政治、経済、映画、寄席、旅に風俗、なんでもありの個人的オピニオン・サイト
とりがら時事放談『コラム新喜劇』



もちろんホッパ山の頂上は怪しげなナッだけの聖地ではない。
日本の神道が数々のエッセンスを仏教に求めているのと同じように、ナッ信仰も様々な仏教のエッセンスを含んでいる。
例えば、ナッの像は必ずお寺の中にあるのだ。
ナッだけで独立している存在しているケースは、ミャンマーを旅すること都合二回。滞在日数合計12日間にして、未だ目撃したことはなかった。

ナッがお寺の中に存在しているということは、ナッと一緒に仏像もちゃんと祀られていることになる。

考えてみれば、これはとてもヘンテコな話で、日本人の感覚からすると、神棚と仏壇が渾然一体となり教会の形をしたモスクに祀られているくらいに、奇妙な光景だ。
しかし、これがミャンマーの土着信仰なのだから、非難するのはよくない。

こういう土着信仰のいかがわしさが、きっとTさんのお釈迦様に対するストレートな深い信仰心に抵触してくるものがあるのだろう。

キンキラキンの境内をめぐりながら、Tさん、石山さんと一緒に胸一杯にオイシイ空気を吸い込んで山を降りることにした。
当然のことながら、下りも猿たちと戯れながら降りることになる。
箱根駅伝の第六区にも見られるように、山は登るよりも下る方が骨が折れる。
ここで、足を滑らせて手摺りや柱にでも足をぶつけると本当に骨を折ることになるので注意が必要だ。

「サルカウンダー、って言うんだよね」
と石山さんが突然猿を指さして笑い出した。
石山さんとはヤンゴンからマンダレーへ向かう過酷な列車旅行の途中、ウズラタマゴ売りの売り声で、笑いのツボにはまってしまい、狂ったように笑いが止まらなくなった記憶がある。
記憶がある、といってもたった3日前の話だ。
またまた新しいミャンマー語で笑いのツボにはまってしまっては、面白いかも知れないがTさんたちミャンマーの人に失礼だろう。

「で、サルカウンダーってなんです?」
と私は。
「おいしい、っていう意味のミャンマー語ですよ」
と答えてくれたのはTさんであった。
「さっき教えたじゃないですか」
「えっ?そうでしたっけ?」
と外国語を覚えるのが私は苦手だ。
一方、
「覚えやすいんですよね」
とは石山さん。

おいしい、という意味の言葉はミャンマー語では「サルカウンダー」と言うらしい。
これは普通、覚えやすい。
このように日本語の発音に似ている外国語というのは少なくない。
タイ語で下着のパンツのことを「関係ない」というのだが、それと同類の同音異義外国語の一つのようだ。

不覚にも私は、ミャンマー語を「チェイズーウェイ」ぐらいしか覚えていないのだ。
理由は簡単で、ミャンマーでは日本語を話すことの出来るTさんを伴っての旅行であるため、あれこれとボディーランゲージや指さし会話帳などをまったく利用せず行動しているので、脳みそがミャンマー語まったく覚えようとしないのであった。

その点、石山さんはさすがに女性。
言葉もきっちりと覚えて旅を楽しんでいるのであった。
私は男。
語学力に乏しいのであった。
ともかく石山さんは昨夜の飲み会からかなりのお調子者と推察したが、もともとかなり頭のいい人なのかもしれない、と思った。

つづく


コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« マイクロソフ... ただいま休暇中 »
 
コメント
 
コメントはありません。
コメントを投稿する
 
名前
タイトル
URL
コメント
コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。