goo blog サービス終了のお知らせ 

人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

スーパー指揮者~NHK「DEEP PEOPLE」から

2011年08月02日 06時54分19秒 | 日記
2日(火).昨日夜10時からNHKテレビの「DEEP PEOPLE スーパー指揮者」という番組を観ました.48分間の番組でしたが,中身が濃く面白い番組でした.番組の趣旨は「同じジャンルで活躍するプロフェッショナル3人が一堂に介し,その道を極める達人にしか語れない”濃密トーク”を司会なしで展開する」というものです

選ばれたスーパー指揮者は下野竜也(ブザンソン指揮者コンクール優勝者・41歳),広上淳一(キリル・コンドラシン指揮者コンクール優勝者・53歳),小林研一郎(例の”炎のコバケン”・71歳)の3人です.年齢的には各世代を代表した形の選考です.中間的な年齢の広上が進行役を務める形で話が進みます

[指揮棒へのこだわりについて] 
小林は愛着のある指揮棒が折れてしまい,破片をつなぎあわせて使用しているとのこと.なるほど,テープで巻いているのか指揮棒の中間部分が膨らんでいるように見えます 下野は手元の握る部分が円形の指揮棒を使用,広上はとくにこだわりはなくその時にフィットする指揮棒を使用するとのこと.ただ,背丈が低いので長めのタクトを使用すると言います.指揮棒は,野球で言えばバット,料理人で言えば包丁のような存在.こだわるのは理解できます

[演奏直前に何をして過ごすか]
小林は「控え室で素っ裸になって空気にさらし,柔軟体操をする」,広上は「5分前まで着替えず,指揮の直前になって着替える.気持ちを落ち着かせるため日本茶を飲む」,下野は「直前まで楽譜を読み込む」といいます.小林は年が年ですから柔軟体操は欠かせないでしょう.指揮は肉体労働ですから.広上は日本茶を飲んで落ち着くとのこと.ぜひ狭山茶を飲んで欲しいです.実家が狭山なもので.下野は流石に小澤征爾が昨年,松本でのサイトウ・キネンの代役に立てただけの指揮者です.小澤は暗譜するまで徹底的に楽譜を読んでいました.下野はブザンソン指揮者コンクール優勝者として小澤の後輩です.良く似ています

[オーケストラとの関係]
下野が「リハーサルで,オケにこうしてほしいと思うことを伝えると,ベテランの演奏者から”オレはあんたが来る前からずっとこのオケで演奏してきて,世界的に優れた指揮者のもとで素晴らしい演奏を何度も経験してきたんだ”と面と向かって言われることがある」というと,広上は「ウン,ウン」とうなずいていました.下野はまだ41歳.指揮者の世界では”洟垂れ小僧”と言われる年齢です.広上も53歳,指揮者としては”これから”といったところでしょう.下野は「指揮をしていると,オケの全員が急に立ち上がって”お前の言うことなんかわからないよ”と叫んで帰ってしまう.振り返ると観客も全員帰ってだれもいない,という夢を時々見る」と言います.広上が「ある,ある.それって本番中なの?」と訊くと「そうです」.一昔前は指揮者といえば独裁者のように”上から目線”でオーケストラに指示をして従わせる存在でした.トスカニーニなどは,気に入らない奏者がいると”このブタどもが,ヤメテしまえ!」と怒鳴りつけたと言われています.現在では,こんなことは出来ません.民主的というか,何とか気分よく”演奏していただく”ように飴と鞭を使い分けて指揮をすることになるのでしょう そう,いまや指揮者にはコミュニケーション能力が求められています.

[3人の指揮の違い]
面白かったのはベートーベンの第9交響曲の第1楽章の最後の部分を,3人が東京フィルを振って演奏する場面です 3人とも”エネルギッシュに””情熱を込めて””集中力を持って”指揮をしますが,具体的にどこがどう違うのか番組の進行役・関根勤にはわかりません.そこで,3人が同じ部分を振ったところを同時にビデオで再現してみせると,指揮棒の振り方やテンポの違いが明らかになってきます 一言で言えば一人一人テンポが違う,ということです.番組側の解説によれば,下野は「楽譜に忠実に再現」,広上は「楽譜に忠実に再現するも音を伸縮させて再現」,小林は「楽譜にない”間”をつくって後に続く音楽効果を高めるよう再現.最もテンポが遅い」ということになります.この比較は実に面白かったです いままで何となく分かっていたような気分でいたものが,具体的な形となって目の前に提示された,という感じです.

テレビはあまり観ないのですが,こういう番組は大歓迎です.時間ももっと長くやってほしいと思うくらいです.なお,この番組の再放送が8月3日(水)25:10~25:48にNHK総合テレビであるそうです.

  
  


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« マーラー「交響曲第5番」を... | トップ | アジアは一つ~チョン・ミュ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

日記」カテゴリの最新記事