10日(日)。昨日の日経朝刊・文化欄に「ストラビンスキーのバレエ曲”春の祭典”100年 輝き健在」という記事が載りました 作曲家ストラヴィンスキーとバレエ団「バレエ・リュス」の主宰者ディアギレフが組んだバレエ「春の祭典」初演から今年でちょうど100年を迎えるとのことです
日本では、本日サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団が、4月にはマゼール指揮ミュンヘン・フィルが、秋にはラトル指揮ベルリン・フィルが「ハルサイ」を演奏するといいます
私がこの曲と出会ったのはズビン・メータ指揮ロサンゼルス・フィルのLPレコードで、途中、レコード針が跳ぶかと心配しながら聴いた覚えがあります 聴きなれないと、変拍子のトンデモナイ曲ですが、慣れるとクセになります
舞踏界では昨年映画で観た「ピナ・バウシュ」によるハルサイが印象に残っています
記事で面白いと思ったのは、「春の祭典」からさかのぼること100年前、ベートーヴェンの交響曲第7番がウィーンで初披露されているということです ご存知、ワーグナーが「舞踏の権化」と呼んだノリノリの曲です
さて、「べト7」から200年後、「ハルサイ」から100年後の現在、後世に残る革新的な音楽はいったい何があるでしょうか
閑話休題
昨夕、サントリーホールでフィルハーモニック・アンサンブル管弦楽団の第54回コンサートを聴きましたプログラムは①ベートーヴェン「ヴァイオリン、チェロ、ピアノのための三重奏曲」、②ベルリオーズ「幻想交響曲」で、指揮は”炎のコバケン”こと小林研一郎です
フィルハーモニックアンサンブル管弦楽団は1976年、立教大学交響楽団OBにより結成され、その後、一般の社会人にも門戸を開き自主運営活動を続けています (それにしても「フィルハーモニック」と「アンサンブル」と「管弦楽団」って、どこかダブってない?) また、プログラムの演奏記録を見るとベルリン、ブタペスト、ウィーン、プラハなどにも演奏旅行に行っているのです。渡航費用やら何やら莫大なお金がかかるでしょうに、アマ・オケのどこにそんな大金があるのでしょうか。実に不思議な団体です
開場30分前の5時半にサントリーホールに着いたのですが、すでに多くの聴衆がカラヤン広場で入場待ちしています この人たちはどんなしがらみで、もとい、どんな関係でこのコンサートを聴きに来たのだろう、と思わず考えてしまいました
アマチュア・オケですから楽員の家族、親せき、友人、知人などが多数なのでしょうが、それにしても大勢います
何の関係もない私のようなヤカラは「指揮者」の知名度と「演奏プログラム」で選びます
自席は2階RD1列8番。チケットの手配が遅かったため2階後方席になりました ただ、このホールはどこの席からも舞台が遠く感じません
舞台を右斜め上から見下ろすといった位置です。1曲目のベートーヴェン「三重奏曲ハ長調」のソリストの登場です。元N響ヴァイオリン奏者でこのアマ・オケのソロ・コンマスを務める村上和邦、現N響首席チェロの藤森亮一、そして昨年このオケとチェコ公演にも同行しピアノを演奏した小林亜矢乃(指揮者・小林研一郎の娘と言った方が早いでしょう)の3人です
小林のタクトで第1楽章に入ります。どうもヴァイオリンとチェロのソロが迫力ありません 曲の持つ性格なのか、パッとしません。あるいは1階席の前の方の席だったら印象が違うのだろうか。とにかく、自席には”ベートーヴェンの音楽”として届いてきません
ただ、第2楽章「ラルゴ」のチェロ独奏は美しく響きました。オケは健闘していました。ソリストには花束の贈呈がありました。アマ・オケらしい風景です
2曲目のベルリオーズ「幻想交響曲」ではベートーヴェンでソロを弾いた村上氏がコンマスを務め、藤森氏がチェロ・セクションに加わります 第2楽章「舞踏会」は気持ちの良いワルツですが、途中で管楽器が張り切り過ぎてトンデモナイ音を出していました
第3楽章「野の風景」では、羊飼いの笛の音が舞台上と舞台裏で呼び交わされますが、小林は2階席左サイドにコールアングレ奏者を配置、舞台上と会話をさせました。コールアングレ(イングリッシュ・ホルン)は郷愁を誘う良い演奏でした。
第4楽章「断頭台への行進」はオケの聴かせどころです。迫力のある演奏です。舞台左サイドに教会の大きな鐘が2つ置かれ、存在感を誇っていました
第5楽章「ワルブルギスの夜の夢」では、管楽器が若干外してしまいましたが、小林がすぐに”修正”しました そして魔女たちの狂宴がクライマックスを迎え、ド派手なフィナーレに突入します
ブラボーと拍手の中、いつものように小林は出来るだけ多くの楽員と握手をして、各セクションごとに立たせて賞賛を求めます。彼の場合”いつものように”この儀式が長いのです
やっと終わったと思ったら”いつものように”拍手を制して挨拶をしました
「今日はおいでいただきありがとうございました。今回も、大震災で被災され、今も苦しんでいらっしゃる東北の方々50名を2階席にご招待させていただきました。ご堪能いただけたでしょうか?(2階席を中心に) ここでアンコールを、と言いたいところですが、あいにく本日は用意をしておりません。しかし、皆さま、このままでは立ち去り難いようにお見受けします(会場・笑)ので、いま演奏した”幻想交響曲”のフィナーレの部分をもう一度演奏し、アンコールに代えたいと思います」(会場
)
そして、弦楽器、管・打楽器総動員によるド派手なフィナーレを演奏し、再び拍手の嵐を呼びました。花束を受けた小林は、それをバラして2人のコンマスと2人のコールアングレ奏者に分け与えました こういうところは小林の人柄がよく現われています。そしてオーケストラ全員で正面を向いて一礼、後ろを向いて一礼、左を向いて一礼、右を向いて一礼し楽員同士が握手をして解散しました。この儀式は小林仕込みなのでしょう
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