人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

誉田哲也著「感染遊戯」を読む~官僚を狙った殺人事件の謎を追う

2014年03月19日 07時00分50秒 | 日記

19日(水)。昨日、日本記者クラブの会合で朝日新聞のY編集委員の話を聴く機会がありました。テーマは「取材現場から見た日本企業のいま~なぜ日本企業は低迷しているのか~私論『選択と集中』の落とし穴」です

Yさんは「日本経済の低迷の要因」として①6重苦(円高、重税、環境、労働法制、通商政策、エネルギー不足・・・このうち円高は修正された)、②デジタル化への対応の失敗、③真のグローバル企業になれない、④少子化・高齢化。国内市場の縮小、⑤ダイバーシティ(多様性)のなさ、⑥経営力のなさ、の6点が考えられるが、一番の問題は「選択と集中」に落とし穴があったのではないか、と持論を展開しました。Yさんの講演をかなり大雑把に要約すると以下のとおりです

80年代に入って、GEのウェルチが「選択と集中」を唱えて好業績を達成し、シェア1、2位以外は撤退すべしという風潮となり、90年代後半には「選択と集中」がゴールデンルールになった 日本での成功例はシャープで、1998年に町田社長が就任し、「2005年までにテレビをブラウン管から液晶に置き換える」と発表した例だ。シャープは当時黒字だった半導体から撤退し、赤字の液晶に集中したが、それまでの安売り対象から脱却しシェアトップに躍り出た

その「選択と集中」は、2000年台に入ると、赤字部門ではなく、稼ぎ頭の事業に集中するようになり、とくに大企業を中心に「知の探索」(事業を横に広げる)よりも「知の深化」(一つの事業を掘り下げる)に力を入れる傾向を示し、「イノベーションのジレンマ」(成功した経営者・幹部ほど新しい環境に適応できない)に陥ってしまった 大きな組織はビジョン、ミッションを忘れがちである。これからは「知の深化」と「知の探索」のバランスの取れた組織運営が求められる。新しい組み合わせは組織の多様性から生まれる。大学や他の企業と連携したり、地域内の企業との連携が必要だ

「経営は科学であり、アートである」という思い込みから抜け出せない経営者が多い 航空機のデザイン賞を受賞したホンダの技術者・藤野さんは「何もないところからつくるのがホンダ」「ホンダがつくるのだから世界初のものをつくる」というパッションを持っている。こうしたパッションこそが企業再生の条件だと思う

・・・・・・Yさんの言われる通り、いくら経営者が頑張ろうが、売るべき商品自体に「是非買いたい」と思わせる魅力がなければ企業経営は成り立ちません。それをつくるのが優秀な技術者です

私は学生時代に、ある家電チェーン店でソニーの商品を売るアルバイトをしたことがありますが、当時はソニーの「トリニトロン・カラ―・テレビ」が売り出し中の頃で、売れに売れていました。それは当時のソニーの技術力が優れていたからです 良いものは多少高くても売れるのです。アルバイトをしていて良く分かりました

今や中国や韓国の企業に追い抜かれ、必至でしがみつこうしている日本の製造業はこれからどうなるのでしょうか?私は、日本の技術力はまだまだ捨てたものではないと思っています

なお、講演では「ビットコインについて、規制すべきかどうか」という質問が出されましたが、Yさんは「何でもかんでも規制するのはいかがなものか。金の取引とか、チューリップの球根の取引とか、いちいち取引に規制をかけたら際限なくがんじがらめになる もちろん消費者保護の観点から規制すべきという考えはこれからも出てくるだろうが、私はビットコインは”商品の一つ”として考えた方が良いのではないかと思う」と答えていました

なるほど、ビットコインは実際には相場で動きますから商品取引の一つと考えればいいのか、と納得しました。そう考えれば、あくまでも”自己責任の範囲内”で取引すれば良いのですから

 

  閑話休題  

 

新日本フィルから次期シーズン「トりフォニー・シリーズ第2夜」のチケットが送られてきました 今年10月から来年7月までの間の8回分です。さっそく手帳に日程を書きこもうとして「あれ!?」と思いました 10月4日(土)と11月8日(土)は、すでに東響サントリー・シリーズの定期演奏会の予定が入っているではありませんか しかし、よ~く見ると開演時間が違います。東響は午後6時開演で、新日本フィルは午後2時開演です。いや~、またやっちまったかと思いました、ダブルブッキングを いずれにしてもこの両日はダブル・ヘッダーですからシンドイことには変わりありません

同封物をよく見ると、例年通り「特典グッズ引換券」(非売品)が1枚入っていました 昨年は新日本フィルの定期演奏会のライブCDがもらえました。今回も同様だと思います

今回は、それに加えて「NJP Gift Card」(550円×2枚)が同封されていました 2015年7月末まで有効のギフト・カードで、新日本フィル主催公演のチケットやグッズが買えるとのことです。グッズよりもチケット購入に当てたいと思います

さらにもう1枚「定期会員の皆様へ」と題するお知らせが入っていました 「2015年2月27,28日の第536回定期演奏会に出演を予定していたカール・アントン・リッケンバッハ―が2月28日に逝去した。代役の指揮者等は決まり次第発表する」旨が書かれていました つまり同氏は公演予定のちょうど1年前に亡くなったことになります 予定ではブラームスの交響曲第1番ほかを指揮することになっていましたが、指揮者変更によりプログラムが変わる可能性が出てきました 変えるのなら、同じブラームスかマーラーにしてほしいと思います

 

  も一度、閑話休題   

 

誉田哲也著「感染遊戯」(光文社文庫)を読み終わりました 誉田哲也は1969年、東京生まれ。当ブログでも彼の作品は文庫本で出るたびにご紹介してきたのでお馴染みですね この「感染遊戯」は「ストロベリーナイト」「ソウルケイジ」「シンメトリー」「インビジブルレイン」など女刑事・姫川玲子が主役となるシリーズの最新版です。ただし、今回はこれまで”脇役”に甘んじていたガンテツこと勝俣健作が主役に躍り出ています

 

          

 

会社役員殺傷事件を追う姫川玲子に、ガンテツこと勝俣健作警部補が15年前の事件を語る 刺された会社役員は薬害を知りながら蔓延させた元厚生官僚で、その息子もかつて殺害されていたという この連鎖は何を意味するか。また、元刑事の倉田と姫川の元部下・葉山がかかわった事件も被害者は官僚だった。捜査上に「Unmask your laughing neighbors(笑う隣人の仮面を剥げ)」というサイトを運営する謎の人物が浮かび上がる。彼の目的は何なのか。過去の事実が明らかになった時すべてがつながる

誉田哲哉という人は優秀なストーリーテラーだと思います。面白さに途中で止めるのが難しいほどです

 

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