30日(日)。わが家に来てから今日で3120日目を迎え、香港の高等法院(高裁)は28日、抗議デモで歌われた楽曲「香港に栄光あれ」のインターネット配信などを封じる禁止令を却下した というニュースを見て感想を述べるモコタロです
中国の傀儡政権では 行政も立法も絶望的だが 司法はまだ生きていた 司法を殺すな!
昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで、「フェスタサマーミューザ KAWASAKI 2023」参加公演「NHK交響楽団 ガルシアのラフマニノフと魅惑のシェエラザード」を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18」、②リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」です 演奏は①のピアノ独奏=マルティン・ガルシア・ガルシア、指揮=キンボー・イシイです
午後4時の開演に先立って、3時から「プレコンサート」がありました 曲目はボロディン「弦楽四重奏曲第1番 イ長調」から第1楽章と第4楽章です 演奏はヴァイオリン=横島礼理、村尾隆人、ヴィオラ=村松龍、チェロ=中美穂という若手のメンバーです
中を除く3人は立奏します 第1楽章はボロディンの有名な「ノクターン」を想起させる静謐な曲想です 第3楽章はその流れを引き継ぐように静かに始まりますが、途中から一転、スケルツォ風の軽快な音楽に変わります 4人のアンサンブルは聴きごたえがありました
指揮をとるキンボー・イシイは幼少期を日本で過ごし、12歳で渡欧。ウィーン市立音楽院でヴァイオリンとピアノを学ぶ 1986年に米ジュリアード音楽院でドロシー・ディレイに師事するが、左手の故障のためヴァイオリンを断念、指揮に転向 小澤征爾、サイモン・ラトルらに師事。ベルリン・コミッシェ・オーパー首席カぺルマイスター、ドイツ・シュレースヴィヒ=ホルスタイン州立劇場音楽総監督などを歴任しました
会場は「完売御礼」の表示の通り、満席です
オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものN響の並び コンマスは郷古廉(ごうこ すなお)です。ステージ中央にはガルシアがショパン・コンクールでも弾いたイタリアのメーカー「ファツィオリ」のピアノが置かれています どこから運んできたのだろうか
1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第2番 ハ短調 作品18」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1897年の交響曲第1番の初演の失敗の後、再起をかけて1900年から1901年にかけて作曲、1901年にモスクワで初演されました 第1楽章「モデラート」、第2楽章「アダージョ・ソステヌート」、第3楽章「アレグロ・スケルツァンド」の3楽章から成ります
ピアノ独奏のマルティン・ガルシア・ガルシアはスペイン生まれ。2021年クリーブランド国際ピアノコンクールで優勝。第18回ショパン国際ピアノコンクールで第3位並びに最優秀協奏曲特別賞を受賞しました
第1楽章がガルシアのソロにより開始されます 彼のピアノは打鍵が強く、特に低音部の重い音が床を伝わって届いてきます 弦楽合奏による渾身の演奏がソリストを盛り立てます とくにヴィオラ・セクションがいい音色で素晴らしい演奏を展開します 第2楽章ではピアノの一音一音の粒立ちが美しく、ロマンティシズムの極致をいく演奏が繰り広げられます フルートの神田寛明、クラリネットの伊藤圭の冴えた演奏がソリストを引き立てます 第3楽章ではガルシアの弾くファツィオリの高音部が美しく響きます そして、ソリストとオケとの丁々発止のやり取りによりアグレッシブな演奏が展開しますが、イシイは引き締まった指揮でオケを統率しソリストをサポートします
文字通り満場の拍手とブラボーに、ガルシアはラフマニノフ「13の前奏曲作品32」より第13番(変ニ長調「グラーヴェ」)を鮮やかに演奏、再び大きな拍手に包まれました
プログラム後半はリムスキー=コルサコフ:交響組曲「シェエラザード」です この曲はニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844-1908)が「千夜一夜物語」に霊感を受けて1888年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1楽章「海とシンドバットの船」、第2楽章「カランダール王子の物語」、第3楽章「若い王子と王女」、第4楽章「バグダードの祭り ~ 海 ~ 船は青銅の騎士の立つ岩で難破 ~ 終曲」の4楽章から成ります
オケは16型に拡大し、ステージ下手にはハープの早川りさ子がスタンバイします
キンボー・イシイの指揮で第1楽章に入ります 冒頭「シャフリヤール王のテーマ」がオケの総奏で力強く演奏され、次いで「シェエラザードのテーマ」が郷古のヴァイオリン・ソロで演奏されます このテーマは全曲を通じて局面ごとに趣を変えて奏でられますが、これが素晴らしい ただ美しいというのではなく、ノーブル(高貴)な印象を受けます また、第1楽章と第2楽章を中心に、木管楽器群が素晴らしいパフォーマンスを展開します 神田簡明のフルート、伊藤圭のクラリネット、吉村結実のオーボエ、宇賀神広宣のファゴット・・・みんな素晴らしい また東響からの客演と思われるホルンの上間喜之の演奏も特筆に値します 辻本玲のチェロ独奏も素晴らしかった 第3楽章では弦楽アンサンブルの美しい響きが会場を満たしました 白眉は第4楽章です。とくに船が嵐で難破する場面は、荒れ狂う海の様子がオーケストラの総力を挙げての渾身の演奏で活写され、ド迫力で迫ってきました
キンボー・イシイは暗譜で指揮をとりましたが、さすがはオペラ指揮者 と思わせるドラマティックな曲作りに徹し、類まれな統率力でN響から最大限の力を引き出しました
私はこれまで、ライブで何回この曲を聴いてきたか分かりませんが、間違いなく今回の演奏がこれまで聴いた中でベストでした
繰り返されるカーテンコールに応え、リムスキー・コルサコフ「熊蜂の飛行」が目にも止まらぬ超高速で演奏され、聴衆の興奮は頂点に達し、熱気によって会場の温度が2度上昇しました この日の演奏は、会場を満席にするだけの価値のある素晴らしい演奏でした