愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

古い日本語の発音なのか? 佐田岬半島のタ行発音

2012年09月11日 | 口頭伝承
関西で同じ日時でやっていたかはわからないのだが、

2012年2月11日に愛媛で放送されたテレビ番組「探偵ナイトスクープ」。


ここで、愛媛県の佐田岬半島の与侈集落の方言(というより発音)が紹介された。

タ行が「タ・チ・トゥ・テ・ト」となるというのである。

ツがトゥになるので、

つくつくぼうーしは、とぅくとぅくぼーし。

つつじは、とぅとぅじ。

ずつうは、どぅとぅう。

このように発音されるということだった。


言語学に疎いので確たることは言えないのだが、

もともと古い日本語では、タ行は「タ・ティ・トゥ・テ・ト」だったらしい。

現代の日本語(共通語)ではティとトゥが 破擦音化したため、チ、ツと発音するようになったが、

地域によって古い発音のティやトゥがそのまま残っている場合があり、

佐田岬半島の与侈では、トゥが現在でも使われている。

つまり、これは古い日本語の発音が残されている事例だと考えることができるのである。


ちなみに、タ行。ローマ字で、単純に書いてみると(chiなどは無視)、
  
ta ti tu te to

普通に読めば、 タ・ティ・トゥ・テ・ト になる。

破裂音として、日本語のチやツの発音が、歴史とともに変化したことは十分に考えられる。

これが日本全国、それぞれの地域でどのような変化を遂げて、現在、どんな分布になっているのか。

知りたいものである。これは沖縄の音韻も含めての話である。


ナイトスクープで紹介されたこの愛媛県伊方町(佐田岬)の言語伝承。

非常に興味深い。
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