晏次郎のぐうたら日記

偶にする星見(重星観賞)や鳥撮関連などの気紛れ思いつき日記
  開設 2006年12月

高橋一号機  番外シリーズ5

2007年01月28日 11時35分30秒 | 天文ネタ

Ts65zen いよいよ、望遠鏡の紹介も終わりに近づきました。今回、紹介の望遠鏡は高橋製作所TS式と銘打って世に送り出した第一号機です。其れまでの高橋は下請け等にて望遠鏡の製作はしておりましたが、自社ブランドでの望遠鏡はこのTS65が最初です。 1967年に発売されたものですが、私のは、翌年68年(S43)11月に購入されたものです。

私が天文雑誌を購入するようになったのが、69年からですので、広告に載っていたこの望遠鏡を見て、何て望遠鏡らしい姿なのだろうと目は何時も釘付けでした。 当時、ニコンや五藤の屈折が広告に出ておりましたが、いづれも中学生の小遣いで買える代物ではなく、憧れの範疇には有りませんでした。しかし、このTS65は何とか為る金額の為、欲しくて堪らないものでしたが、結局買うことは出来ませんでした。 後年、中古で手に入れることが出来ましたが、家に届いた時の状態は、グリースの固着により摺動部は殆ど動かず、又、格納箱内にはカビがビッシリでした。(開けたとたんに胞子が飛び咳込むこと暫くでした) しかし、モノ自体は使用感が非常に少なく綺麗な状態でした。 その後、架台は灯油を一杯入れたバケツに一昼夜ドブ付け後、解体してグリースアップをし、レンズは内部までカビの進行が無くエタノールにてのクリーニングで綺麗に為りました。 

三脚も白塗装部分はカビが深く入り込み、塗膜を剥がして再塗装を施し、現在は見た目も作動状態も極めて新品に近いモノと為っております。 この機は、後に出される機種との大きな違いは赤緯微動がタンジェントスクリュー式(リンク併用変型タイプ)を採っております。しかし、使用感はその後採用のスプリング式より遥かに使い良いものです。又、バランスウェイトの脱着はウェイトシャフトを外さなければとれません。そして、高度軸クランプも昔懐かしいレバー式に為っております。 架台塗装も当時の象徴である梨地仕上げです。

Ts65yoko 鏡筒部は口径65ミリ焦点距離900ミリのアクロマート式で接眼部は2段ドロチューブが装備されております。F:15の長焦点鏡ですから、それなりの見え味ですが、何故かこの鏡筒よりF値の小さいV-1(F:12.3)と比較して見え味は劣ります。本機の出来の所為なのか、V-1鏡筒が優れているのかは判りません。(この古い機種に細かなことを要求するのは野暮?) 

本機は使う度に懐かしい気持ちに為れるので、夕空の綺麗な時(特に夏場)や、気持ちの転換を図る時に良く持ち出すので意外な程出番は多いです。 コレクションとしてでは無く、使う喜びを感じることが出来る最高にお気に入りの機材です。  本機に関しては、今後も度々書きたいと思います。