人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

高関健 ✕ 佐藤晴真 ✕ 東京シティ・フィルでカバレフスキー「チェロ協奏曲第1番」、ショスタコーヴィチ「交響曲第7番”レニングラード”」を聴く ~ 第359回定期演奏会

2023年03月19日 06時47分10秒 | 日記

19日(日)。わが家に来てから今日で2987日目を迎え、国際刑事裁判所(オランダ・ハーグ)は17日、ウクライナ侵攻をめぐって、ロシア軍がウクライナの占領地から違法に子どもを連れ去った戦争犯罪の容疑の責任があるとして、ロシアのプーチン大統領に逮捕状を出したと発表した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     主権国家への侵略、民間人への強盗殺人、子どもの誘拐、悪いことやりたい放題!

     

         

 

昨日、東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第359回定期演奏会」を聴きました プログラムは①カバレフスキー「チェロ協奏曲第1番 ト短調 作品49」、②ショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ハ長調 作品60 ”レニングラード”」です 演奏は①のチェロ独奏=佐藤晴真、指揮=高関健です

今シーズンもこの日で終わり、1階16列12番の席ともこれでお別れです 来シーズンは同じセンターブロックの右方向の席に移ります

かなりの客入りです 佐藤晴真人気か、はたまた高関のショスタコーヴィッチ目当てか

プレトークで高関氏は、「この日のプログラムは昨年2月のロシアのウクライナ侵攻より前に決定していた まさかこんな情勢になるとは思いもしなかった 現在の情勢を受けて、ショスタコーヴィチの交響曲第7番を、曲が曲だけに、何も考えずに演奏することは難しいと告白せざるを得ない しかし、楽譜に忠実に純音楽作品として演奏したいと思う 前日、全曲通して演奏したが、演奏が終わった途端、疲れ果ててしまった」と語りました。この曲はショスタコーヴィチが作曲した全15曲の交響曲の中で最長の作品で、演奏時間にして約80分かかる大曲です さて、どのような演奏になるのでしょうか

 

     

 

オケは10型で左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置。コンマスは荒井英治です

1曲目はカバレフスキー「チェロ協奏曲第1番 ト短調 作品49」です この曲はドミトリー・カバレフスキー(1904-87)が1949年に作曲しました 柴田克彦氏のプログラムノートによると、「カバレフスキーは、旧ソ連の”社会主義リアリズム”を佳き形で具現化した作曲家。モスクワ音楽院で学び、1932年以降は同音楽院で教鞭をとりながら創作活動を展開した」とのことです この曲は「ソヴィエトの青少年に捧げる協奏曲3部作」の第2作として書かれました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「ラルゴ・モルト・エスプレッシーヴォ」、第3楽章「アレグロ」の3楽章から成ります

チェロ独奏の佐藤晴真は2018年にルトスワフスキ国際チェロ・コンクールで優勝、さらに2019年にミュンヘン国際音楽コンクールのチェロ部門で日本人として初めて優勝を果たしました 現在、ベルリン芸術大学でJ=P.マインツ氏に師事しています

高関の指揮で第1楽章に入ります 佐藤の独奏チェロの軽快な演奏が展開します なるほど社会主義リアリズムに則った作品だけに聴きやすい音楽です 白眉は第2楽章のカデンツァです かなり技巧的な印象を受けますが、佐藤は難しさを感じさせずサラリと演奏します 第3楽章はロシア舞曲風の主題が繰り広げられますが、最後は荘重に終結します 聴きごたえのある素晴らしい演奏でした

佐藤はアンコールにJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第1番」から第4曲「サラバンド」をしみじみと演奏、聴衆を黙らせました

 

     

 

プログラム後半はショスタコーヴィチ「交響曲第7番 ハ長調 作品60 ”レニングラード”」です この曲はドミトリー・ショスタコーヴィチ(1906-1975)が1941年に戦火のレニングラードで愛国心を込めて作曲、1942年にモスクワの東800キロにある町クイビシェフで初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「モデラート・ポコ・アレグレット」、第3楽章「アダージョ」、第4楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の4楽章から成ります 作曲者は当初、第1楽章に「戦争」、第2楽章に「回想」、第3楽章に「広大な祖国」、第4楽章に「勝利」という標題を付けていましたが、最終的に採用しませんでした

オケが14型に拡大し、高関の指揮で第1楽章の演奏に入ります 冒頭はオケの総力を挙げての勇壮な演奏により「人間の主題」が力強く展開します しばらくすると、スネアドラムの連打の音が小さく聴こえてきて「戦争の主題」が竹山愛のフルートによって奏でられ、ピッコロ、オーボエ、ファゴットへとリレーされていきます まるでラヴェルの「ボレロ」のような展開です このテーマのリレーの間、重低音で奏でられるコントラバスの演奏が不気味です このテーマは狂暴な形でクライマックスを迎え爆発しますが、その後ファゴットの長いモノローグが演奏されます この演奏が寂寥感に満ちていて素晴らしかった 第2楽章の冒頭は第2ヴァイオリンから入り、その後第1ヴァイオリンが絡んできますが、ヴァイオリン・セクションが右と左に分かれて対面で向かい合う「対抗配置」が功を奏し、弦楽による素晴らしいアンサンブルが展開しました 第3楽章でも弦楽合奏によるコラール風のテーマの演奏が美しく響きました 切れ目なく続く第4楽章は、咆哮する金管・木管楽器群、渾身の弦楽器群、炸裂する打楽器群の総力を挙げてのスケールの大きな演奏により、音の大伽藍が築き上げられました

終演とともに満場の拍手が高関と東京シティ・フィルの面々を包み込みました 高関は、一番最初にフルート首席の竹山愛を立たせて健闘を讃え、彼女のシティ・フィルにおけるラストステージに華を添えました

高関✕東京シティ・フィルは80分の長丁場にも関わらず、途中で弛緩することなく、終始集中力に満ちたアグレッシブな演奏を展開、聴衆をショスタコーヴィチの世界に誘いました


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