人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

秋山和慶 ✕ 周防亮介 ✕ 東京シティ・フィルでプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」、スクリャービン「交響曲第4番”法悦の詩”」他を聴く ~ 第362回定期演奏会

2023年07月08日 01時26分36秒 | 日記

8日(土)その2。昨日、午後2時からの新日本フィル「クラシックへの扉」定期演奏会(その1参照)に次いで、午後7時から東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第362回定期演奏会」を聴きました プログラムは①リャードフ:交響詩「キキーモラ 作品63」、②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63」、③スクリャービン「交響曲第4番 作品54 ”法悦の詩” 」です 演奏は②のヴァイオリン独奏=周防亮介、指揮=秋山和慶です

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び。コンマスは荒井英治です

1曲目はリャードフ:交響詩「キキーモラ 作品63」です この曲はアナトリー・リャードフ(1855-1914)がサハロフの「ロシア民間説話集」に出てくる妖女キキーモラを描いたもので、1909年に作曲、1912年にぺテルベルクで初演されました

秋山の指揮で演奏に入りますが、高橋舞のイングリッシュ・ホルンが素晴らしかった

2曲目はプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第2番 ト短調 作品63」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1935年に作曲、同年マドリードで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・アッサイ」、第3楽章「アレグロ、ベン・マルカート」の3楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の周防亮介 は1995年京都生まれ。2016年ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際ヴァイオリンコンクール入賞及び審査員特別賞を受賞したほか、内外のコンクールで入賞を果たしています 現在、江副記念リクルート財団奨学生としてメニューイン国際音楽アカデミーで研鑽を積んでいます

第1楽章冒頭は周防の独奏ヴァイオリンが哀愁を帯びた旋律を奏でます ロマン溢れる演奏でよく歌います 周防は第2楽章では、伸びやかな旋律を美しい音色によりカンタービレで歌い上げます 第3楽章は独奏ヴァイオリンとオケとのやり取りで力強い演奏が繰り広げられ、華やかなフィナーレを飾ります

鳴りやまない拍手に周防は、シュ二トケの超絶技巧曲「ア・パガニーニ」(抜粋)を「本当に一人で演奏しているのだろうか」と思わせるほどの圧倒的なテクニックで演奏し、聴衆を唖然とさせました

 

     

 

プログラム後半はスクリャービン「交響曲第4番 作品54 ”法悦の詩” 」です この曲はアレクサンドル・スクリャービン(1872-1915)が1905年から08年にかけて作曲、1908年12月にニューヨークで初演されました 実質的に単一楽章による交響詩風の作品です。タイトルの法悦(原題はエクスタシー)は恍惚状態のことを指しますが、ここでは「精神の高揚によって神と一体化した絶対的な境地」すなわち、トランス状態的な意味を持つとも解釈されています

秋山の指揮で演奏に入りますが、しばらくして美しいハープの音色が聞こえてきたので舞台下手を見ると、ハープ2台のうち1台を高野麗音が演奏していました どうりで上手いわけだなと思いました この曲はホルン8本、トランペット5本にパイプオルガンも加わって大音量で演奏されますが、相当入り組んでいてバランスが難しいと思われます しかし、なぜか秋山氏の指揮で演奏を聴くと、スッキリと聴きやすく感じるのが不思議です まさにアキヤマ・マジックです 最後はオケの総力を挙げての演奏により圧倒的なクライマックスが築き上げられました

この日は午前の新日本フィル「ワンコイン講座」、午後の「新日本フィル定期」、夜の「シティ・フィル定期」と、ほぼ1日中座って音楽を聴いていたので疲れました とは言うものの、今日はコバケン ✕ 服部百音 ✕ 東京フィルのチャイコフスキーを聴きに行きます

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ジョゼ・ソアーレス ✕ 村治佳織 ✕ 新日本フィルでロドリーゴ「アランフェス協奏曲」、ビゼー「アルルの女」組曲第1番・第2番、ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ第4番」より抜粋ほかを聴く

2023年07月08日 00時29分40秒 | 日記

8日(土)その1.わが家に来てから今日で3098日目を迎え、フィリピン軍は中国との領有権を争う南シナ海の南沙諸島で、先月から多数の中国漁船が確認されていると明らかにした  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     覇権主義国家・中国は”俺の領海は俺のもの、他人の領海も俺のもの”という態度だ

 

  昨日は昼も夜もコンサートがあったので、夕食作りはお休みしました   

 

         

 

昨日、午後2時からすみだトリフォニーホールで新日本フィル「クラシックへの扉シリーズ  第16回定期演奏会」を、午後7時から東京オペラシティコンサートホールで東京シティ・フィル「第362回定期演奏会」を聴きました ここでは新日本フィルの定期演奏会について書きます

プログラムは①ヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ 第4番」より「前奏曲」、「踊り」、②ロドリーゴ「アランフェス協奏曲」、③ヒナステラ:バレエ音楽「エスタンシア」組曲作品8、④ビゼー「アルルの女」組曲第1番(全曲)、組曲第2番より「間奏曲」「ファランドール」です   演奏は②のギター独奏=村治佳織、指揮=ジョゼ・ソアーレスです

指揮をとるジョゼ・ソアーレスはブラジル・サンパウロ市出身。2021年、23歳で第19回東京国際音楽コンクール(指揮)第1位、および聴衆賞を受賞 現在、ブラジルのミナス・ジェライス・フィルのアソシエイト・コンダクターを務めています   ちなみに上記のコンクールで指揮をしたオケが新日本フィルでした

 

     

 

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新日本フィルの並び コンマスは崔文洙、隣は特任コンマスの伝田正秀というダブル・コンマス態勢を敷きます

1曲目はヴィラ・ロボス「ブラジル風バッハ 第4番」より「前奏曲」「踊り」です この曲はヴィラ・ロボス(1887-1959)が1930年から45年にかけて作曲した「ブラジル風バッハ」全9曲のうちの1曲です バッハの名前が冠されているものの、バッハの様式で書かれているわけではありません。バッハの古典に還るといった意味合いがあります

第1曲「前奏曲」は弦楽だけによる演奏です 郷愁を誘うメロディーが繰り広げられますが、透明感のある美しいアンサンブルでした

第4曲「踊り」はもともと黒人男性による細かく足を動かすダンスとのことです ヴァイオリンセクションのキザミが印象的でした

2曲目はロドリーゴ「アランフェス協奏曲」です この曲はホアキン・ロドリーゴ(1901-1999)がピアニストの妻との新婚旅行で訪れたアランフェスでの印象をもとに1939年に作曲、1940年にバルセロナで初演されたギター協奏曲です 第1楽章「アレグロ・コン・スピリート」、第2楽章「アダージョ」、第3楽章「アレグロ・ジェンチル」の3楽章から成ります

ギター独奏の村治佳織は幼少の頃から数々のコンクールで優勝を果たし、15歳でビクターからCDデビューを飾りました フランス留学から帰国後、ソロ活動を展開し、国内外のオーケストラと数多くの共演を重ねています

オケは8型(8・6・4・4・2)に縮小します ソリストの前にはマイクが設置されています 大ホールでのギター演奏は音が小さすぎて十分に聴こえないので、音を拡大する必要があります

ソアーレスの指揮で第1楽章に入ります 村治のギターは特に速いパッセージが鮮やかです 第2楽章はこの曲の白眉です 村治のギターの もの淋し気な旋律に胸を締め付けられるように感じますが、小室敬幸氏のプログラム・ノートによると、ロドリーゴの妻は「第1子を流産した悲しみが反映している」と語ったそうです    ソアーレスはオケを抑え気味にコントロールし、村治のソロを引き立てました 森明子のコーラングレがソリストの演奏に華を添えました 村治のカデンツァは聴きごたえがありました 第3楽章は独奏ギターとオケとのコラボにより軽快な演奏が繰り広げられました

満場の拍手に応えたアンコールはポピュラー風の曲でしたが、軽快な演奏でした

 

     

 

プログラム後半の1曲目はヒナステラ:バレエ音楽「エスタンシア」組曲 作品8です この曲はアルゼンチンの作曲家でアストル・ピアソラの師匠としても知られるアルベルト・ヒナステラ(1916-1983)が1941年に作曲、組曲版は1943年に初演されました 「エスタンシア」とは農場のことです。第1曲「農場で働く人々」、第2曲「小麦の踊り」、第3曲「牧場の牛追い人」、第4曲「終幕の踊り」の4曲から成ります

ソアーレスの指揮で第1曲の演奏に入りますが、金管楽器、打楽器が大活躍のエネルギッシュな演奏が繰り広げられます 続く第2曲では、野津のフルートと崔コンマスのヴァイオリン・ソロが長閑な旋律を美しく奏でます 第3曲ではティンパニの連打による勇壮な音楽が印象的です 第4曲ではヒナステラ特有のリズムでアグレッシブな演奏が展開します

最後の曲はビゼー「アルルの女」組曲第1番(全曲)、組曲第2番より第2曲「間奏曲」と第4曲「ファランドール」です 「アルルの女」はジュルジュ・ビゼー(1838-1875)が1872年に作曲したドーデの劇のための音楽で、全27曲から成ります この中からビゼーが4曲を選んで第1組曲(①前奏曲、②メヌエット、③アダージェット、④カリヨン)とし、ビゼーの死後、友人のギローが4曲を選んで第2組曲(①パストラール、②前奏曲、③メヌエット、④ファランドール)としました

ソアーレスの指揮で演奏に入ります 組曲第1番の第1曲「前奏曲」では弦楽器セクションの渾身の演奏と、アルト・サクソフォンの抒情的な演奏が印象的でした 第4曲「カリヨン」ではチャイコフスキーのワルツのような旋律が出てきて意外に思いました 第2組曲第4曲の「ファランドール」については、事前に開催された「60分ワンコイン講座」で小室氏からレクチャーを受けましたが、映像で見た「ファランドール」は非常にゆったりした舞踏でした ところが、ギローの編曲では、「前奏曲」のメロディーと重ね合わされて高速でアグレッシブに演奏されます この高揚感はギローがいなければ達成できなかったと思います

ソアーレス ✕ 新日本フィルはアンコールに「アルルの女」第2組曲から第3曲「メヌエット」を演奏しました    野津雄太のフルートが素晴らしく、アルト・サクソフォンとのコラボも美しく響きました

この日のプログラムは南ヨーロッパ(フランス、スペイン)と南アメリカ(ブラジル、アルゼンチン)の音楽でしたが、指揮のジョゼ・ソアーレスは、ブラジル生まれということによる「行け行けどんどん」といったイメージとは真逆で、とても25歳とは思えない、知的で落ち着いた指揮者という印象を持ちました ひょっとすると、この人、将来 大物になるかもしれません

 

     

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