人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

小林研一郎 ✕ 服部百音 ✕ 東京フィルでチャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲」、「交響曲第5番」、歌劇「エフゲニー・オネーギン」よりポロネーズを聴く ~ 文京シビック響きの森シリーズ

2023年07月09日 00時01分01秒 | 日記

9日(日)。わが家に来てから今日で3099日目を迎え、ロシア前大統領のメドベージェフ安全保障会議副議長は7日までに、ウクライナ侵攻に関し、「全ての戦争は即座に終わらせられる。平和条約を結ぶか、1945年に米国が核兵器で広島と長崎を破壊したのと同じことをするかだ」と述べ、核兵器が使用される可能性に触れて威嚇した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     まるでロシアだけが 核兵器を持っているかのような言い草だが  認識が甘いと思う

 

         

 

昨日、文京シビックホールで「響きの森クラシック・シリーズ」第76回演奏会を聴きました オール・チャイコフスキー・プログラムで、①歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」、②「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」、③「交響曲第5番 ホ短調 作品64」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=服部百音、指揮=小林研一郎です

「響きの森クラシック・シリーズ」は、文京シビックホールの改装工事のため休館していましたが、工事が完了したことに伴い今シーズンから再開されることになりました 2021年3月以来約2年ぶりです

 

     

 

自席は1階右ブロック左から3つ目です。年間チケットを取るのに手こずり、通路側席が取れませんでした この日の公演は「完売御礼」の掲示が出ていました

オケは左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスは三浦章宏です

1曲目はチャイコフスキー:歌劇「エフゲニー・オネーギン」より「ポロネーズ」です この曲はピョートル・イリイチ・チャイコフスキー(1840-1893)が1877年から78年にかけて作曲した歌劇の第3幕冒頭の、侯爵家の舞踏会の場面で演奏される音楽です

金管を中心とするファンファーレに続いてポーランドの民族舞曲ポロネーズがオケの総奏によって力強く壮麗に演奏されます コバケンは肩の力を抜いた最小限の動きで東京フィルをコントロールします 新装となったホールを祝うのに相応しい華麗でゴージャスな演奏でした

2曲目は「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35」です この曲は1878年にスイスのレマン湖畔のクラランで作曲されました ロシアの名匠レオポルド・アウアーに初演を依頼しましたが、「演奏不能」として拒否されたため、ドイツ系ロシア人のアドルフ・ブロズキーに依頼、1881年12月にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「カンツォネッタ:アンダンテ」、第3楽章「フィナーレ:アレグロ・ヴィヴァーチッシモ」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の服部百音は1999年9月生まれ。2009年リピンスキ・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクールで史上最年少の第1位受賞をはじめ、数々の国際ヴァイオリンコンクールでグランプリを受賞しています 現在、桐朋学園大学音楽学部大学院に在籍中です

服部百音が水色と黒を基調とするエレガントな衣装で登場、コバケンの指揮で第1楽章が開始されます オケの序奏に続いて服部の独奏ヴァイオリンが入ってきます 服部は緩急・強弱自在の演奏によりアグレッシブな演奏を展開します 時にコバケンに”仕掛け”、コバケンがそれを受け止め、といった風景が随所に見られました カデンツァでは繊細にして勇壮な演奏を繰り広げました 第2楽章では甘美なヴィブラートが美しく響きました 万行千秋のクラリネット、斎藤和志のフルートがソリストの演奏に華を添えました 第3楽章冒頭は独奏ヴァイオリンの力強い演奏で開始されますが、彼女の演奏姿は まるで名刀正宗を振りかざす”侍”のようで、「寄らば斬るぞ」といった緊迫感に満ちていました    その後、ロシアの舞曲トレパーク風の歯切れの良い演奏によって、オケとの丁々発止のやり取りを通して、熱狂的なフィナーレを飾りました

満場の拍手に服部は、得意のアンコールピース、クライスラー「レチタティーヴォとスケルツォ」から「スケルツォ」を超絶技巧で演奏、聴衆を興奮の坩堝に巻き込みました

その後、コバケンがマイクを持って「服部さんは体調が悪い中、最後まで弾き切った。もう一度服部さんに大きな拍手を!」とアナウンスをしたのですが、マイクのせいでよく聞き取れませんでした 家に帰って、このブログを書こうと思ってツイッターを見ていたら、服部百音さんのブログに出会いました。そこには概要次のようなことが書かれていました

「6月のファジル・サイの頃から胃が激しく痛み、本番後の胃カメラでストレス性胃腸炎と診断されたが、薬を飲んでも全く効かなかった 6月末から状態が悪化したので別の病院で診てもらったら慢性胃腸炎が発覚した 約1か月間おかゆですら食べると激痛、水も飲めない状態が続き、だいぶ骨皮筋衛門になった 自宅や通院での点滴で何とか松本でのリサイタルを終えた 痛みは日に日に増しているが、今日はチャイコフスキーさまの力を借り、舞台の上では不思議と痛みと吐き気や倦怠感が去り、2楽章終わりから最後までは刺されるような痛みが復活していたとはいえ、素晴らしく美しい世界の中で自由に息ができる水を得た魚状態。終演後、一瞬頭が真っ白になりふらついてしまい、支えて下さったコバケン先生が舞台袖で『前回の共演から一回りも二回りも成熟した。一緒に音楽をやっていて本当に楽しい』という言葉を幸せいっぱいに噛みしめ、明日の演奏を踏ん張りながら明日だけの音楽を愉しみ愛し、10日に入院し、11日に手術が決まった チャイコフスキーに、東京フィルの皆さんに、マエストロに、満員の聴衆の皆さんの熱い拍手とともに伝わるエネルギーに、文字通り支えて助けていただいた。心から感謝したい

ツイートの下に、三浦コンマスの隣で演奏用ドレスで立ったまま点滴を受ける彼女の写真が添えられていました 上に感想を書いた通り、本番中、彼女がそんな酷い健康状態で演奏しているとは思いもよりませんでした いつもと変わらない集中力に満ちたアグレッシブな演奏でした 思い返してみると、入退場の時、いつもよりもゆっくりと歩いている姿が印象的でした あれは胃の痛みに耐えていたのだと思います 表面的には何事もなかったような平然とした顔をして、超絶技巧のアンコールまで弾き切った服部百音こそプロ中のプロと言うべきです

頑張れ  服部百音

 

     

 

プログラム後半は「交響曲第5番 ホ短調 作品64」です この曲は1888年に作曲、同年ペテルブルクで初演されました 第1楽章「アンダンテ ~ アレグロ・コン・アニマ」、第2楽章「アンダンテ・カンタービレ、コン・アルクーナ・リチェンツァ」、第3楽章「ワルツ:アレグロ・モデラート」、第4楽章「フィナーレ:アンダンテ・マエストーソ ~ アレグロ・ヴィヴァーチェ」の4楽章から成ります

第1楽章冒頭、クラリネットによって「運命の主題」が暗く重く奏でられます この冒頭部分はテンポが極端に遅く、そのうち止まるのではないかと思いました しかし、そのうちテンポアップしていきます。コバケンはこの楽章に限らず、かなりテンポを大きく動かして指揮をしていました おそらく演奏のダイナミズムを狙ったテンポ設定だと思われます 第2楽章はホルンの独奏で主題が奏でられますが、このホルンが素晴らしかった また、クラリネットとオーボエ独奏も冴えていました 第3楽章はスケルツォではなく「ワルツ」です この辺がチャイコフスキーらしいところです 流麗な演奏が展開します。第4楽章は、第1楽章冒頭でクラリネットにより暗く重く演奏された「運命の主題」が、まるで勝利のテーマのごとく勇壮に演奏されます 同じメロディーがまったく異なる曲想で再演される・・・こうしたところがこの曲の大きな特徴です (この4楽章は今年初旬、NTV系列で放映された「リバーサルオーケストラ」のテーマ音楽として使われましたね)。コバケン ✕ 東京フィルはオケの総力を挙げてのスケールの大きな演奏で圧倒的なフィナーレを飾りました

カーテンコールが繰り返され、いつものようにコバケンは、セクションごとに楽員を立たせて賞賛の拍手を求めました その後、マイクを持って数人の奏者に新しいホールの印象を訊きましたが、フルートの斎藤氏が「トイレもウォシュレットになったし、良かったと思います」と答え、会場の大爆笑を誘いました 吉本興業への水洗に、もとい、推薦に値します そのこと自体は良いのですが・・・

休憩時間には男性トイレに長蛇の列ができました 信じられないことに、1階のトイレは女性用が3カ所あるのに男性用は1カ所(小便器7つ+個室)しかないのです 男性の列は廊下に並び切れず会場内にまで続いていました 男性客は口々に「これじゃあ、休憩時間が終わっちゃうよ」と文句を言っていました 会場見取り図によると全体の収容人数は約1800人で、2階にトイレはなく、3階に男性用、女性用とも各2か所あります(たぶん小スペース)。何なんでしょうか、このアンバランスは 一番収容人数の多い1階席に男性用トイレが1カ所(出入口が1つ)しかないなんて、他のコンサート会場では見たことがありません オーチャードやトリフォニーのように1階に1カ所しかなくても小便器と個室の数がそれなりにあり、右側からも左側からも出入りできるのであれば、それほど列はできないものです アンケート用紙が配布されていたので、この酷いトイレ事情についてクレームを書いておきました トイレ問題は 簡単には 水に流せません

 

     

コメント
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