晏次郎のぐうたら日記

偶にする星見(重星観賞)や鳥撮関連などの気紛れ思いつき日記
  開設 2006年12月

重星に魅せられて (弐)

2008年10月13日 22時09分00秒 | 天文ネタ

Nepsironboo プルケリマ(Pulcherrima) うしかい座のε星で本来の名はミラクあるいはイザールと云うが、ロシアの天文学者ストルーフェが”最も美しいもの”(プルケリマ)と名付けたことから有名になった重星。濃い黄色の主星(2,7等)と青緑色の伴星(5等位)が3″弱の間隔で並んでいる。

私にとっては初めて聞く星名であった。其れまでに幾冊ものガイドブック等は読んでいたけれども、関心の無い重星及び変光星の部分はとばして読んでいたから・・・

(壱)で書いたように、眼視観望に目覚めた私は、何を見ても楽しく、又、如何なる対象でも受け入れる状況(対象天体への枯渇)に有ったようで、其れまで全く関心を示さなかった重星にも飛びついたのである。又、光学チェックにも興味が湧いており、当に重星は好都合の対象であった。 

さて、春の霞棚引く空に、目指すプルケリマを捉え、さてや我自慢のアストロ製15cm鏡は如何か! ん??傍らに見える筈の伴星がない・・・ シンチレーションも透明度も良くは無いが、15cmなら軽々と見える筈なのに如何眼を凝らしてみても伴星を認めることが出来ない。しかし、その後も辛抱強く覗いているうちに、何とか認められるようになり、確認の為にアポダイジングマスクを付けてやっと確信を持つに至った。しかし、”最も美しいもの”等と云うようなぺアには到底見えなかった。重星って難しいものだ!侮りがたいぞ! 其れからと云うもの、来る日も来る日もプルケリマを見続けた。その後、又、N氏よりはくちょう座のδ星も勧められ、此方も同じように見続けた。(此方はプルケリマよりも難しく2~3度目10cmにてやっと確認出来た) これ等2星は1年間、観望の度欠かさずに見続けた。 初めの頃は中々簡単に分離出来なかったのが、1年も経つと”何で、この程度のものが分離出来なかったのだろう”かと思うようになった。(今では、少々条件が悪くとも口径5~6cmで容易に確認出来る)  これは、単に眼の鍛錬が出来ていなかったからに他ならず、見えているのに認識出来ないと云うことである。惑星の観察等でも熟練観察者と一般観察者とでは模様の抽出能力に可也の差が有るように、重星でも同じことが云える様だ。熟練の重星観察者が、まさか!と思われる条件や口径で何々を分離したと云う話を聞くことが有るが、決まってウソだ!見えるわけ無い、錯覚だと云う疑問視の声が湧き上がる。此れなどが、その良い例で熟練者と一般の差と云うものである。鍛錬を重ねた熟練者の眼は驚く程の認識能力を持っているものだと私は思っている。因みに、有る素晴らしいシーイング時に口径20cmの望遠鏡でプルケリマを愚妻に見せたことが有るが、何としても一つの星にしか認識出来なかった。 その時の私は素晴らしい伴星の見え方に感動していたのだが・・・ (見慣れているものとの差)

重星を楽しむには先ず慣れることが肝要で、慣れるほどに重星の素晴らしさが判ってくるものである。 それにしても、美しさ及び難易度的に当に絶妙な重星を紹介して下さったN氏には本当に感謝している。もしも、これが、簡単に分離出来る重星で有ったなら、私の性格から云って直ぐに厭きてしまい星見も止めていたことだろう。 続きは又。 

 


重星に魅せられて (壱)

2008年10月09日 23時31分04秒 | 天文ネタ

Double 今日は大雨に雷と酷い天気で、稲刈り作業は出来なかった。しかし、夕方より晴れ上がり、前回,酷評気味の書き方をした宮内BJ-100にて星空観望。幾つかの双眼鏡重星を見たが中々素晴らしい見え方であった。私はその時の気分で機材等の感想を述べる性質なので、其の時によって印象が甚だしく変る。述べたことに関しては、その辺り、汲んだ読み方が必要であるのと、又、戯言をほざいているなと受け流して頂きたい(^^;

さて、今回の話題に入りたい。 自慢では無いが、私は非常に厭き易い性格で三日坊主と云う言葉は、当に私のことを云っているようなものである。 そんな私が、天文復帰を遂げ(2003年)5年以上も星を見続けているのは重星の存在が大きく寄与しているようだ。中学生の頃から望遠鏡を使い星を見ていたが、重星を見ることは無く、惑星や星雲団のみで、その後は星雲団撮影オンリーとなり全く見ることは無かった。否、余りにも地味で面白みの無い対象で見る気にもなれなかったと云うのが本当のところである。

二十代中頃より興味の対象が天文外へ移り、天体撮影も止めてしまってから二十年後、フッと思いついて天文復帰を果した訳だが、最初はやはり天体撮影からであった。 復帰後の天体写真界はデジタルの時代で、私もデジタル一眼に依る直焦撮影で、銀塩時代には苦労しても中々大変であった対象が面白いように簡単に写り随分と夢中になった。撮影後は画像処理ソフトを使いコンポジットやトーン、レベル補正等を施し一人悦に入っていたものである。しかし、一時の興奮が冷めると同時に物足りなさが付き纏い始めた。己の撮影画像は勿論のことだが、星との関わり方に対して疑問も生じてきた。パソコン画面や印刷した星を見ても余りにも詰まらなく気分がちっとも昂揚せず物足りない。何が足りないのか・・・臨場感が全く無い!死んだ光でしかないのだ。やっぱり生きた光が欲しい! そうだ、眼視だ眼視に転向しよう。 

果して眼視は裏切る事無く、心に新鮮さと充足感を存分に与えてくれた。その後、当に貪るように星を見るようになった。(当時、主に使用していた機材が20cm、15cm、13cmニュートン鏡) 対象は惑星専門で旬のものをマンジリともせず、来る日も来る日も眺め続けた。だが、惑星も切れる時期がある。 その時期を如何しようか・・・ ネット時代の今日、実に便利なもので天文関係の某掲示板にその旨を書き込みした。即レスで、重星は如何ですか?そして、プルケリマと云う重星も紹介してくれたのである。 (このレスをくれたのは、今もお世話に為っている、小樽星の会N氏である。) 続きは又・・・(長くなったので・・・)


専ら双眼鏡で・・・

2008年10月05日 20時58分33秒 | 天文ネタ

此処最近は星の見えない夜は無い程に好天続き。しかし、先月末から稲刈り作業に突入し、空が晴れてはいるものの、籾乾燥機が稼働中の為に排塵が辺り一面に浮遊。以前から私は、この時期望遠鏡を出しての星見は殆どしない。(夜露と共に排塵がビッシリと機材にこびり付く) しかし、星は見たい!となれば超手軽な双眼鏡での星空観望しかない。 

Nikonbinoところが私は双眼鏡での星見は滅多にしないタイプで、偶に導入用にニコン7×35Eを使う位で、星見用として購入した宮内光学10cm双眼鏡(BJ-100)ですら彗星が出現した時に使用する程度と云う有様。 双眼鏡(小型)の台数は結構持っているのだが、用途は専ら鳥見用である。(一方、鳥見に関しては星見と逆で、双眼鏡メインでフィールドスコープは殆ど使用しない)

ところが、先日、置き忘れて行方不明中であったニコン10×42SEがアイピースにカビを生えさせてヒョッコリと有る所(パソコンバック)から出てきた。これには相当にショックを受けた。只、カビの状態は極軽微で若干気になるといった程度。 何れにしても問題の生じた機材を其の侭で使うと云ったことの出来ない性分なので、近々、ニコンサービスに清掃依頼する予定である。しかし、悪いことは続くもので、鳥見用として最も多用しているニコン8×30EⅡを落下させてしまい、これも若干左右の光軸が狂ってしまった。結局、2台纏めて入院予定と云うことになる(^^; これで、稼働中の小型双眼鏡で健在なのはニコン7×35Eだけとなった。(この双眼鏡は、以前に紹介した古い7×35では無く、昨年暮れに中古で購入したもの) 

さて、本題に入るが、問題の少々ある2台を含めて3台の小型双眼鏡での星見感想だが、先ず、どれも素晴らしい星空を見せてくれた。対象はM31M33ペルセウス座周辺はくちょう座からこと座にかけての空域、木星等。3台の特徴から述べると、目の延長とも云える極自然な見え味の7×35E広視野と独特の立体感、コントラストを齎す8×30EⅡ全てに於いてパワーに勝り高品位な像質の10×42SE、どれも甲乙付け難く好みの問題か?。 宮内のBJ-100も出動させたがパワーは有っても手軽さと星像が幾分劣るので早々に撤収させる。(誤解が生じては困るので、これは星像だけの比較で有り、口径、倍率の大きなものは当然不利) 

結論から云って、星見に関しては如何に自然な見え方をするかと云うのが私の重要視するところで、その点から8×30EⅡは素晴らしい見え方だが、不自然さが付き纏い厭きがくる感じ。その点、7×35Eは自然そのものので、物足りなさを感じる程である。しかし、絶対に厭きのこない見え方で、星見用としてのポイントを押さえている。(鳥見用としては倍率の関係で、昨今ではパワー不足の感) さて、この自然な見え方をパワーアップさせたのが10×42SEで、私の所有する双眼鏡の中では間違い無く一番である。10倍と云う倍率パワーは鳥見用でも星見用でも、あと、もう少しを見せてくれる。そして、星像も立派である。 それでは、星見の供は決まりか?となるが、 此処が難しいところで、如何にも双眼鏡を構えると云った大柄な10×42SEよりも掌に包むと云った感覚の7×35Eの方が好みで、星見の供はこれに決定かな? 因みにホールド感は僅差で8×30EⅡの方がシックリとくる。 と、まぁ、こんな詰らないことを独りブツブツ呟きながら、今夜も双眼鏡で彼方ら此方らと・・・(^^;