人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

1960年代のラスベガスが舞台?!~METライブビューイング、ヴェルディ「リゴレット」を観る

2013年03月11日 07時00分52秒 | 日記

11日(月)。「区切りじゃない わすれない 東日本大震災 きょう2年」という大見出しの朝刊を見て、「そうか、あれからもう2年も経ってしまったんだな!」と感慨深い思いをしました 2年前のこの日、会社にいて大地震を経験しました。幸い夜になって地下鉄が動いたので家に帰れましたが、社員のほとんどは職場に泊まり込みました もうあのような経験はたくさんです。あれからどこの会社でも備蓄を増やしたりして今後の大地震に備えるようになりました。合言葉は、自信をもって地震に対処しよう

 

  閑話休題  

 

昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ヴェルディ「リゴレット」を観ました これは今年2月16日に米メトロポリタン歌劇場で上演された公演の録画映像です

キャストは、リゴレットにジェリコ・ルチッチ(バリトン)、ジルダにディアナ・ダムラウ(ソプラノ)、マントヴァ公爵(デューク)にピョートル・べチャワ(テノール)、殺し屋スパラフチ―レにステファン・コツァン(バス)、マッダレ―ナにオクサナ・ヴォロコヴァ(メゾソプラノ)、モンテロ―ネにロバート・ボマコフ(バス)ほか、ミケ―レ・マリオッティ指揮メトロポリタン歌劇場管弦楽団、演出はマイケル・メイヤーです

物語は16世紀のフランスで、身体的ハンディを負うリゴレットが、箱入り娘のジルダを誘拐され、主君であるマントヴァ公爵を殺害することを決意し、殺し屋を雇って殺人を企てるが、殺されたのは男に変装したジルダだった、という悲劇です

この作品はヴェルディが1850年~51年に作曲、51年3月11日にヴェネツィアのフェニーチェ座で初演されました ちょうど162年前の今日ですね。今回のMETの「リゴレット」公演の最大の特徴は、舞台を1960年代のラスベガスに移したことです。演出の、マイケル・メイヤーはミュージカル「春のめざめ」で2007年にトニー賞を受賞している人気演出家です。演出に沿って、舞台もネオン・サインが輝くベガスの世界が描かれます 歌手だけでなく、背景のネオン・サインも雷鳴のシーンなどで大きな役割を果たします

タイトルロールのリゴレットを歌うルチッチはセルヴィア出身のバリトンですが、深みのある声で聴衆を魅了しました ジルダ役のダムラウはドイツ出身のソプラノですが、2011年のMET来日公演ではドニゼッティ「ランメルモールのルチア」のタイトルロールを歌い、大喝采を浴びました。私も聴きましたが伸びのある素晴らしい声でした。このジルダでも美しいコロラチューラ・ソプラノを聴かせてくれました

公爵(デューク)役のベチャワはポーランド出身のテノールですが、普段は”まじめな”役柄が多い中で、女性なら誰にでも声を掛ける浮気男を見事に演じ、歌いました。「女心の歌」は軽快でした

この公演でまさにぴったりの役柄だと思ったのは殺し屋役のコツァン(バス)です。どすの利いたよく通る声で、スタイルもよく、風貌も殺し屋そのものといった感じです。とにかくカッコいいのです

正直言って、オペラで時代設定を大きくずらしたり、場所を違う国に変えたりする演出は好きではありません。演出家の独りよがりの演出だと、どんな筋だったかさえ分からなくなり、作曲家の描いたテーマが曖昧になってしまうからです ところが、今回の演出は、時代設定が400年もの開きがあり、場所もフランスからアメリカに移されたにもかかわらず、すごく分かりやすく、違和感がありませんでした これはもちろん、ヴェルディの音楽の力と台本の確かな構築性によるところが大きいと思いますが、やはり斬新ながらも本筋を外さない演出の力も大きいと思います

幕間のインタビューで、ルネ・フレミングが「これまでの古典的なオーソドックスな演出と比べて、今回の演出についてどう思うか」と質問したのに対して、ルチッチもダムラウも「オーソドックスな演出も好きだが、今回の演出も作品のテーマは損なわれていないし、作品に対する姿勢は変わらない」と語っていました。

ミュージカルや映画が好きな人が初めてオペラを観る場合には、この演出は理想的な案内役になるのではないかと思います もちろん、オペラ愛好家にとっても刺激的でチャレンジングな演出で良かったと思います

METライブビューイング「リゴレット」は3月15日(金)まで、新宿ピカデリー、東銀座の東劇ほかで上映中です 上映時間はインタビューや休憩を含めて3時間18分、入場料は3,500円です。ラスベガス版リゴレットをお楽しみください

 

          

 

「リゴレット」が終わって、外に出ると、空が土色になって、細かい粒子が目に入って痛みを感じました。新宿の紀伊国屋前から西新宿を写メしたのが下の写真です。高層ビルが一つも見えません 花粉とともに某国からの黄砂が上空で交差しているのかと思っていたら、強風で埃が巻き上げられる”煙霧”という現象だそうです それはそれとして、日本にも黄砂を輸出している隣の某国は「リグレット」していないのでしょうか 

 

          

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