8日(土)その2。昨日、午後2時からの新日本フィル「クラシックへの扉」定期演奏会(その1参照)に次いで、午後7時から東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第362回定期演奏会」を聴きました プログラムは①リャードフ:交響詩「キキーモラ 作品63」、②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63」、③スクリャービン「交響曲第4番 作品54 ”法悦の詩” 」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=周防亮介、指揮=秋山和慶です
オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び。コンマスは荒井英治です
1曲目はリャードフ:交響詩「キキーモラ 作品63」です この曲はアナトリー・リャードフ(1855-1914)がサハロフの「ロシア民間説話集」に出てくる妖女キキーモラを描いたもので、1909年に作曲、1912年にぺテルベルクで初演されました
秋山の指揮で演奏に入りますが、高橋舞のイングリッシュ・ホルンが素晴らしかった
2曲目はプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1935年に作曲、同年マドリードで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・アッサイ」、第3楽章「アレグロ、ベン・マルカート」の3楽章から成ります
ヴァイオリン独奏の周防亮介 は1995年京都生まれ。2016年ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞及び審査員特別賞を受賞したほか、内外のコンクールで入賞を果たしています 現在、江副記念リクルート財団奨学生としてメニューイン国際音楽アカデミーで研鑽を積んでいます
第1楽章冒頭は周防の独奏ヴァイオリンが哀愁を帯びた旋律を奏でます ロマン溢れる演奏でよく歌います 周防は第2楽章では、伸びやかな旋律を美しい音色によりカンタービレで歌い上げます 第3楽章は独奏ヴァイオリンとオケとのやり取りで力強い演奏が繰り広げられ、華やかなフィナーレを飾ります
鳴りやまない拍手に周防は、シュ二トケの超絶技巧曲「ア・パガニーニ」(抜粋)を「本当に一人で演奏しているのだろうか」と思わせるほどの圧倒的なテクニックで演奏し、聴衆を唖然とさせました
プログラム後半はスクリャービン「交響曲第4番 作品54 ”法悦の詩” 」です この曲はアレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)が1905年から08年にかけて作曲、1908年12月にニューヨークで初演されました 実質的に単一楽章による交響詩風の作品です。タイトルの法悦(原題はエクスタシー)は恍惚状態のことを指しますが、ここでは「精神の高揚によって神と一体化した絶対的な境地」すなわち、トランス状態的な意味を持つとも解釈されています
秋山の指揮で演奏に入りますが、しばらくして美しいハープの音色が聞こえてきたので舞台下手を見ると、ハープ2台のうち1台を高野麗音が演奏していました どうりで上手いわけだなと思いました この曲はホルン8本、トランペット5本にパイプオルガンも加わって大音量で演奏されますが、相当入り組んでいてバランスが難しいと思われます しかし、なぜか秋山氏の指揮で演奏を聴くと、スッキリと聴きやすく感じるのが不思議です まさにアキヤマ・マジックです 最後はオケの総力を挙げての演奏により圧倒的なクライマックスが築き上げられました
この日は午前の新日本フィル「ワンコイン講座」、午後の「新日本フィル定期」、夜の「シティ・フィル定期」と、ほぼ1日中座って音楽を聴いていたので疲れました とは言うものの、今日はコバケン ✕ 服部百音 ✕ 東京フィルのチャイコフスキーを聴きに行きます