しないでおくとか紙に書かないでおくとか。全部公開するという話をするなら、これこれこういう理由でこういう話は公開しない方が良いという話もする必要があると思います。

政府が情報を集めて練りに練った情報が日本をガン見しているあの国やあの国にパクられたら堪ったもんじゃないでしょう?情報公開も結構ですが、全てが全て全部情報丸見え政府なんて、何処の慈善事業かという話です。それこそスパイ(同然)の方々の(情報をまるで出さない秘密の権化)大本営(ネット世界であからさまな壁を築いていることは基礎知識です)が涙を流して喜びそうな話じゃないですか。

ですから公開するものは公開するしないものはしないで分けて検討してバッサリやることが大事だと思います。電子メールも電子文書も同じですね。高橋洋一氏によると、電子文書の方が改竄は難しいそうです。電子文書を含まない公文書改革は穴が大き過ぎると言えるのではないでしょうか?

勘違いされる方がいらっしゃると困りますので、念のため書いておきますが、こうした改革をするから起きたことを裁こうということには全くなりません。法律が出来てから法に則って裁くのが法治国家の大原則ですので、そこのところを勘違いする未開人の方はくれぐれも当記事を悪用されないようお願いします。

※追記:私用メールで公務をやった場合の抑止ですが、相手が仲間でないならメールを出した側が完全廃棄してもどうにもなりません。またその辺に全く詳しくありませんがサーバに残るかもしれませんし(残さない設定や削除もあるとかいう話ですが)、私的メールサーバ(???検索してもよく分かりませんがヒラリー氏が使ったという)がブッ壊れていると怪しいということになります。

※追記2:開示請求できる文書・できない文書(総務省)
>不開示情報としては、次のようなものが定められています。
(1) 特定の個人を識別できる情報(個人情報)
(2) 法人の正当な利益を害する情報(法人情報)
(3) 国の安全、諸外国との信頼関係等を害する情報(国家安全情報)
(4) 公共の安全、秩序維持に支障を及ぼす情報(公共安全情報)
(5) 審議・検討等に関する情報で、意思決定の中立性等を不当に害する、不当に国民の間に混乱を 生じさせるおそれがある情報(審議検討等情報)
(6) 行政機関又は独立行政法人等の事務・事業の適正な遂行に支障を及ぼす情報(事務事業情報)
・・・別にこの定めがベストだと主張している訳ではありませんが、個人情報が含まれている情報が開示請求できないとすると、今開示されている情報は違法ってことにならないんですかね?誰がどうしたとかいう話がドンドン出てきていると思うのですが、どうなってるんでしょうか?

※追記3:日本の公文書館における個人情報保護と情報公開(国立公文書館)
>2.3 不開示情報
適用除外要件のに該当する、国立公文書館の歴史文書で利用を制限する範囲は、次の3つで、行政機関情報公開法の不開示情報3つのうちの3つにあたる。
1号 個人情報
2号 法人等情報
3号 国の安全等情報
時が経過し、非現用となった歴史文書は当然ながら、より利用制限する範囲が縮小することになる。
・・・公文書館でも個人情報は不開示になっているようですが。実際のところどうなってるのか知りませんけれども個人情報が含まれていると不開示なら結構不開示な気はします。法改正してこれからは開示していくとかそういう考えは有り得るかと思います。アメリカがそうしているように(?)全部開示するとかそういうこともあっていいのではないでしょうか。個人名がバレたら困ることはやらないし、政府に要求しないみたいな。記事にもそれに類することは書きましたが、機密情報を開示させようということではありません。

不耕起栽培と大陸農業

2018-04-08 15:14:20 | 政策関連メモ
不耕起栽培(ウィキペディア)

>1960年代には北米の耕地のほとんどは耕起されていたがカナダでは1991年には33パーセント、2001年には60パーセントの農場が不耕起栽培もしくは保全耕転を採用している。アメリカでは2004年に保全耕転が全農地の41パーセント、不耕起栽培が23パーセントで実施されている。しかし、地球全体の農地のうち不耕起栽培が行われているのは5パーセントほどに過ぎない。

>メリット
>耕さないことによる省力化が可能である。
>前作の作物残渣を地表に放置できることになり、その結果、それらが土壌のマルチとなって風雨による土壌流出を緩和できる
>米国でより広く使われるようになってきており、2010年には米国の60パーセントの農地が不耕起栽培になると予想されている

デメリットもあるようですが、米国ではドンドン広がっている手法のようです。耕さないなんて農業の常識をブッ壊した手法ですが、合理性の国がやるのですから、少なくとも米国では優れた手法なのだと思います。手間隙かけなくていいというのは非常に経済的な印象です。後で言及しますが土壌流出緩和効果にも注目したいところです。

不耕起栽培で検索すると、南米の不耕起栽培から考えること(農業ビジネス)というページが出てきました。中々興味深いです。

>南米では不耕起栽培が成功しているという噂を聞いていた。何故、わが国では難しいのに南米ではうまくいくのか不思議であった。
>パラグアイの粘質土壌地帯では、大雨があると水蝕が激しく、表土の流失に危機感を覚え、何とかしなければならないと悩んでいたそうである。そんな折、ブラジルで不耕起栽培によって水蝕を防止している話を聞き及び、これを導入してみることになったという。
>このパラグアイで不耕起栽培が成立するのには、三つの理由があげられる。その一つは小麦と大豆の交互作である。禾本科とマメ科の組み合わせは、その生育相からみてお互いの欠陥を補完するものであり、生育を健全に導くといってよい。
>中国では現在でも大豆とトウモロコシの混作を継続しているところがある。驚くほど少ない肥料と農薬で健全な生育を示し、その品質・収量に驚かされる。これは共生作物(コンパニオンプラント)のうまい組み合わせにほかならない。作物の相互扶助の作用を自然の中から引き出している。
>不耕起栽培が成立する第二の理由は、熱帯地域ぱあっては、比較的雑草量が少ないことである。条件を整えてやらないと、雑草も生えにくい環境にある。これに加えて、いずれも何百ha単位の経営面積であり、周辺に雑草群がはびこっていない。手段はどうであれ、除草剤などで一度雑草を絶やせば、その後はそう雑草の繁茂には苦しまないことになる。わが国の栽培環境とは、基本的に異なるのである。
>第三は粘土系の土壌であり、かつ比較的気象変動も少なく、土壌処理の除草剤の効果が確実であることである。作物処理の除草剤も、小麦と大豆の組み合わせでは、効果の高い除草剤を選択しやすい有利性がある。
>残念ながらわが国の環境では、どれをとりてみても成立しない。かりに懸案課題の除草問題をクリアーしたとしても、小麦と大豆の作付けでは販売価格が安い。経済的に成立することにはならない。全国の平均経営面積一・二ha、全国一の経営規模を誇る北海道十勝地方でも二四haである。小麦と大豆では、あまりにも収益が少なく、やっていけるものではない。
>小麦と大豆では食えないから、ここに経済作物の根菜類や野菜を組み入れているのである。根菜類と野菜を組み入れる体系に、不耕起栽培が成立することは、きわめて困難であろう。
>また、小麦と大豆だけを不耕起栽培するといっても、知恵のある篤農家の長年の挑戦にもかかわらず、まだ成功していないのが現実である。研究機関と違って、経営生命をかけても成立しないのは、わが国の環境では、それくらい雑草処理が難しいということなのである。
>わが国の近海の漁獲が減ってきたのは、漁獲技術が発達して一網打尽、捕り過ぎが原因とされているが、そればかりでは決してないであろう。先の山林荒廃に加えて、陸上での化学合成物質の多用がまったく問題になっていないとは言い切れない。

不耕起栽培が土壌流出をもたらさないというのは、耕すことで風雨の影響を受け易くなるということでしょうか。いずれにせよ、実態として不耕起栽培が土壌流出を喰いとめているというのは確かなようです。また、日本では上手くいってないというのも現実で、その原因は日本が雑草が繁茂する国だからだと思われます。

「雑草と日本文化」(視点・論点)

>日本では、草取りをサボればあっという間に、雑草だらけになってしまいます。日本の雑草は、世界に比べてもずっと厄介なのです。高温多湿な日本の気候は植物の生育に適しています。そのため、作物はよく育ちますし、森の木々もよく成長します。その代り雑草も生い茂ってしまうのです。

日本が勤勉な国になった理由のひとつにこうした気候条件はあるでしょう。直ぐに草ボーボーになるのが日本で、草を放置すると最終的には森林になります(遷移 (生物学))。藪があるとイノシシだってつっこんできます。雑草の除去では除草剤が便利と思いますが、望ましいのは物的な除去なのかもしれませんが。その辺の判断は農家の経験や学術的研究に任せるとして、アスファルトで覆う(これはこれでヒートアイランド現象の原因になります)でもしなければ、土から雑草は除去せざるを得ません。日本の雑草の強力さに関しては、次の写真をご覧ください。


庭やコンクリートの隙間の雑草を取り除きたい!雑草駆除・掃除方法(おそうじ応援隊)

土壌の流出防止(富山県)を参照すると、水田は土壌流出はあまり起こさないようです。恐らく田んぼの中に土をとどめるからですね。だから日本では一般に土壌流出が話題にならないのでしょう。ですが、畑作では土壌流出は起こっているようですし、果樹園なんかはもっと土壌流出を起こしているようです。

>傾斜地にある樹園地等では、土壌浸食や耕起作業によって、斜面の下方に作土が移動することがあります。また、畑地などでは、農地を裸地状態で放置した場合にも、降雨や強風などによる作土の流出や舞い上がりなどによる侵食を受けやすくなります。

農家の方々の対策が必要だと思われます。土壌保全と土壌流出の影響に関して言えば、次世代に引き継ぐ農地の土壌保全(千葉県)や土層・土壌改良雑感(1)(農業ビジネス)、土壌侵食:土がなくなっていく(常陽新聞連載「ふしぎを追って」)を参照しました。

結局のところ、日本においては、コスト高を容認して耕す農耕を続ける方向性にならざるを得ないのではないかと考えられます。

土壌流出(ウィキペディア)

>土壌流出(どじょうりゅうしゅつ)とは、地面の傾斜や風などの影響によって表面の土壌が流亡する現象のことである。アメリカ合衆国の畑作でしばしば問題視され、1トンの小麦を生産する際に約1トンの肥沃な土壌が流失していると言われている。土壌流出の量は農法や地形等によって変化する。また、土壌流失は森林の伐採や過度の放牧などにより、地表を覆っていた植物層が失われ、地表が露出した場合に、雨や風の影響を受けて発生する。このことは浸食作用を受けやすい山地において著しく、保水力の低下や下流域での洪水の要因になるとともに、世界の5分の1から3分の1に及ぶ地域での農地の生産性低下の原因になっているとみられている。これらを防ぐために等高線状に耕地を造成する等高線耕作や防風林造成などによって対策がとられることもあるが、しばしば放棄され大規模に砂漠化(土漠化)することも多い。

日本で砂漠と言うと鳥取砂丘や猿ケ森砂丘(砂丘の大部分が、防衛省の下北試験場(弾道試験場)の敷地)ぐらいしか思い浮かばず、鳥取砂丘は砂丘が無くなるとか言ってボランティアに草を抜いてもらっている状況です。だから砂漠化って何?と言わざるを得ない訳ですが(江戸時代は禿山は定説です。種を絶やさなければ大体放置で勝手に復元します)、世界はそうではありません。日本には日本の風土があるように大陸には大陸の風土があって、大陸は人間が勝手すると砂漠化し易いようです。

古代中国は今より湿潤だったというのはわりと有名な話だと思います(参考:『中国環境保護史話』訳注(四))。象もいたようで、象形文字という言葉からして象が身近にいた証拠だと指摘する人もいます([漢文] 中国史の中のゾウ。 Oh my Good Old Days)。現代中国人が砂漠化を意識している感じなのはそうした歴史や経験が関係しているのでしょう(中国における砂漠化防止と環境教育に関する考察 Studies on the combating desertification and environmental education in China 森林応用研究 13(1), 11-17, 2004 応用森林学会 Cinii論文)。満州民族(ウィキペディア)は簡単な遊牧や牧畜、農耕を行っていたとは言え、元々狩猟民であり、アムール川(ウィキペディア)(黒竜江)では毛皮の産地で、この辺の民族の国であるところの渤海は日本に毛皮も持ってきて貴族の間で流行ったとかそういう話もあるんですよね(289 渤海の使節がもたらした平安貴族の毛皮ブーム 日本船主協会)。いずれにせよ、大陸(中国)は昔はもっと自然があっただろうというイメージがあります。

中国の砂漠化問題(ウィキペディア)

>現在、中国国土の27パーセント以上、約250万km2が砂漠と化しているとされており、砂漠化した土地をもとに戻すためには300年かかると推測されている。
>西部や北部に集中しており、内陸部がほとんどであるが、華北では比較的海に近いところにも砂漠が迫ってきている。

対策はいろいろとられているようですが、自国の林業の見直しを通して中国からの木材輸入を減らすこと、自国の農業の見直しを通して中国からの農産物輸入を減らすことも考えられるようです。また、アメリカの不耕起農法が広まれば、土壌流出が止って砂漠化が抑えられるかもしれません。

大陸はそもそも乾燥し易いですから、砂漠化には注意しなければなりません。アメリカにも砂漠化の話はあるようですし(出典は少し古いですがアメリカにおける砂漠化の背景と環境管理(地理学評論))、農業などでの利用により地下水の低下が続いているとも言い(オガララ帯水層(ウィキペディア))、農業には水が必要ですから、その辺をどうしていくかという悩みもあって、それなりのノウハウもあるはずです。

>降水量の比較的多いネブラスカ州東部など、水位が上昇している(地図中水色や紫になっている)ところもあるが、全体的にはオガララ帯水層の地下水位は低下傾向にある。

南米も北米と条件は違うでしょうが、土壌劣化の問題はあるようです((2) 南米5カ国の土壌劣化の特徴とその原因 Seneca 21st)。


  【アルゼンチン大豆農場】       【同コーン農場】
双日、アルゼンチンで大豆など農業事業を開始(双日株式会社)
~農業経営ノウハウを蓄積し、ブラジルなどへ拡大。食料資源の安定供給に貢献~

中国の進出著しいアフリカも同じみたいですね(深刻なアフリカの砂漠化 環境省)。

オーストラリアは乾燥大陸と言われます(乾燥大陸オーストラリアの歴史と開発 建設コンサルタンツ協会)。

ユーラシアステップの環境も気になりますね(ユーラシア大陸のステップにおける大規模農業が草原生態系に与える影響評価 KAKEN 中村徹 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授)。

不耕起栽培はアメリカで広まっていますが、あまり湿潤でない大陸ではこうした農法が適している可能性があります。ラウンドアップの有効成分であるグリホサートの特許は既に切れているようですが、ラウンドアップは不耕起栽培で不可欠のようです。

ラウンドアップの疑問にお答えします。 脇森部長のラウンドアップ除草剤講座(前編)(Monsanto JOURNAL)

>ではなぜほとんどの植物が枯れるのでしょうか。グリホサートが、植物に必要なアミノ酸をつくる「シキミ酸合成経路」(植物にしか存在しない重要な代謝経路)を阻害することで、植物はタンパク質のもとになるアミノ酸を作ることができず枯れてしまいます。これがラウンドアップ®除草剤の除草効果のメカニズムです。
>私たち人間や動物はこのシキミ酸合成経路を持っていないので、グリホサートが効果を発揮することはありません。
>最近ネット情報等で「安全なら飲めるのか」という声があったりしますが、そもそも農薬は飲むために作られたものではありません。ラウンドアップ除草剤には有効成分のグリホサート以外に植物の体内にグリホサートを入れる助けをする石鹸の成分の界面活性剤がはいっており、石鹸は飲むために使われないのと同じ考え方です。

じゃあ、川や海にラウンドアップが流れたら、植物プランクトンや海草が死んで生態系に影響するんじゃないの?という疑問も無くもないですが、日本はそれ以前に乱獲をどうにかしなければならないんでしょう。中国が海を殺したり乱獲したりすることも心配しなければなりませんが(海流は中国から日本に流れます)。

自分は詳しくありませんけれども、他にもアメリカの農業に関する知的財産権や農機の輸出(ディア・アンド・カンパニー、ニューホランド、マッセイ・ファーガソン(筆者の生まれ育った地区には井関農機という会社があってマッセイ・ファーガソンが関係しているようです)は日本でも著名なようです)、ドローンの利用(あの国の安いドローンは脅威かもしれませんが)、農作物自体の輸出などビジネスチャンスはたくさんあると思うんですよね。広い南米なんか特に面白そうですが、不耕起のアイディアの応用も気候にあわせて有り得るのかもしれません(人件費が安い国では耕した方がコスト安かもしれませんが)。

米共和党でもトランプ政権に異論があるようです(対中制裁、米与党から異論 「支持基盤の農業に打撃」 日経新聞 2018/4/7 22:12)。

筆者は知的財産権で中国と戦うのは重要だと思いますが、共和党は中西部農業の支持を固めないといけない気もしますね。

アメリカで爆発的に増加している不耕起農業には(日本以外で)無限の可能性を感じます。日本の湿潤な気候がトランプ大統領に訴えられる時も近いのかもしれません。

イノシシと農業被害

2018-04-07 11:31:41 | 政策関連メモ
農業におけるイノシシの被害も深刻です。

野生鳥獣被害の現状(農林水産省)

被害が特に大きいのは、山陽地方や九州であるようです。九州の中で宮崎だけ被害が少ないことの一因に焼畑農業があるかもしれません(椎葉村の焼畑 - 祝・認定 世界農業遺産 高千穂郷・椎葉山地域 – miyazaki ebooks)。

対策としては、猪被害を防ぐには(鳥獣被害対策.com)や鳥獣被害対策コーナー(農林水産省)参照。結局は駆除・電気柵・藪を刈るといった対処法になるのではないかと思います。

イノシシを雑食性ですが、イノシシは何を食べている?(農研機構)を見ると、春の主食はタケノコとあります。「イノシシがタケノコを好むことは経験的に知られていたが、胃内容に占める根・塊茎の割合を調べたところ、3月から6月にかけて全食物の50%以上、多い月では80%に達した。」とのことです。冬が食料の少ない季節ですから、兵糧攻めが可能か分かりませんけれども(タケノコが無ければ別のものを食べるかもしれません)、それでも50%以上は多いですから、不要な竹林の伐採はひとつのアイディアであると思います。耕作放棄地の対策も必要かもしれません(イノシシの鳥獣被害と対策 農ledge)。栃木県益子町のイノシシ被害対策の取組(西明寺地区を例として)後編/現地視察(イノシシ対策の知恵袋)も参照しましたが、刈るなど物理的手段がいいのか、農薬の使用がいいのかその辺は良く分かりません。

森林部会の取り組み 放置竹林等の整備による 獣類被害軽減効果の解明(千葉県)を見ると、放置竹林が隠れ場所、餌場になっているのではないかと指摘されてますね。また、タケノコの収穫時期をたけのこの収穫時期はいつまででしょうか。(Yahoo知恵袋)で確認しましたが、寒竹や四方竹といった冬にタケノコが採れる種類も存在するようです。

山陰が山陽よりイノシシ被害が少ないのは、雪もあるかもしれませんが(冬に食料獲得が難しいと考えられます)、草刈り管理手法による冬期の果樹園の緑草の低減(島根県中山間地域研究センター)を参照すると、「果樹園において冬期に発生している緑草類が餌となって、シカやイノシシなどを誘引している可能性が高いことがわかってきました。。そこで、当センターでは 2007~2009 年に果樹園における獣類の利用実態と冬期に獣類の餌資源となる緑草類の発生を抑制できる草刈りの管理手法の確立に取り組みました。」とあります。

被害の地域性がどうも気になります。対処法に大きな地域性は無さそうですので、この地域性は被害が発生する農作物を生産しているか否かが大きく影響しているかもしれません。

イノシシによる被害を見ると、雪の降る地域はやはり被害があまり見られません(越冬が難しいからだと思います)。繊維質が食べられないことが鹿との決定的な違いだと考えられます。その上で良く食べている作物は、イネ・果樹・野菜・イモということになります。イネは雪の影響で分布が一致しませんが、果物や野菜・イモの産地とイノシシ被害が大きい地域は一致するような気はします。作物を変えるのは本末転倒ですから、被害が大きい地域で冬にエサがないようにできれば違ってくるかもしれませんが、全て禿山にする訳にもいかないでしょうし、結局狩猟でドンドン捕獲するべきなのかもしれません。

果物で言えば、みかんも深刻のようです(ハンターになってわかったみかん農家vsイノシシ闘争の深刻さ (BOY MEETS MEATS.com)。みかん生産上位県は軒並みイノシシ被害も大きいということになっています。

リュウキュウイノシシはウミガメの卵を食べる問題もあるようですね(ウミガメ産卵巣被害が最多 捕食防止へイノシシ駆除を 保護対策検討会 鹿児島県奄美大島 南海日日新聞 Yahooニュース)。ウミガメが減ってしまうと奄美の魅力が減じてしまいます(【奄美大島】美しい海を満喫できるシュノーケリングスポットはここ! Outfitter)

全国の野生鳥獣による農作物被害状況(平成27年度)(農林水産省)を見ると、農作物被害をもたらす鳥獣御三家はシカ・イノシシ・サルですが、それに次ぐのがヒヨドリです。ヒヨドリは美味しいらしいので、狩猟を奨励すると良いかもしれません。それに次ぐ被害の熊は基本的に希少種で緊急時以外は狩猟は奨励されないと思います。生態系上位で頭数は少ないけれども良く食べるから被害が大きいみたいな。観光にあまり使えなさそうですし、経済的にも安全面でもマイナスなのかもしれません。その次がカラスのようですが、駆除はされているようですね。都会に棲んでますし、数ほど農業被害もないのかもしれません。

鹿害(ろくがい)と対策考

2018-04-06 20:20:23 | 政策関連メモ

野生鳥獣による森林被害(林野庁)

>平成28年度における、シカやクマ等の野生鳥獣による森林被害面積は全国で約7千ヘクタールとなっています。
>このうち、シカによる枝葉の食害や剥皮被害が全体の約8割を占めていて、深刻な状況となっています。

7000ヘクタール(ha)は、東京ドーム約1497.166個分です(tanihenkan.info)

平成28年度 主要な野生鳥獣による森林被害面積(林野庁)を参照すると、約半分の2968haの被害が北海道で起こっています。その内80%以上2402haがシカによるものです(残りはノネズミとノウサギ)。

平成26年度 森林鳥獣被害対策技術高度化実証事業(北海道・東北)報告書(林野庁)を参照すると、被害がもっとも深刻なのは日高ですが、十勝~釧路、知床の被害もかなりのもののようです。地域特性に応じた獣害対策の手引き(北海道立総合研究機構)を参照すると、日高では「広葉樹は約7割、カラマツ類は約半数の調査箇所でエゾシカの食痕が確認されている」とのことです。エゾヤチネズミの被害もそれなりに大きく、対策はとられているようです。

エゾユキウサギ(ウィキペディア)の被害もあるようですが、個体数が減少しているようで、農業が盛んな地域では嫌われる可能性もあるかもしれませんが、場所を定めるなどして保護することは考えられると思います。捕食者である猛禽類などの個体数にも影響を与えるとされますし、あるいは観光に利用できるかもしれません。

エゾユキウサギ(鶴居の仲間/丹頂と釧路湿原の鶴居村を楽しむ会)
エゾユキウサギの足跡(鶴居の仲間/丹頂と釧路湿原の鶴居村を楽しむ会)

釧路湿原野生生物保護センター(環境省)には保全医学をテーマとして活動する獣医療機関である猛禽類医学研究所もあるようです。保全医学に関する専門教育の現状と今後(酪農学園大学学術研究コレクション)を参照すると、現行の過密な獣医学部正規専門課程に組み込むことは不可能とされ、したがって,必然的にこれらは専門職大学院,あるいはそのほかの卒後教育に委ねられることになるようです。専門職大学院としては英国ロンドン大学TheRoyalVeterinaryCollege(以下,RVC)が唯一だそうですが、日本ではどうなんでしょうね。素人考えですが、研究フィールドの近さを考えると、帯広畜産大学か北海道大学あたりにと考えてしまいます。高速も開通していますし、帯広でも千歳との連絡は悪くないんじゃないでしょうか。

北海道の森林・林業(北海道森林整備担い手支援センター)を参照すると、「林種別でみると、人工林が約3割、天然林が約7割を占め、人工林は、トドマツ(52%)、カラマツ(30%)などの針葉樹が中心で、天然林は、エゾマツ、トドマツなどの針葉樹とシナノキ、ミズナラなどの広葉樹が混じり合った「針広混交林」が広がるなどの特徴を持っており、北海道特有の雄大な景観をつくっています」とのこと。トドマツはパルプなんかに使えるようですが、カラマツ〔唐松・落葉松〕(森林・林業学習館)は成長が早いため大量に植えられたものの、用途が無くなってしまい、現在新たに用途が開発されつつある樹種のようです。北海道の林業は輸入材の減少を受けて活発化しつつあり、新規参入者は建設業からの参入が最も多く、若年者の比率も増加しているようです。

日高で鹿が特に増えているのは、馬産地ですから、音に敏感な馬(馬の豆知識 みんなの乗馬)に配慮して狩猟が実行できていないのではないかと考えられます。これの対策は例えば特区を設定して猟銃へのサプレッサー(消音器)装着を認めることが考えられると思います。

十勝や釧路の山奥の鹿害も気になります。この辺は火山も多いですし、人の手が入っていないところがやはり鹿が多いのではないかと思います。雌阿寒岳(ウィキペディア)では、「高山植物の女王」と呼ばれるコマクサの盗掘があったり、採取禁止のマツタケが生えていたりするようです。鹿害対策とあわせてレンジャー部隊を配置することは考えられると思います(人があまりいないようですから、地元の方々の努力では維持できないと考えられます)。また、レジャーによる狩猟の奨励も一案だと思います。

世界遺産の知床の鹿害も気になるところです。知床におけるエゾシカ樹皮食害の現状と地域と連携した森林保護活動の取組み (林野庁/知床森林センター)を見ると、知床半島のエゾシカは絶滅寸前のところから回復したようであり、キッチリ対策を行っていかなければ、どれだけ増加するか分かりません。知床の課題(知床財団)でもエゾシカの食害の問題は指摘されています。知床財団では危険なヒグマ対策(ヒグマに対する私たちの考え方と取り組み)を行っているようですが、鹿の食害対策は研究段階のようです。オオカミの再導入に関して言えば、少なくとも知床では中々難しい感じです(知床に再導入したオオカミを管理できるか 知床博物館研究報告)。

猟師は高齢化が進んでいるようです。若年層の猟師が不足しているのであれば、例えば鹿(やイノシシ)に限った免許を創設することが考えられます(狩猟免許の実際に関して狩猟免許を取得する(狩猟の魅力まるわかりフォーラム)参照)。他の動物は撃ってはいけないのですから、覚えるべきことが少なくなり、免許取得のハードルが下がりますし、間違って狩猟鳥獣と誤認されやすい鳥獣を撃つこともありません。欲が出てくれば、勉強して改めて狩猟免許をとってもいい訳です。狩猟税の減免・廃止や特区を設けて越境を認めることや、処理済のシカの持ち込みの報酬に補助を出すことも考えられると思います(処理法に関して、よくあるご質問(日本ジビエ振興協会)参照)。また、公務員の副業禁止規定で狩猟を外すことも考えられます。自衛官や機動隊員なんかは良い訓練にもなるんじゃないでしょうか。巻狩や鷹狩りは武士が訓練として行ってきました。動く的を実弾で撃つ経験を積む機会にもなるかもしれません。

エゾシカと本州シカ(GIBIER HUNTERS)は味に違いもあるようです。鹿や猪は野生動物ですから、赤身肉でヘルシーさがあり、希少性もあって人気はあるようです(ファン急増中、ヘルシーな「ジビエ料理」にチャレンジ 専門店が続々登場、肉好きが注目する話題の狩猟肉 日経ウーマン 2016年3月3日)。北海道は若手ハンターも増え、シカ肉の流通も増えているとか(若手ハンター10年で3倍 シカ肉流通 拡大に期待 食害防止/ジビエブームも背景(北海道新聞 04/06 20:21)。

北海道を離れますと、中部山地の鹿害も気になります。八ヶ岳の高山帯におけるシカ被害調査報告書(中部森林管理局)を参照すると、高山植物や固有の植物に対する食害もわりと進んでいるようです。日本には昔は鹿の強力な捕食者であるところのオオカミもいましたし、中山間に人がいたり、薪をとるために森林を伐採していたり、現在の環境は未だかつてない新しい状況だと考える必要があると思います。高山帯におけるニホンジカ対策について(中部森林管理局)を見ると、対策では山小屋の協力も必要かもしれません。登山者が出すというのもあるかもしれませんが、ゴミはエサになるでしょうし、高山で肉を食べるなら、そこにいる鹿がもっとも経済的でエコだと思います。一々下界から肉を持ってきたり(ダメではありませんが)、下界と同じものを出したりするのも疑問でしょう。獲れた鹿肉を降ろすのも大変だというのもありますし、きちんと処理しないとスカベンジャーであるところのツキノワグマやキツネ・タヌキが増える可能性もあると思います。

近畿でも四国でも九州でも鹿害が目立つ地域があるようですが、ここでは詳しくは取り上げません。愛媛県でも鹿肉をブランド化しようという取り組みもあるようです(森の息吹/まつのジビエ)。

最後に九州ですが南西諸島の屋久島のヤクシカについて取り上げます。3年間の調査で分かってきたヤクシカの実態。(日本自然保護協会)を参照すると、「増加したシカはスギ人工林よりも自然林、すなわち保護地域に集中していることが分かりました」ということで、環境志向が強まって広葉樹林が増えますと、鹿害は寧ろ増えることが予測されます。環境を守る上で鹿を獲らないという選択肢は存在しないのかもしれません。

日本は縄文時代は鹿やイノシシを良く食べていたようですが(縄文人は、何を食べていたの? 群馬県埋蔵文化財調査事業団)、仏教伝来以降基本的には肉食は禁止されてきたとされます。ただ、諏訪神社が鹿食免を出しており(信州ジビエの魅力(信州ジビエ)、諏訪神社は日本の至るところにあるなど(肉食が禁じられていても、これさえあれば大丈夫【鹿食免】 ヘソで茶をわかす 2015-12-07)、必ずしもこれは守られてはこなかったようです。オオカミと共に人間が鹿を捕食することで生態系のバランスがとれてきたのではないでしょうか?

屋久島には益救神社(ウィキペディア)があったり、律宗であったり、法華宗であったりしたようですが、検索した感じでは鹿食は確認できません。オオカミもいませんし、ヤクシカの増え過ぎの問題に疑問が出てくる訳ですが、考えられるのは①自然に何処かでブレーキがかかるので増え過ぎは有り得ない②実は食べていた/殺していた③他に鹿の増加を防ぐ要因がある、ということになります。

①に関して言えば、鹿は草食の大食漢であり、「固有種を含む多くの植物が、ヤクシカの摂食圧の増加により急速に減少している」との指摘もあります(ヤクシカ増加の下での屋久島の植物:現状・絶滅リスク・保全対策(九州大学)。瀬戸内の無人島に鹿はいて植物を食べ尽くして滅びたという話もないようですが、食物が少なくなってくれば、ヤクシカのように小型化していき自分達を滅ぼすほどは食べないのかもしれません(食料が減れば捕食者の数は減り捕食者の数が減れば食料は増えて均衡します。こうした状況下で食料が少なくて済む小型の個体は生存競争で優位に立ちます)。鹿やヤギといった草食動物の移入は、固有種の絶滅リスクに目を瞑れば、花粉は幾らでも空から飛んでくるということにはなるのかもしれません。いずれにせよ、鹿害は存在しますから、駆除の必要性がないということはないと思いますし、屋久島には大きな環境変動要因であるところの人は(鬼界カルデラの破局噴火以降かもしれませんが)ずっと住んでいますし、これからも住むでしょうから、奥山の原生林はまだしも、人間が手をつけていない自然を想定する必要はないと考えられます。

②に関しては良く分かりませんが、史料や伝承がないだけの可能性もあります。一湊松山遺跡(鹿児島県上野原縄文の森)では、砂層のため食物残滓と考えられるイノシシやシカの獣骨も出土したようです。

③に関して言えば、ヤクザルの存在が気になります(哺乳動物相 YNAC)。「屋久島は、意外なことに大型動物の種類は少なく、「人2万、シカ2万、サル2万」といわれるように、人とシカとサルの島です」ということですから、人間と共にサルファクターを考えないシカ考察がないと考えられます。ヤクシマザル(ウィキペディア)は広葉樹でエサをとっているようであり、ヤクシカと生息地はかぶるようです。西部林道ではヤクザルの増加とヤクシカの増加が同時に見られるようですが、名古屋大学理学部生命理学科集中講義「霊長類の採食生態: 適応と進化」第4回 霊長類が生態系で果たす役割 京都大学霊長類研究所 半谷吾郎を参照すると、「サルが落とした葉を食べるシカ。屋久島の西部海岸ではシカの採食による植生破壊が進んでおり、サルがいなければシカはもっと早い勢いで植生を破壊していくかもしれない」とあります。つまりサルの駆除をすればシカも減るという因果関係があるのかもしれません。冬の鹿の食べ物(DEER INFO-日本で唯一の鹿情報総合サイト)に落ち葉があり、冬は食料が少なく鹿が命を落とす季節です。