愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

saveMLAKの緊急討議の開催結果

2011年04月26日 | 災害の歴史・伝承
4月23日に学習院大学を会場に行われたsaveMLAKの緊急討議「東日本大震災 被災支援とMLAK-いまわたしたちにできることは」

(MLAKとは博物館・美術館、図書館、文書館、公民館のこと。)

当日の会場の様子を中継した動画がUSTREAMで見ることができました。

http://www.ustream.tv/recorded/14214310

また、当日配布された資料なども、このページでアップされています。
http://savemlak.jp/wiki/saveMLAK:%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88/20110423





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四国の玄関口 太陽石油旧本社(青木石油)

2011年04月25日 | 地域史
今、八幡浜港にいます。ここのロビーでは公衆無線LANが使えるので、重宝しています。八幡浜港の前にあった太陽石油旧本社(青木石油)の跡地が、このような「青木公園」になりました。一応、ありし頃の建物の写真や地図が石パネルで掲示されています。近代の四国の玄関口の顔だった建物でした。

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ビジターズハウスの展示

2011年04月25日 | 日々雑記


愛媛原発の近くにいる。原子炉建屋も実によく見える。今、愛媛原発すぐそばの道の駅の休憩所にてコーヒーを飲みながらパソコンを打っている。ここは原子力ビジターズハウスに隣接した建物。ビジターズハウスは原子力発電の仕組みを紹介した展示施設だ。久しぶりにここの展示を見た。先月から報道で流れている原発事故の情報が少しだけ頭の中で整理できた。このビジターハウスはもっと多くの人が見学すべきだとも思った。さて、通常、ここの原発は愛媛原発とは呼ばれることはない。町の名前で呼ばれている。今回の福島第一原子力発電所のように、福島市にあるわけではないのに県名で福島原発と呼ばれることと横並びで考えると、ここは愛媛原発と呼ぶことになる。このことは地元に住む人から言われて改めて気づかされたことだ。福島原発という県名であり原発から離れた市名の「福島」のネーミングにより、原発から距離のある中通りや会津地方にまで風評被害が深刻となっているが、かといって市町村名を冠名にして呼ぶことも別の意味での弊害が出てくる。どちらがいい・悪いと結論が出せるほど簡単な問題ではない。

ところで、私が住んでいる家は愛媛原発から20数キロの距離にある。実家はさらに近く、約10数キロの位置だ。おおむね20キロ圏内の市町では1970年前後以降の原発が建設される頃からの経緯を、町の中で体感しながら過ごしているし、この地域限定の地方紙でも頻繁に原発のことが取り上げられてきた。このため、少なからず原発に関する知識を持っている住民が多い。これは私が東京で過ごしていた頃に、原発の情報について周囲があまりにも疎いし、無関心さにちょっと驚いたという経験に基づく。ところが愛媛県内でも、あまり変わらない状況だと気づいた。愛媛原発20キロ圏から一つ峠を隔てて外に出ると、原発は完全によそ事というように認識している住民が多いという印象がある。その落差を、20キロ圏内の実家で過ごして、今、隣の30キロ圏の自治体に住んでいる自分はしばしば感じる。それ以前に、そもそも30キロ圏内に位置していることすら意識していない人の方が多いかもしれない。

いずれにせよ、今、愛媛原発は実際に存在し、稼働している。そしてそれに従事したり、関係したりしている住民も非常に多い。そして地域経済ならびに地位共同体の根幹にまで原発は浸透している。「原発をすぐに無くすべし」という意見もあろうが、即無くすことは、現在の地域の構造を根本から覆すことになる。かといって、今回の福島第一原発の規模の事故が発生すれば、当然、地域そのものが崩壊の危機を迎える。どちらを選択しても地域の根源を揺さぶられる事態になる。その現状の中で、これからの2010年代以降をどのように進めばよいのか。これは、ここに住む人間が向き合わざるを得ない課題である。愛媛原発近隣市町に住む身としては、今回と同様の事故が二度と起こらないよう願うし、原子力の現状・現実を知っておく努力だけは避けてはいけない。そう思っている。そのため今、愛媛原発のすぐそばでコーヒーを飲んでいる・・・というわけではない。今日は久々に仕事が休みなので、体をケアするため温泉に入ろうと車を走らせた。すると必然的にここを通らざるを得ない。それで帰りに休憩して、今ここにいる。ただそれだけの日常だ。

ここに来てみると、愛媛原発のビジターズハウスを、もう一度見学してみるのもいいかも。と思って書いた文章。今も左を向くと、原子炉建屋がよく見える。ここから四国の約半分の電力がつくられている。これが現実。



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「時の迷路」展を楽しむ! USTREAM動画配信しました。

2011年04月25日 | 日々雑記
先日開幕した愛媛県歴史文化博物館の特別展「時の迷路-香川元太郎のフシギな世界-」の展示室内の様子を、展示担当者の私、大本が約6分でレポートしました。USTREAMでの動画配信です。

愛媛・八幡浜TV on USTREAM
http://www.ustream.tv/channel/nanyotv

迷路に、かくし絵に、クイズ。各時代の歴史を楽しみながら展示室を探索します。


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4月26日 東北歴史博物館再開

2011年04月24日 | 災害の歴史・伝承
地震後休館していた東北歴史博物館(宮城県多賀城市)が4月26日に開館。建物は大丈夫のようですが、空調、映像施設などが完全に復旧していない中で、職員が温湿度をモニタリングしながらの開館だとうかがいました。最寄りの国府多賀城駅のある東北本線も数日前に再開しています。

東北歴史博物館(宮城県多賀城市高崎1-22-1)
http://www.thm.pref.miyagi.jp/


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日本博物館協会のホームページ

2011年04月24日 | 災害の歴史・伝承

財団法人日本博物館協会のホームページに震災関連のリンク集が掲載されました。

http://www.j-muse.or.jp/

会員館の「東北・関東大震災による被害状況」についても4月14日付で更新されています。


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新縁型地縁としての八幡浜本舗

2011年04月24日 | 日々雑記
大本です。昨日、八幡浜の情報発信をしているブログをとりまとめている「八幡浜本舗」の氏間さんのご好意で、このブログも本舗に登録していただきました。

http://www.yawatahamahonpo.com/


八幡浜ブロガーのみなさま、今後ともよろしくお願いします。

さっそく、今日の夜がオフ会だとか。いやー、これはすごい地域内ボランティアネットワークですよ。

新縁型地縁とでもいうか•••。「地域おこし」よりも「地域づくり」。新しい時代の地域のつくり方、創造の仕方。こんな印象を「八幡浜本舗」見ていたら感じます。

八幡浜の現在と未来を構築するスキルとビジョンが描きやすい「場」としての八幡浜本舗。

たのしみですらい。

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開幕!「時の迷路―香川元太郎のフシギな世界―」展

2011年04月23日 | 日々雑記
去年(平成22年)の8月、香川元太郎先生に唐突に連絡を入れた。全く面識はなく、本当に突然のアポだった。愛媛県歴史文化博物館で香川先生の作品を展示したいという申し出。これを快く承諾していただき、9月中旬に夏休みの展示会で借りていた資料返却で東京に行く際に、香川先生のご自宅まで足をのばして、直接ご挨拶と打合せをした。

当初は、平成24年度の開催を考えていたが、館内の今後の展示スケジュール等の調整から、平成23年ゴールデンウィークに開催という案が会議で急浮上した。たった半年後である。通常、この規模の展示を準備するにあたって作者との打合せ等には少なくとも1年以上はかかる。無理を承知で香川先生に申し出た。

先生は既に半年後のスケジュールが入りつつあったようで、しかも次作の迷路絵本の創作・出版もタイトなスケジュールだとうかがった。こちらが展示会を準備するにしても、実際には香川先生の手をわずらわすことが多いのは目に見えていたので、忙しい先生をさらに忙しくすることに申し訳ない気持ちだった。しかし、もう後ろには引き下がれない。どうしても展示会は開催させたい。その意欲は少しも揺るがなかった。

何せ、この展示会、開催できれば歴史に興味を持つ子どもが確実に増える。愛媛において、歴史・文化に興味を持つ次世代の養成のためにも、どうしても開催させたい展示会だったのだ。実際、自分も香川先生の迷路絵本を楽しんでいた。大人も充分楽しむことができる。子どもから大人まで歴史を学びながら楽しむ。こんな展示会の企画はなかなか思いつかない。

9月14日、香川先生のご自宅にうかがって開催の内諾をいただき、展示の準備がはじまった。

それにしても、香川先生の迷路絵本との出会いは、何と自宅だった。娘が幼稚園の頃に家で『時の迷路』を読んでいたのだ。見ると「愛媛県生まれ」と著者紹介に書いてある。そうか!歴史イラストの香川元太郎さんか!と、その時にはじめて理解できた。愛媛では、村上水軍博物館に香川先生の絵が飾ってあり、「歴史イラストの香川先生」のイメージを持っていたが、迷路絵本を出版されているとは、恥ずかしながら存じ上げなかった。娘が読んでいた『時の迷路』を即、取り上げて、自分が楽しんだ。そして職場に持って行って、周囲にも「愛媛出身でこんな人がすごい人がおる!」と話をした。数ヵ月後(平成21年4月)に職場の同僚に、香川元太郎展をやりたいという雑談・相談をし、それが2年後に実現することになった。

娘には「私の『時の迷路』の本はどこいったん?いつ家に持って帰ってくれるん?」と何回も言われたが、娘の本はまだ私の職場の机の上にある。家に持って帰るの、もうちょっと待ってちょうだいね。




※今日、開幕しました。特別展「時の迷路―香川元太郎のフシギな世界-」。6月12日まで。詳細はこちらです。
http://www.i-rekihaku.jp/exhibition/index.html


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「みちのく怪談プロジェクト」と「ふるさと怪談トークライブ」

2011年04月21日 | 災害の歴史・伝承
昨年、話題になった「みちのく怪談プロジェクト」。

http://d.hatena.ne.jp/michikwai/

その開催を支えている仙台の出版社・荒蝦夷さんは、

東日本大震災でかなりの被害をうけたようですが、

第二回目の今年の「みちのく怪談プロジェクト」をどうしても開催したいとのこと。

そこで、雑誌『幽』編集長の東雅夫さんが、

プロジェクトを支援するため、以下のチャリチィ・イベントを発意され、

今、全国各地でその開催の調整に入っています。


詳細は、こちら。

http://blog.bk1.jp/genyo/archives/2011/04/01.php


趣意書を引用します。


【ふるさと怪談トークライブ企画趣意書】


 地域に根ざした文芸振興と、世代間/地域間コミュニケーション確立の一環として、仙台の出版社・荒蝦夷と作家・高橋克彦、民俗学者・赤坂憲雄、文芸評論家・東雅夫が中心となって2010年に開催された「みちのく怪談プロジェクト」は、東北各地で大きな反響を呼び、成功のうちに初年度を終了しました。

 ところが、関連書籍の発刊と第2回の開催へ向けて準備を進めていた矢先の3月11日――東日本大震災によって荒蝦夷の事務所およびスタッフの自宅は甚大な被害を被りました。
 スタッフは自分たちも家財を失った被災者であるにもかかわらず、現在は山形に仮事務所を構えて、再起を期しております。
 大手取次店に頼らず、東北一円の書店と直取引による地域密着型の経営を旨としてきた荒蝦夷にとって、今回の震災は多くの取引先と店頭在庫を一挙に失うという深刻なダメージをもたらしました。
 にもかかわらず、被災直後から、荒蝦夷代表の土方正志氏は「鎮魂をテーマに、是が非でも第2回みちのく怪談コンテストを今年、開催したい」という力強い決意を表明されています。

 こうした現状に鑑み、本づくりや取材活動などを通じて、荒蝦夷と親しく交流してきた怪談作家・出版関係者有志により、このほどチャリティ・イベントの開催が発意されました。
 全国各地の取材先/関係先で「ふるさと怪談」をテーマとするトークライブ(講演+対談+怪談会)を催し、入場料の全額を「みちのく怪談」の活動資金として荒蝦夷に寄付するという趣旨の計画です。

【おもな内容】
基調講演「今なぜ、ふるさと怪談なのか?」東雅夫
怪談語り「私のふるさと、私の怪談」各回ゲスト作家
怪談会「ふるさとの怪談を語ろう!」地元有志+ゲスト作家+東

【発起人/運営責任者】
東雅夫(ひがし・まさお)
1958年、神奈川県横須賀市生まれ。アンソロジスト、文芸評論家、怪談専門誌「幽」編集長。
早稲田大学文学部卒。1982年に研究批評誌「幻想文学」を創刊、2003年の終刊まで21年間にわたり編集長を務めた。近年は各種アンソロジーの企画編纂や、幻想文学・ホラーを中心とする批評、怪談研究などの分野で著述・講演活動を展開中。
評論家として「ホラー・ジャパネスク」や「800字小説」などを提唱。
NHKテレビ番組「妖しき文豪怪談」「日本怪談百物語」シリーズ等の企画監修や、「幽」怪談文学賞、ビーケーワン怪談大賞、みちのく怪談コンテストなど各種文学賞の選考委員も務める。
著書に『怪談文芸ハンドブック』(メディアファクトリー)『遠野物語と怪談の時代』(角川学芸出版)ほか、編纂書に『文豪怪談傑作選』(ちくま文庫)『伝奇ノ匣』(学研M文庫)『てのひら怪談』(ポプラ文庫)の各シリーズほかがある。
※著者公式サイト「幻妖ブックブログ」http://blog.bk1.jp/genyo/
※ツイッター http://twitter.com/kwaidan_yoo



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緊急討議「東日本大震災 被災支援とMLAK」

2011年04月15日 | 災害の歴史・伝承
saveMLAK
博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト

このサイトに以下の情報が掲載されていました。



緊急討議「東日本大震災 被災支援とMLAK-いまわたしたちにできることは」

<日時>
2011年4月23日(土)13:00~14:30

<場所>
学習院大学(目白)南3号館203教室

<呼びかけ人>
saveMLAK有志 http://savemlak.jp/

<開催の呼びかけ>
3月11日の東日本大震災から一ヶ月が経ちました。この未曾有の災害に直面し、救命とライフラインの復旧が何よりの課題でありますが、同時に失われた多くの文化財のあることも私たち、博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)に関与するものは深い衝撃を持って受け止めざるをえません。震災の当日より現在まで、被災・救援情報サイトを構築しsaveMLAKにいたっている者たちの有志により、震災後、直近の関連学協会である日本アーカイブズ学会の年次大会に先立ち、標記の会合を持つことにいたしました。貴重な時間と会場をご提供いただきました日本アーカイブズ学会のご支援、ご協力に深くお礼申し上げます。限られた時間ではありますが、MLAKに関わる多くの方々のご参集と今後の取り組みの展望へ向けて、討議が広く展開されることを期待いたしております。

<協力(確定順)>
日本アーカイブズ学会、アート・ドキュメンテーション学会、情報知識学会、日本ミュージアム・マネージメント学会、大学図書館問題研究会、情報処理学会人文科学とコンピュータ研究会(CH研究会)

<スケジュール・登壇者>
13:00  開会

発言1 MLAKの展開 岡本 真(ARG)

発言2 Mからの報告 山村真紀(ミュージアム・サービス研究所)

発言3 Lからの報告 常世田良(日本図書館協会事務局次長)

発言4 Aからの報告 青木 睦(国文学研究資料館研究部准教授)

発言5 Kからの報告 神代 浩(国立教育政策研究所教育研究情報センター長)

発言6 文化財レスキューから 栗原祐司(文化庁文化財部美術学芸課長)

14:30  閉会

司会 水谷長志(東京国立近代美術館情報資料室長)



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saveMLAK博物館・美術館、図書館、文書館、公民館被災・救援情報サイト

2011年04月11日 | 災害の歴史・伝承

saveMLAK 

博物館・美術館、図書館、文書館、公民館(MLAK)の被災・救援情報サイト



http://savemlak.jp/wiki/SaveMLAK


東日本大震災での博物館・美術館・図書館・文書館・公民館施設の被災情報、救援情報を集約し、情報提供されています。博物館・美術館関係は、

SAVE THE MUSEUM 

http://www45.atwiki.jp/savemuseum/pages/13.html?pc_mode=1 

から移行されたものです。都道府県ごとや博物館、図書館といった館種別ごとに情報を得ることができます。

この情報発信は、ボランティアネットワークでなされているものです。このサイトを作成するにあたって情報収集、集約やページの管理など、大変な作業量でありますが、博物館関係では日本博物館協会といった既存の組織が発信する情報と比較できないほど多くの現地の情報が掲載されています。このサイトの作成・運営に関わっています皆様には頭が下がる思いです。本当にご苦労様です。


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福島県博物館協議会加盟館被災一覧

2011年04月09日 | 災害の歴史・伝承
福島県博物館連絡協議会のホームページに、4月8日付で東日本大震災加盟館被災一覧がPDFで公開されています。各施設の被害状況がまとめられています。


http://www.kenpakukyo.gr.fks.ed.jp/


なお、このブログでも「福島県の博物館の現況」を紹介してきましたが、協議会加盟館以外の施設の情報も紹介していますので、継続して更新していきたいと思います。

http://blog.goo.ne.jp/uchikonotemae/e/40d7635c8a157ab018ab5beefe5aa003





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文化財レスキュー事業

2011年04月08日 | 災害の歴史・伝承
時事ドットコムに先ほど掲載された記事です。

被災地の文化財保護=仙台市博物館に現地本部-宮城県
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2011040700692



※ここからは、この記事を読んでの私の感想です。誤解も含まれているかもしれませんがご容赦ください。


先日、プレスリリースのあった文化庁の「文化財レスキュー事業」。被災県、今回の場合は宮城県にて現地本部(仙台市博物館)が設置されることになったようです。現地本部は各県ごとに設置されますが、統括の事務局となるのは東京文化財研究所に設置される「被災文化財等救援委員会」です。

各県に設けられる現地本部(今回の宮城では仙台市博)は、文化庁、被災地県教育委員会職員で構成され、文化庁からの協力依頼によって、全国の各県教育委員会から専門職員の派遣もあるとのことです。

まずは宮城県の動きが情報として流れてきたわけですが、岩手県では既に岩手県立博物館の職員のみなさんが津波被害の甚大な陸前高田市に入って文化財レスキュー活動を行っているようです(現地からのメール情報)。それでも県全体の文化財被害の情報収集やレスキュー活動は、被災県の中のスタッフだけでは限界があることは想像に難くありません。

たとえば、被害の比較的軽微な市町村の学芸員など文化財専門スタッフが、被害の大きい市町村の文化財レスキューに向かうにしても、地元にまったく被災文化財がないわけではなく、身近でも何らかのダメージは被っている状況にあり、そちらの保全活動が優先されます。しかも、被害の大きい市町村から避難してきた方々の安全確保等の対応が仕事(公務)としては優先され、他市町村に文化財レスキューに出向く状況にはないのではないかと推察します。

しかも、今回の文化財レスキュー事業。レスキューに向かうにしても、ボランティアではなく文化庁の事業として出向くので、被害の甚大な市町村からの要請(つまり公文書として依頼してもらう)が通常では必要となります。そんな公文書を作成して提出する余裕があるのか。三陸海岸の各市町村では、自分の自治体の文化財の被害状況を把握して、文書にまとめて、そして現地本部に文書で報告・提出する。その報告を基に、派遣する専門職員を現地本部が調整をする。これは私が勝手に想像する文化財レスキューの手続きなのですが(誤解があるかもしれません。すみません。)、実際、各市町村の学芸員等の文化財専門スタッフが非公式のネットワークで県内の情報交換はできたとしても、いざ、レスキューで動くとなった場合の公的手続きがスムーズに行われるのか。あとはレスキューにかかる経費(一時保管所への輸送費や旅費等)も懸念されます。経費が全額国庫負担なのか、それとも現地本部を持っている県の負担なのか、それとも市町村の負担なのか?それが明確にならないことには、公的機関の動きは鈍くなってしまいます。現在は非常時であり、そんなことは簡略化して、適宜ケースバイケースで動くという考え方もありますが、公的機関での意思決定は、なかなかそうはいかない場合も十分に考えられます。

このように、文化財レスキュー事業は試行錯誤しながらの運用になるのではないかと思います。時間がかかるかもしれません。この事業が軌道に乗るまでは、地元の関係者のふんばりと、ボランティアネットワークの活躍が重要で、そこで得られる情報と人的ネットワークが文化財レスキュー事業を支えるのではないかと思います。

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【更新】宮城県内の博物館・美術館(東北地方太平洋沖地震)

2011年04月07日 | 災害の歴史・伝承
「宮城県内の博物館・美術館(東北地方太平洋沖地震)」の各施設の状況を、4月7日に更新しました。

http://blog.goo.ne.jp/uchikonotemae/e/c03cb33a66a8d932646111ee4fb5f55a


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東北学院大学博物館

2011年04月06日 | 災害の歴史・伝承
東北学院大学の加藤さんのブログが更新されています。
早速、「被災地の博物館から…テグスは利く!」がアップされています。

http://lafiesta.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-ae55.html?optimized=0

加藤さんはご無事のようですが、やはり被災状況は大変なことがこのブログからもわかります。





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