愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

一夜も十夜の橋と思ほゆ

2019年09月30日 | 日々雑記


昨年の豪雨でも暫し寝ねつるかも。弘法大師。大洲、十夜ヶ橋。

平成30年7月豪雨。7月7日に十夜ヶ橋永徳寺は浸水。橋の下に祀られている弘法大師像は浸水しつつも流出は免れ、いまも寝ておられる。


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第9回西予市俳句大会

2019年09月29日 | 日々雑記





本日は、西予市図書交流館にて、第9回西予市俳句大会が開催されました。

100名以上の参加者。会場は非常ににぎやか。

西予市の俳句は幕末の卯之町天満宮(今の王子神社境内)に卯之町結社の俳額があり、江戸時代からの伝統を持つ。昭和13年には上甲平谷により『俳諧芸術』が創刊され郷土俳句の担い手が増え、戦後、昭和24年に三好月桃が『峠』を創刊。その後、上甲明石を中心に俳句熱は高まる。

西予市俳句大会の前身、俳句フォーラム時代からすれば約30年、毎年、盛大な俳句大会が開かれている。

今年の第9回にて、大本が基調講演。演題は「西予の文化を見つめなおすー地域文化活動の継承に向けてー」。愛媛、西予の祭り、郷土芸能、年中行事を紹介し、地域ごとに特徴のある文化が継承されていることを紹介。そして、昨年の西日本豪雨からの復興に、いかに地域文化が寄与できるのか解説した。特に愛媛では俳句が日常化しており、被災後の心の復興に俳句が役立つ可能性を紹介した。

選者も務め、特選には拙著『民俗の知恵』を贈呈するという、少し気恥ずかしいところもあったが、なんとか講評も終わり、一安心しているところ。

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愛媛県内の自然災害伝承碑(大洲市長浜町)

2019年09月27日 | 災害の歴史・伝承





明治19(1886)年9月24日、愛媛県内は台風が襲来し、豪雨となっていた。現在の大洲市長浜町須沢(当時、櫛生村)において大規模な「地すべり」が発生する。須沢川の谷に面した山腹が一気に崩壊してしまう。この付近は三波川帯。急傾斜地の崩落は他地域よりも少ないが、地すべりが発生しやすい地質。大洲市、八幡浜市域の災害の地域的特徴とえいる。この地すべりによって、死者39人、家屋の埋没72戸、田畑の流失7.6haという大きな被害となった。その3年後、明治22年に犠牲者の慰霊のための地蔵菩薩と、災害の経緯を刻んだ石碑が建立された。今年2019年、地図記号に「自然災害伝承碑」が新たに加えられたが、愛媛県内では唯一の登録となっている(9月17日現在)。愛媛に自然災害伝承碑は他にも数多く存在する。これらが早く登録されんことを願う。

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平成30年7月豪雨での浸水高の表示(大洲市)

2019年09月26日 | 災害の歴史・伝承
大洲市。平成30年7月豪雨での浸水高の表示を探して歩く。

四国別格二十霊場の十夜ヶ橋永徳寺。本堂は解体され、本尊は大師堂に移されています。大師堂は明治中期の建築。彫刻は長州大工によるもの。
浸水した大洲市立図書館。蔵書は浸水当日に職員総出で高い場所に移動させてなんとか無事。電気系統が被災して1ヶ月休館。
















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伊方原発訴訟記録廃棄(愛媛新聞)

2019年09月24日 | 日々雑記
愛媛新聞2019年9月24日よりメモ

「民事裁判記録廃棄 伊方1号機訴訟も 松山地裁 将来検証困難」

全国初の原発設置の是非を争った四国電力伊方原発1号機を巡る訴訟記録が廃棄。

「裁判が公正だったか、事実認定に誤りがないか。記録がなければ将来検証できない」。

松山地裁は「どんな判断で廃棄したか承知していないが、近年は公文書を含めて史料の歴史的価値や保存の必要性の認識が社会的に高まっており、変化を踏まえて適切に保存などを行なっていきたい」。

公文書管理法では対象が行政庁に限定されているが、欧米では司法、行政に関わらず公文書館が保存について指導、監督。

浅古弘氏(法制史)は「裁判所だけの問題ではなく、日本の公文書管理の仕組みが非常に脆弱。国全体でもう一度在り方を考え直す必要がある」。

以上、記事抜粋。


先月からかな。共同通信の記事以降、全国の裁判所で歴史的な民事裁判の記録が多数廃棄されていたことが記事になっている。今回の愛媛新聞の取材はその流れかなと。

判決文など結論文書は保存されているだろうけれど、審理の過程が全くわからなくなる。検証できなくなる。

裁判記録は、最高裁まで争われたものでも最高裁や高裁では保管されない。記録は地裁に戻されて保管されるのがルール。地裁で裁判記録が廃棄されれば、判決文以外、何も残らなくなる。

規定では判決文の保存期間は50年。民事裁判の記録は確定後に一審の裁判所が5年間保存し、その後に廃棄。

規定通りに適切に処理した、ということなのだろうが、重要な裁判記録が規定どおりに廃棄されることが常態化していたことに驚かされる。

重要な憲法判断や判例、社会的に注目された裁判は、「史料または参考資料となるべき記録」は「特別保存」として永年保存されることが義務づけているのではなかったのか。この特別保存はなかなか適用されず。適用の判断をする文書管理の専門職員がいない中では難しいのかも。

伊方訴訟の記録廃棄。そして愛媛には県の公文書館が設置されていないことも含めて、歴史的公文書の管理の現状への危機を感じてしまう。

裁判所で廃棄されているので、伊方訴訟では原告の住民側で保存している裁判記録が後世、非常に重要な歴史的資料になる。その整理、保存がこれからとても大事。伊方訴訟だけでなくて、今治織田が浜や長浜臨海工業開発や、宇和島市ごみ焼却場など、愛媛における住民訴訟は、それぞれ原告側の記録保管状況を確認しないといけない。時間が経って、世代が変わって原告側でも廃棄されてしまったら・・・。それを住民側に求めるのも酷。やはり、司法の公的責任として、住民運動に関する裁判は特別保存扱いで永年保存しないと・・・。

なお、伊方訴訟については資料集がクロスカルチャー出版から刊行されている。これが裁判記録の一部かもしれないし、刊行されたものの中で廃棄されたものもあるかもしれない。

『伊方原発設置反対運動裁判資料 全7巻』
http://kw.maruzen.co.jp/ln/set_series/64_crosscultureshuppan.pdf

【2019年9月25日追記】
裁判記録は廃棄とのことですが、地元住民側で残してきた記録については保存、整理の取り組み。昨日会合あって、今朝の新聞にも取り上げられていました。

以下、愛媛新聞 2019年9月25日より抜粋

「伊方原発反対軌跡を後世に 八西協故広野さんらの私信や日記2000点 神戸大大学院講師ら」「南海日日で論陣 近藤さん遺稿も 妻 次の運動につなげて」

四国電力伊方原発の建設当時から続く地元団体の反対運動について、神戸大大学院などが資料の保存を進めている。資料は日記、写真、裁判記録、チラシなど。吉川圭太特命講師が、24日、八幡浜市で中間報告し「これほど体系的に残された反原発運動の記録はまれ。多くの人が活用できるようデジタル化などを進めたい」 「学生運動やローカルメディアの動向、他地域との連携など、多様な情報が含まれている。住民の生活に根ざした人類史的に貴重な資料」と述べた。

資料は、地元住民らでつくる「伊方原発反対八西連絡協議会」の元会長で2005年に死去した広野房一さんらが残した2000点余り。

保存が進められている伊方原発反対運動資料には、地域紙「南海日日新聞」の記者として反原発の論陣を張り続け、2015年に死去した近藤誠さんが残した数百点も含まれている。

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祭り文化と災害からの復興

2019年09月23日 | 災害の歴史・伝承


台風も過ぎ去り、今日は天気に恵まれる。

宇和島市吉田町の「吉田ふれあい国安の郷」にて行われた「復興ふれあい市」へ。

講座「祭り文化と災害からの復興」をテーマに、愛媛の祭り、吉田秋祭り、災害と祭りについて話してきました。

午後は吉田の町や立間をぐるり。そして一路、西予市野村町へ。こちらでもちょっと町歩き。


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大洲市長浜町 昭和18年水害での浸水高

2019年09月17日 | 災害の歴史・伝承
大洲市長浜町白滝。肱川沿い。白滝公民館前。昭和18年と昭和20年水害時の水位表示。


昭和18年水害では、今の白滝公民館で約2.2mの浸水高となります。昨年の水害では玄関前まで。76年前はそれよりも約2m高く浸水。

近くの消防団詰所には平成30年7月豪雨時の水位。

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岩手県宮古市田老第三小学校と愛媛県西予市

2019年09月17日 | 災害の歴史・伝承
昨日、ギャラリーしろかわを見学。第25回かまぼこ板の絵展覧会では、昨年の西日本豪雨からの復興に関するメッセージを込めた作品が多く、アートを通じた復興の形を少し垣間見たような気がしました。

ギャラリーの職員さんと雑談。その話の中で、岩手県宮古市の田老第三小学校。今年の春に閉校していたことを知りました。東日本大震災以降、ギャラリーしろかわ「かまぼこ板の絵展覧会」を通じて西予市と交流。西日本豪雨の直後には激励のお手紙がいち早く届き、ギャラリーしろかわで掲示されていました。(写真は、昨年7月の掲示の様子。現在は第25回展覧会にて2011年受賞作品が展示されています。)

【岩手日報】命と防災学び校史に幕 地域被災の県内2小閉校式
https://www.iwate-np.co.jp/article/2019/3/18/49825

【毎日新聞】西予市に宮古市の児童から激励の手紙(動画有り)
https://mainichi.jp/articles/20180731/k00/00m/040/103000c

田老第三小学校と西予市のギャラリーしろかわとの交流は、児童のかまぼこ板の絵の応募が東日本大震災の発生約3時間前に投函され、それが震災後の混乱の中、8日後に西予市に届いたことがきっかけでした。この応募作品は感動賞を受賞。そして児童らを西予市に招待して、その後も作品応募は続き、手紙の交換など交流が続いていました。田老第三小学校では7月7日の豪雨災害で西予市の被害をニュースで知り、5、6年生4人が発案し、手紙を書き、寄付も送ってくれました。寄付には卒業生、住民も協力したとのこと。






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野村町の史跡めぐりツアー

2019年09月16日 | 自然と文化
歴博友の会現地学習会。野村の町歩き。三嶋神社で宮司さんから豪雨での被災、そして今の復旧の状況をお話しいただきました。そのあと桂川渓谷へ。四国西予ジオパークのジオガイド河野さんによるガイド。内容の深さ、分かりやすさに加えて、トークの技術もすごい。参加者みんな引き込まれてました。桂川渓谷は土砂流入や橋が流されていて、奥は立ち入り禁止。ごく一部の見学ではありましたが、今回の豪雨に伴う自然のはたらきに注目して、そもそも渓谷かどのように形成されたのかなど考える機会ともなりました。

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講座「南予で読む柳田國男『遠野物語』」

2019年09月15日 | 祭りと芸能
講座「南予で読む柳田國男『遠野物語』」

ちょっと強引に愛媛・南予と東北・遠野を関連させて、愛媛県歴史文化博物館で、民俗講座「南予で読む柳田國男『遠野物語』」を9/21に開催します。

「天神の山には祭ありて獅子踊(ししおどり)あり。ここにのみは軽く塵たち紅き物いささかひらめきて一村の緑に映じたり。獅子踊というは鹿の舞なり。鹿の角をつけたる面を被り童子五六人剣を抜きてこれとともに舞うなり。」

獅子踊(鹿踊)、姥捨て、河童そして津波災害など、南予と岩手県の事例を取り上げつつ、『遠野物語』の内容を紹介する予定。

日時 9月21日(土)13時半から
会場 愛媛県歴史文化博物館

http://www.i-rekihaku.jp/learn/rekikouza.html

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[参加者募集中】古代の塩づくり体験

2019年09月15日 | 生産生業
【参加者募集中】「古代の塩づくり―藻塩づくり体験―」10/.13 会場/西予市明浜町大早津海岸 集合場所/愛媛県歴史文化博物館

#藻塩 #塩づくり #古代 #製塩 #万葉集 #愛媛 #西予市 #歴史 #考古学 #民俗学 #瀬戸内海 #宇和海 #弥生時代 #奈良時代


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よみがえる地域文化 吉田秋祭り

2019年09月15日 | 災害の歴史・伝承

国立歴史民俗博物館にて、愛媛県宇和島市吉田町の秋祭りが紹介されています。平成30年7月豪雨の被災を乗り越えようと前を向いて秋祭りを実施。昨年の秋祭りには国立歴史民俗博物館の先生方もお見えになって、展示の運びとなりました。会期は11月4日までです。

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特集展示 よみがえる地域文化 国立歴史民俗博物館ホームページより

東日本大震災以降、日本列島はいつ災害に襲われてもおかしくないという認識が社会の隅々にまで浸透しつつあるように思われます。さらに地域社会の過疎化や高齢化にともなって、地域のなかで保持継承されてきたさまざまな資料が亡滅したり、著しい変容の危機にさらされたりしています。

しかしその一方で、地域文化の持続や復興に取り組もうとする営みもさまざまなかたちで行われています。今回の展示では、宮城県の気仙沼、福島県の只見、岩手県の岩泉、愛媛県の吉田(宇和島市)などにおける災害とそこからの復興のなかで、改めて確認されたさまざまな資料に光を当ててみます。

被災地における祭りの継続にまつわる努力や工夫、瓦礫の中から見いだされた資料からうかがえる地域のなかの交流関係、かろうじて亡滅から免れた資料の分析による新たな地域史の可能性、さらには生活の危機に対応する文化の伝統などを写真・映像などを交えて紹介し、それらを通じて現代における地域コミュニティの文化的可能性について考えてみたいと思います。

※なお、この特集展示は人間文化研究機構広領域連携型基幹研究「日本列島における地域社会変貌・災害からの地域文化の再構築」による成果発信の一環です。




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日本ミュージアム・マネジメント学会中四国支部研究会

2019年09月13日 | 災害の歴史・伝承
9月21日、22日には愛媛県伊方町にて日本ミュージアム・マネジメント学会中四国支部の2019年研究会が開催されます。私も口頭報告します。

9月22日 9:00-10:00大本敬久「地域の危機・文化の再構築 -災害・過疎化・高齢化時代の地域文化遺産の保護と活用-」

会場は、瀬戸アグリトピア。

詳細はこちらです。

日本ミュージアム・マネジメント学会のホームページ


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講座「祭りと災害」宇和島市吉田町復興ふれあい市

2019年09月13日 | 災害の歴史・伝承
9月23日(祝)の「復興ふれあい市」 in 吉田ふれあい国安の郷。

10時〜12時。自分も参加して会場の一角で講座(スライド上映&トーク)やっています。テーマは「吉田秋祭りと災害からの復興」です。

愛媛そして吉田の秋祭り。各地の牛鬼、鹿踊り。西日本豪雨での祭りの被災状況と復旧、復興の現況を紹介する予定です。

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【復興ふれあい市(手づくり市)」の開催について 】

宇和島市吉田ふれあい国安の郷で「復興ふれあい市(手づくり市)」を開催いたします。陶器や手づくりの小物、雑貨等の販売があります。開催当日、国安の郷の入場料は無料。ぜひおこしください。

【開催日時】
令和元年9月23日(月曜日・祝日)午前10時~午後3時 (雨天決行)

【開催場所】
吉田ふれあい国安の郷(宇和島市吉田町鶴間1503)

https://www.city.uwajima.ehime.jp/soshiki/33/hureai21.html

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講座 愛媛で読む万葉集

2019年09月08日 | 地域史
今朝は保内ゆめみかんで万葉集講座。

文献史料から見た古代の八幡浜ー新元号「令和」と「矢野神山」ー

この半年、令和・万葉集ブームで講座依頼や取材が多かったのですが、万葉集絡みの依頼は本日で完了。ブームはあっという間に過ぎ去ったのでした。

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