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とりがら時事放談『コラム新喜劇』



アメリカ連邦宇宙局NASAの科学者が「冥王星を惑星から格下げするなどけしからん。断固反対する!」というデモンストレーションを打って出たのは先週末。
デモを伝える新聞記事を読むと、件の学者は現在冥王星へ向かって飛行中の惑星探査機の責任者の一人だそうな。
多額の税金かけて飛ばしたけれど、ミッション途中で「あれは惑星と呼ぶには小さすぎる。単なる丸い氷の固まり」と言われちゃ面目丸つぶれといったところか。

「小さいから惑星じゃない、というのは暴論だ」
というのも尤もで、もしこれが国なら大問題に違いない。

世界には様々な国家があって、もし仮に、
「ある一定以上の領土や領海を持ち、人口も規定以上ないと『国家』として認定されない」
なんて国際ルールがあったら揉めるだろう。

例えば日本の法律では「市」と名乗る為には5万人以上の人口が必要で、さらに政令指定都市となるためには50万人以上が必要だが、実際には80万人以上がの要件が求められる。
都道府県はこの市や町村の集まりで、国はその都道府県の集まりだから、国に求められる要件はかなりタフだ。
日本は世界で10番目に人口の多い国だから、特殊な事例かも知れないが、もし国家の規定に「5万人以上の人口を有すること」(日本では『市』の条件)なんて書かれたら、それこそ世界地図から消え去る国もなくはない。

ローマ法王がお住まいになるバチカン市国。
人口はたったの792人で国土の面積もたったの0.44キロ平米。
市の条件も満たしていなければ町というより村である。
で、もし「バチカン市国は国でない」と言ったりしたら、その人には敵がたくさん出来て海外旅行はできなくなる。

銀幕のスター、グレース・ケリーが王妃だったモナコ公国。
ここも人口がたったの3万2千人で面積もたったの1.95平方キロ。
ちょっとした企業の工場のほうが人口も多くてGNPも高いはず。

そのほか、冷戦終結のきっかけを作ったレーガン、ゴルバチョフの米ソ首脳会談が開かれたマルタ共和国。
シンガポールにフィジーにパラオ、そしてブルネイ。

どの国も島の1つか都道府県の大きさしかない小さな国だ。
でも、これらを「国家じゃない」と否定する人はいないはず。

そういう意味では「冥王星をサイズだけで惑星除外で差別するな」というのにも頷ける。
ただ頷けないのは、なんの思慮も払わずに「教科書の記述はどうしよう」なんて言っている日本の文部科学省の役人や邦人学者の頭の中身。
ポリシーがないと、冥王星が惑星というカテゴリーから消されたように、国家のカテゴリーから消されちゃうぞ。

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