とりがら時事放談『コラム新喜劇』

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オノボリサンの都~京都の旅(1)

2007年08月14日 11時24分25秒 | 旅(海外・国内)
写真:JR京都駅(?2007 Torigara Entertainments)

年間4500万人。

それはなにかと訊ねたら。
京都を訪れる観光客の数だそうで、それを日本人だけの数だとして考えると全人口の3分の1が毎年一度は京都を訪れていることになる。
まったくもってご苦労さんというものだ。

実際はこの数に多くの外国人観光客が含まれており、洛中をテクテクと歩くと白人のバックパッカーや台湾人団体観光客とおぼしき好奇心一杯の人々、中国人や韓国人観光客といった少しばかり品の悪そうな旅行客などの姿が見られる。

私は「灯台下暗し」の諺どおり、地元ともいえる京都へは観光目的で訪れたことがなく、常に「仕事」か「飲み会」か「遠足」が京都訪問の理由になっていた。
このままでは観光地としての京都を一生知ることなく過ごすことになりそうなので、このクソ暑いお盆休みを利用して日帰りの京都観光に出かけることにしたのだった。
もちろん、ひねくれ者の私が素直に京都の名所を訪れる筈はない。
旅の目的を「この一年を通して最も暑い季節に京都へやって来る「オノボリサン」ならぬ「お間抜けさん」を観察すること」にして出かけることにしたのである。

新快速電車をJR京都駅で下車すると、そこはすでに灼熱の地獄、かつ、観光客で溢れんばかりであった。
ちょうど正午前ということもあり、私は京都駅のプラットホームにある立ち食いそば屋で腹ごしらえをすることにした。

「京都まで来ているのに、なぜ湯豆腐や京懐石を食べないの?」
とおっしゃるアナタ。
アナタはJR東海や旅行代理店のプロパガンダに洗脳されているので、新興宗教にも巻き込まれたりしないか注意が必要だ。
湯豆腐やて?
この暑いのに。
だいたいそんなもん地元の人間はめったに食べへんのだ。

そもそも京都は大阪に比べて外食費が高い。
部分的にだが東京に比べても高いと思う。
しかも観光ポイントへの距離に反比例してこの価格は果てしなく上昇するのだ。
これを私は観光客を「カモ」とみている京都人のしたたかさが多分に影響しているのだと分析しているのだが、飲食店の数が大阪に比べて少ないことも原因しているのだと思われる。
したがってジモピーは観光地で外食することにならないように気を配らなければならない。
だから私は昼食を駅の立ち食いそばで済ませることにしたのだった。

きつねそばとちらし寿司のセット500円はなかなか価値ありであった。
これで胃袋を十分に満たした私はエスカレータを上り下りして改札口を出た。
それにしても凄い人ごみである。
しかもよそ者一杯の人ごみだ。(私は大阪人なので厳密には私もよそ者)

京都で一番の繁華街はJR京都駅前ではない。
四条河原町あたりが繁華街の中心だ。
だから私は普段なら大阪からは京阪電車で京都に向かうのだが、今日は別に理由があったのでJRで上洛してきたのだ。
その最初の理由はこの日は日曜日であったので終日JRの昼間割引切符が使えるというメリットがある。
この昼間割引切符の割引率は恐ろしく、大阪から京都までの普通運賃が片道540円なのに対し、このキップを金券屋で買い求めると330円になってしまうのだ。
ちなみに阪急が梅田から河原町まで390円。
京阪が淀屋橋から四条まで400円なのでJRの割引切符がいかに割安であるのかご理解いただけることと思う。
しかもJRは在来私鉄に比べて所要時間が約半分。
阪急電車の乗車率が落ちるのも無理はない。

で、2つ目の理由は旅行案内所でタダの観光地図をもらってやろうと思ったからであった。
観光案内所は河原町にもあるだろうが、すぐに見つけられるのはやはりJRの駅前。
そこで京都駅で下車したというわけだ。

肝心の旅行案内所はすぐに見つかった。
駅の正面をエスカレーターで上がった2階にあった。
さすが観光の街、京都。
観光案内所もかなり広い。
かなり広いが中は地方からやってきた、というよりも世界中からやってきた観光客でごった返していたのだ。
私は旅行案内所には必ずあるであろうパンフレットケースを探した。
パンフレットケースにはレストランやホテルなどの広告の入った無料の地図が置かれていることが多い。
私のお目当てはその無料の地図。

ところが、やはり京都はシブチン(=関西弁でケチの意)の街であった。
無料の地図なんか無いのだ。
観光地図は一部100円で販売されており、欲しい人は「買うてんか」という態度なのである。
私はほかのオノボリサンと違いほとんど手ぶらで来ているものだから「るるぶ」だとか「ひとり歩き」だとか「大人の町歩き」なんてガイドブックは持っていない。
地図が無くても京大薬学部や島津製作所、三菱自動車京都工場、京都リサーチパーク、工芸繊維大学など仕事でお世話になっているところへは迷うことなく行くことができるが、いくつかの観光スポットを除き正確な場所がわからない。

仕方がないので100円玉を出して観光地図を買い求めた。

それにしてもタイのバンコクでも観光地図はタダである。
スワンナプーム国際空港の到着ロビーに出ると、あっちにもこっちにも「日本語のフリーガイドブック」が置かれているのだ。
バンコクよりも遥かに観光収入の多い京都でどうして地図が有料なのか。
日本システムの矛盾に憤る私なのであった。

つづく