愛媛の伝承文化

大本敬久。民俗学・日本文化論。災害史・災害伝承。地域と文化、人間と社会。愛媛、四国を出発点に考えています。

5月16日の俗信

2007年05月16日 | 年中行事
ネットで今日は何の日かとふと調べると「性交禁忌の日 江戸時代の艶本『艶話枕筥』に、(旧暦)5月16日は性交禁忌の日で、禁忌を破ると3年以内に死ぬと書かれていた。」という記述を見つけた。そういえば、以前、似た記述が伊予の史料にも書かれていて、珍記事なのでメモをした記憶がある。昔のノートを見ると、メモしてありました。

『古今記聞』(文化年間~天保4年頃の松山藩士日下部伊織維岳の随筆集。伊予史談会双書21集、22頁)に「一、五月十六日の日夜とも淫事をかたく慎むへき事也、或人知らす淫行ありしか果て翌年死去也、庚申論に、右の夜淫事あれハ夫婦とも三年の内ニ死すと也」

江戸時代後期には、俗信として定着していたようだ。3年以内に死ぬというのはネット上では出典が『艶話枕筥』となっているが『古今記聞』の記述では出典が『庚申論』となっている。ただ、庚申信仰に由来するといっても、庚申の日は60日に1度あるので、具体的に「5月16日」と限定されるのも無理がある。なぜ5月16日なのか、その理由がよくわからない。