つながりあそび・うた研究所二本松はじめ

二本松はじめ(ピカリン)の活動予定や活動報告、日頃、考えていることなどを書きます。研究所のお知らせも掲載します。

抱っこ通信610号 ねがい桜

2015年03月18日 | 抱っこ通信
最終歌入れ『ねがい桜』

4月26日発売予定のニューアルバム『笑う門には福来る』の中の『ねがい桜』で最後の歌入れが昨日終了しました。
某交響楽団のバイオリストを迎えて、シモシュのピアノとのアンサンブルです。
テンポに揺らぎがあって素敵です。
伴奏者が二人以上だと、曲によってはテンポを合わせるためにクリック(擬音でメトロノームの役割)をよく使いますが、曲によっては使わない方が、より人間らしさが音楽に表現されます。歌い手の気分とか、感情とかの揺らぎがそのまま音楽に表れます。
本当は歌い手である私も、一緒に歌えば一番いいのですが、まだ、歌が自分のものになっていなかったので、二人の側にいてそれなりに思いを伝えました。

『ねがい桜』は、正月の新聞で読んだ「ねがい桜プロジェクト」の記事を基に創作しました
桜のつるし飾り「ねがい桜」は、二度散らない桜を咲かそうと、東日本大震災の被災地で鎮魂と復興の願いを込めて、大船渡や陸前高田や気仙沼の女性たちが、全国に発信してつくっています。
襦袢地でつくられた18550の桜を、身元不明の遺骨が眠る陸前高田市の普門寺につるして飾ろうとする取り組みです。
その取り組みの中で女性たちが友だちを見つけたり、生きがいを見つけたりし、元気なり、前を向いて歩こうとしています。

この記事を読んですぐに思い出したのが、福島県富岡町の夜ノ森地区の約2キロの桜並木です。
実際は行って見たことはないのですが、福島第一原発の放射能汚染で帰還困難区域にある桜並木はバリケードで分断されています。
少し除染が進んでいる約200mが通行できるそうで、そのバリケード越しに桜を愛でる人々の写真を以前、新聞で見て涙しました。
そのことを思い出したのです。
桜並木をバリケード越しに見ていた人たちの思いはいかばかりか。
悲しみばかりでなく怒りえも覚えました。
きっと、富岡町の人々の暮らしの中にすっぽりと桜並木が、さくらが入っているのでしょうね。

もう一つすぐに思ったのが、千人針のことです。
千人針とは「一片の布に千人の女が赤糸で一針ずつで縫って、千個の縫玉を作り、出征将兵の武運長久・安泰を祈願して贈ったもの」(広辞苑)です。
おなかに巻いていると敵の鉄砲の弾に当たらないと言い伝えられていました。
しかし、赤紙一枚で、どれだけのいのちが散っていったのでしょうか。
また、そんな時代の足音が聞こえてきています。

新聞記事を読んで、ほとんど考えることなくすぐに詩と曲できました。1月3日のことです。
バイオリンとピアノでというイメージもすぐに浮かびました。
帰ってこない人々のことを、変わってしまった故郷のことを、桜はどんな思いで待っているのだろうか。見ているのだろうか。



ねがい桜 

        作詞・作曲 二本松はじめ

あなたの帰りを 待っています
今年も咲きます 待っています
あなたの生まれた この土地(まち)で
想いで糸を紡ぎながら 
小さな声で口歌っています
あなたの好きな ふるさとのうた
あなたはあの日 いってしまった
さよならも言えず いってしまった

あなたの帰りを 待っています
蕾も膨らみ 待っています
あなたの育った この土地(まち)で
いのちの糸を紡ぎながら 
空を見上げて 歩きます
あなたの好きな 頬紅つけて
あなたはあの日 いってしまった
さよならも言えず いってしまった

二度と散らない ねがい桜
ひと針ひと針 思いを込めて
あなたはあの日 いってしまった
さよならも言えず いってしまった

二度と散らない ねがい桜
ひと針ひと針 思いを込めて
あなたはあの日 いってしまった
さよならも言えず いってしまった


(写真の桜は、昨年4月23日の会津若松市の鶴ヶ城公園の桜と24日の三春町滝桜です)




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