7日(月)。昨日午前,伯父の三回忌のため義父の運転で藤沢市の時宗Y寺に行きました お寺の本堂のすぐ近くで何か動く気配があったので,そちらを見ると,野生のリスがエサを探していました
発見されたのに気が付いたのか,近くの塀に飛び移りました 落ちるリスクを顧みないリスの見事な”発想跳び”でした
塀の上に辿りつくと端まで歩いていって塀を伝え降り,どこかに消えていきました
法要を済ませてからお墓参りをして,会場を移して辻堂の割烹料理K屋でコース料理をいただきましたが,私は3時からサントリーホールでコンサートがあるので,特別に料理を早めて出してもらいました その結果,料理の出る順番が途中から,ご飯とみそ汁の次に煮物や牛肉料理が出てきたりしました 順番は別として何とか全コースをいただくことが出来,タクシーで辻堂駅まで行き,東海道線で新橋へ,銀座線で溜池山王へと移動し,開演時間の30分前にサントリーホールに着きました.グッド・タイミングです
というわけで,わが家に来てから332日目を迎え,リボン・クッションで寝ようか齧ろうか迷っているモコタロです
こんなデカいクッションで寝たら くしゃみが出るよ ハックッション!
閑話休題
ということで昨日午後3時から、サントリーホールで読売日響の第551回定期演奏会を聴きました。プログラムはワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」で演奏会形式での上演です 指揮は常任指揮者のカンブルランです。キャストはトリスタン=エリン・ケイヴス,イゾルデ=レイチェル・二コルズ,マルケ=アッティラ・ユン,ブランゲーネ=クラウディア・マーンケ,クルヴェナル=石野繁生,メロート=アンドレ・モルシュ,牧童・舵手・若い水夫=与儀巧,男声合唱=新国立劇場合唱団です
この曲が初演されたのは今からちょうど150年前の1865年のことです 物語をごく簡単に言えば,毒で死ぬべきトリスタンとイゾルデが,イゾルデの侍女によって媚薬にすり替えられたことから,死ぬどころか気が狂わんばかりに愛し合ってしまう,というものです もっとも二人は最後には死んでしまう訳ですが こんな他愛のない内容のために,休憩を入れて5時間もかかる楽劇を仕立て上げてしまうのですから,ワーグナーという人は凄いですね ワグネリアン(ワーグナー命という人.ワーグナーが飯より好きという人)はどう思うか知りませんが,誇大妄想も甚だしいと思います
この日はお知らせが3枚ありました まず,テレビの収録をしているというお知らせです
次は「本日の上演スケジュール」です 帰りは午後8時過ぎになるわけね
最後に「出演者変更のお知らせ」です.しかもヒロインのイゾルデ役(ソプラノ)の変更です.会員には事前にハガキで通知が来ていましたが,さて,これが吉と出るか凶とでるか
会場はほぼ9割方埋まっている感じでしょうか.いつもの読響定期公演より多いと思います オケのメンバーが入場します.コンマスは長原幸太.オケの後ろには新国立劇場合唱団の男声コーラス約30人がスタンバイします 指揮台と歌手が歌うステージ最前列の部分だけに照明が当てられ,オケは譜面台に設置されたスポットライトを頼りに演奏します
カンブルランが登場,前奏曲の演奏に入ります.有名な「トリスタン和音」が会場を満たしますが,この和音を聴くと落ち着かず不安になります この曲はそういう音楽です.一言で言えば”曖昧”です ステージ左袖からイゾルデ役のレイチェル・二コルズが赤のドレスで,侍女ブランゲーネ役のクラウディア・マーンケが黒のドレスで登場し,歌による会話が始まります
イゾルデ役は当初,ドイツ出身のクリスティアーネ・イ―ヴェンが歌う予定でしたが,「お知らせ」の通り”重度の咽頭炎”のため出演できなくなり,英国出身のレイチェル・二コルズが出演することになったものです 彼女の歌を聴く限り,代演は「凶」どころか「大吉」でした 上の「お知らせ」に「鈴木雅明らの指揮で・・・」という記述があったので,あれっ?!と思ったのですが,私は確かにバッハ・コレギウム・ジャパンのカンタータ全曲演奏会かミサ曲かで,彼女の歌を聴いています.ということは,バッハも歌えるけれど,ワーグナーも歌えるという幅広いレパートリーを持ち,しかも抜群な歌唱力を持ったソプラノ歌手だということです.この日もまった無理なく美しいソプラノでアリアを歌い上げました
また,同じくらい素晴らしかったのはブランゲーネ役のクラウディア・マーンケです.深みがあるのによく通るメゾソプラノです
男声陣もトリスタン役のエリン・ケイヴスは文句なく素晴らしく,マルケ役のアッティラ・ユン,クルヴェナル役の石野繁生,メローと役のアンドレ・モルシュ,若い水夫役の与儀巧・・みんな例外なくそれぞれの役柄に応じた素晴らしい歌声を聴かせてくれました
新国立劇場の男声コーラスは30人程度の少人数にも関わらず,すごい迫力で会場を圧倒しました
読響はカンブルランのタクトのもと,素晴らしいアンサンブルを奏でました.個人技では,第3幕でコーラングレを吹いた北村貴子(で間違いないでしょうか?)が心に沁みる演奏を展開していました
残念だったのは,各幕の終幕における一部の聴衆のフライングです 最後の音が消えるか消えないかのタイミングで”待ってました”とばかりに”ブラボー”をかける自称”音楽通”がいるのです サントリーホールでは事前のアナウンスで「演奏が終わっても指揮者のタクトが下ろされるまで拍手やブラボーの掛け声はお控えください」と注意を促しています それにも関わらず間髪を入れずに拍手やブラボーをかけるのは確信犯としか言いようがありません 『演奏直後のしじまも音楽のうち』という常識を理解できない自己中心的な無粋な連中です.絶対やめてほしいと思います
8時過ぎに公演が終わって外に出ると,天気予報通り雨が降っていました 巣鴨に着くとどしゃ降りになっていて,スーツも靴もずぶぬれになってしまいました 水も滴るいい男,なんて言ってる場合じゃありません 今日から仕事に”職場復帰”.夕べ靴の中に新聞紙を詰め込んで乾燥させておきました