人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

友田とん「『百年の孤独』を代わりに読む」、「ガルシア=マルケス中短編傑作選」、佐藤正午「佐世保で考えたこと」、ソン・ウォンピョン「アーモンド」、稲垣えみ子「魂の退社」他を買う

2024年08月20日 00時01分02秒 | 日記

20日(火)。キッチンの水栓の締りが悪く、キツク締めないと水が止まらないので、先月下旬に業者に来てもらい、修理が可能かどうか見てもらいました 現在の水栓(下の写真)はレバーハンドルを下に下げると水やお湯が出るようになっています(30年近く使用)。ところが、2011年の東日本大震災の際、地震で物がレバーの上に落ちて水が止まらなくなった事故が多発したことから、このようなタイプの方式の水栓は製造中止となり、古いタイプの水栓の部品の在庫はないということでした したがって水栓そのものを新品と交換するしか方法がないというので、見積もりを取ったうえで昨日お昼ごろ取り換え工事に来てもらいました

     

約1時間の取り換え工事の結果、下のように新しい水栓が設置されました レバーハンドルを下から上に上げると水やお湯が出るようになっています 器具・工事・出張費込みで5万5千円弱かかりましたが、これから30年近く使用することを考えれば安いものだと思います

     

ということで、わが家に来てから今日で3507日目を迎え、米共和党のトランプ前大統領は17日、大統領選の激戦州の一つ、東部ペンシルベニア州で演説し、民主党のハリス副大統領の政策について「共産主義であり、マルクス主義であり、ファシストだ」とし、ハリス氏への個人攻撃を繰り返し、「自分の方が彼女よりずっと容姿はいい」と発言した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     強権主義であり強欲資本主義であり独裁主義者でナルシストのトランプが言うか?

         

昨日、夕食に「豚の冷しゃぶ」「生野菜とアボカドのサラダ」「冷奴」「シメジの味噌汁」を作りました 暑い夏は豚肉でスタミナを付けたいですね

     

        

手元の本が残り2冊(「百年の孤独」他)になったので、いつも通りジュンク堂書店池袋本店で8冊購入しました

1冊目は友田とん著「『百年の孤独』を代わりに読む」(ハヤカワ ノンフィクション文庫)です 今、ガブリエル・ガルシア=マルケス「百年の孤独」を読み始めたところですが、なかなか手強い相手です そういう中、新聞広告でこの本が出ていることが分かり、「百年の孤独」を読んだ後で読んで理解を深めたいと思いました

     

2冊目はガブリエル・ガルシア=マルケス著「ガルシア=マルケス中短篇傑作選」(河出文庫)です 何とか著者のことを理解したいと思い、「百年の孤独」よりは読みやすいのではないかという甘い考えで購入しました

     

3冊目は佐藤正午著「佐世保で考えたこと エッセイ・コレクションⅡ 1991-1995」(岩波現代文庫)です これは先日ご紹介した佐藤正午著「かなりいいかげんな略歴 エッセイ・コレクションⅠ 1984-1990」に次ぐエッセイ集第2弾です

     

4冊目はソン・ウォンピョン著「アーモンド」(祥伝社文庫)です これは本の帯にある「2020年本屋大賞 翻訳小説部門 第1位」の謳い文句に惹かれました

     

5冊目は稲垣えみ子著「魂の退社 会社を辞めるということ」(幻冬舎文庫)です 朝日新聞の読者にはお馴染みの”アフロヘア”の元論説委員が朝日を退社したことについて書いています

     

6冊目は内田英治著「マッチング」(角川ホラー文庫)です タイトルの「マッチング」とは言うまでもなく「マッチングアプリ」のことですが、どうやらマッチングで猟奇的な連続殺人事件が起こる小説のようです

     

7冊目は渋沢栄一原作・まんが超訳「論語と算盤」(光文社文庫)です ご存じの通り、新1万円札の顔になった”日本近代資本主義の父”渋沢栄一の経営哲学を漫画で紹介した本です

     

最後の8冊目は矢部太郎著「大家さんと僕 これから」(新潮文庫)です これは「大家さんと僕」を読んで面白かったので、第2弾を読んでみようと思いました

     

いずれも、『百年の孤独』を読了後、読んだうえでご紹介していきます

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出口大地 ✕ 読売日響で「読響サマーフェスティバル 三大交響曲」を聴く~シューベルト「第7番”未完成”」、ベートーヴェン「第5番”運命”」、ドヴォルザーク「第9番”新世界より”」

2024年08月19日 00時04分15秒 | 日記

19日(月)。朝起きる時、背中に近い腰がズキンと痛みました 整骨院の院長の話では「朝痛むのは最悪で、1週間は安静が必要 風呂はシャワーだけ お酒は厳禁」となります。しかし、一旦起きて歩くと痛みはそれほど感じないので、普段の生活を送ることになりますが、院長の話では「それがいけない 痛みがないから治ったわけではない。見えない傷が治っていない証拠。1週間安静を」となります。午後コンサートがありますが、前日に続いて取りやめにするかどうか迷いました

ということで、わが家に来てから今日で3506日目を迎え、岸田首相による14日の自民党総裁選への不出馬表明を受け、9月の自民党総裁選に立候補の意欲を示す議員が11人にのぼることが分かった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     誰がなっても自民党の金権体質は変わらないと思うが 野党も頼りにならないしなぁ

         

結局、昨日14時から東京芸術劇場コンサートホールで「読響サマーフェスティバル 三大交響曲」を聴きました プログラムは①シューベルト「交響曲第7番 ロ短調 ”未完成”」、②ベートーヴェン「交響曲第5番 ハ短調 ”運命”」、③ドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より”」です 指揮は出口大地です

私は毎年、この公演を聴いていますが、①8月後半はほとんどクラシック・コンサートがないこと、②「新世界より」は別として、「未完成」にしても「運命」にしても生演奏で聴く機会がほとんどないからです

指揮者の出口大地は大阪府豊中市生まれ。関西学院大学法学部卒業後に東京音楽大学作曲指揮専攻を卒業。23年にベルリンのハンス・アイスラー音楽大学のオーケストラ指揮科修士課程を修了。2021年にハチャトゥリアン国際コンクールで優勝し注目を浴び、22年に東京フィル定期演奏会で日本デビューを果たす

     

自席は1階L列24番、センターブロック右通路側です チケットはかなり早い段階でソルドアウトとなったようで、会場は文字通り満席です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの読響の並び    コンマスは長原幸太、隣は戸原直というダブルトップ態勢を敷きます

1曲目はシューベルト「交響曲第7番 ロ短調 ”未完成”」です この曲はフランツ・シューベルト(1797-1828)が1822年に第2楽章まで作曲、シューベルトの死後 1865年12月17日にウィーンで初演されました 第1楽章「アレグロ・モデラート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」の2楽章から成ります

第1楽章が低弦の動機で開始されます 荒木奏美のオーボエ、金子平のクラリネットがよく歌います チェロのアンサンブルが美しい 第2楽章では、日橋辰朗のホルン、オーボエ、クラリネットが冴え渡ります 弦楽セクションのアンサンブルが美しく会場に響き渡ります 出口は終始 中庸なテンポで演奏を進め、静かに曲を閉じました

2曲目はベートーヴェン「交響曲第5番 ハ短調 ”運命”」です この曲はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン(1770ー1827)が1807年から08年にかけて作曲、1808年12月22日にアン・デア・ウィーン劇場で交響曲第6番”田園”などと共に初演されました 第1楽章「アレグロ・コン・ブリオ」、第2楽章「アレグロ・コン・モート」、第3楽章「アレグロ」、第4楽章「アレグロ」の4楽章から成ります

出口が緊張感に満ちた表情で指揮台に上がり、タクトを振ります かなり速いテンポでグングン演奏を進めます ここで初めて、彼の指揮はどこか変だな・・・と思いました よく見ると彼は左手にタクトを持って指揮をしているのです そうでした、出口は麻丘めぐみの「わたしの わたしの 彼は~ 左きき~♬」でした   終盤における荒木奏美のオーボエのロングトーンは聴きごたえありました 第2楽章では冒頭のチェロとヴィオラの演奏が素晴らしい ファゴットとフルートが冴えています 第3楽章から切れ目なく続く第4楽章にかけての緊張感の高まりが勝利の喜びを呼び込みます 咆哮する金管・木管楽器、炸裂するティンパニ、渾身の演奏を展開する弦楽器が「苦悩を通じての歓喜」を歌い上げます

集中力に満ちた素晴らしい演奏でした

     

プログラム後半はドヴォルザーク「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より”」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)が米ニューヨークのナショナル音楽院の院長として滞在していた米国で1893年に作曲、同年12月16日にニューヨークで初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

世界中のコンサート会場で、最も多く演奏されている交響曲は「新世界交響曲」であると、どこかで読んだ記憶があります ちなみに私の場合は、今年だけで①1月20日の東京フィル「響きの森クラシックシリーズ」(小林研一郎指揮)、②5月31日の読響名曲シリーズ(ステファニー・チルドレス指揮)、③8月10日のフェスタサマーミューザ「東京フィル」(角田鋼亮指揮)に次いで今回が4度目です 私のケースだけ取り上げてみても、8か月で4回は やはり多いと言わざるを得ません

オケは16型に拡大します

出口の指揮で第1楽章に入りますが、かなり細かくテンポを変えて指揮をとります この曲でもオーボエの荒木奏美の演奏が素晴らしい また、トランペットが胸のすくような演奏を繰り広げます 第2楽章はイングリッシュ・ホルンの独壇場です 山本楓は「家路」のメロディーを叙情的に歌い上げ、聴衆を魅了しました フルートとオーボエのフォローも素晴らしかった 第3楽章はスケルツォですが、エネルギッシュな演奏が繰り広げられました 第4楽章冒頭は鉄道オタク、ドヴォルザークらしい音楽で、まるで機関車が徐々にスピードを上げて発進するかのようです オーケストラ総力を挙げての渾身の演奏でクライマックスを築き上げますが、最後は消え入るように終結します。ここがこの曲の素晴らしいところです

ところが、指揮者のタクトが下まで降り切らないうちに拍手が起こりました フライングです。指揮者は納得していないと思います なぜ、あと2~3秒待てないのか

誰よりも早く拍手をして存在感を示したいという自己満足のためのフライング拍手やフライングブラボーはやめるべきです 満足しているのはあなた一人だけです 最後の音が鳴り終わった後の余韻までが音楽であり演奏であることを理解できていない 分かりやすく言えば、曲がどのように終わるのかで、拍手やブラボーのタイミングを計るべきです 演奏が素晴らしかっただけに、聴衆側のマナー違反は残念でした

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「METライブビューイング アンコール2024」東銀座 東劇で23日から全20演目上映開始 ~ ヴェルディ「運命の力」「エルナー二」「ナブッコ」、プッチーニ「蝶々夫人」、ベッリーニ「夢遊病の女」ほか

2024年08月18日 00時01分47秒 | 日記

18日(日)。わが家に来てから今日で3505日目を迎え、米共和党の大統領候補であるトランプ前大統領は15日、個人の財務報告書を提出したが、自身が刊行に関わった「聖書」の印税や、自身をアメリカンヒーローに見立てたトレーディングカードの販売など、多様な資金源が明らかになった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     さすがは根がビジネスマンのトランプだ  ポーカーじゃなく トレカで金儲けとは!

         

昨日、息子が夕食に「カマスとカレイのオリーブオイル炒め」「マグロと夏野菜のサラダ」「ペスカトーレ」を作ってくれました どれもが見た目も味も最高でした 今回の帰省でも数々の美味しい料理を作ってくれた息子は、本当は金曜日に宮城県白石市に戻る予定でしたが、台風の影響を受け、1日延ばして昨日の夕食後に実家を後にしました

     

     

     

     

         

「METライブビューイング  アンコール2024」が東銀座『東劇』で23日から上映されます 過去の上映作品の中から20演目が選ばれていますが、ジョン・アダムズ「ドクター・アトミック」をはじめ現代オペラが4品目選ばれているのが今年の特徴かもしれません 上映プログラム・日程は下のチラシの通りです

     

     

METライブビューイングは1作品3時間から4時間くらいかかるのが普通なので、腰痛持ちには辛いところがあります したがって、どうしても観たい演目に絞らざるを得ません その筆頭に上げたいのはヴェルディ「エルナー二」です これは2011~2012シーズンに上映された演目で、大好きなバリトンのディミトリ・ホヴォロストフスキーが出演します 次に観たいのはベッリーニ「夢遊病の女」です これは2008~2009シーズンに上映された演目で、ソプラノのナタリー・デセイとテノールのフアン・ディエゴ・フローレスという黄金コンビが出演します あとはモーツアルト「イドメネオ」(2016-2017シーズン:ジャン・ピエール・ポネル演出)、同「魔笛」(2006-2007シーズン:ジェイムス・レヴァイン指揮)といった作品です 日程はコンサートの予定のない日で、朝一番で上映される日を選びたいと思います

チケット代は一般:3200円、学生:2100円です。なお、鑑賞済み座席指定券の半券提示でリピーター割引(300円)があります

METライブビューイングの良いところは、①高精密画像と高音質のオペラが楽しめる、②舞台裏映像や歌手・指揮者等へのインタビュー映像も流れ、作品や出演者への理解が深まる点です 本物のオペラ公演で舞台から遠くの席で鑑賞していると、歌手が遠すぎて楽しめないことがありますが、ライブビューイングでは歌手や指揮者のアップ映像もあるので、どんな表情で歌い、指揮しているかがよく分かります 個人的にはこれが一番のメリットだと思います 3200円のチケット代は決して高くはないと思います

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矢部太郎著「大家さんと僕」を読む ~ 「カラテカ」の矢部さんと87歳のおばあさんの笑いとペーソスに満ちたエピソード:手塚治虫文化賞短編賞受賞作

2024年08月17日 00時01分02秒 | 日記

17日(土)。わが家に来てから今日で3504日目を迎え、米共和党のトランプ前大統領が15日、大統領選に向けた記者会見をニュージャージー州で開き、民主党のハリス副大統領への執拗な個人攻撃を続け、「私には彼女を個人攻撃する権利がある」と主張した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     個人攻撃は権利だという言葉は トランプの強権性と卑しい人間性をよく表している

         

昨日、夕食に隔週金曜日のローテにより「鶏の唐揚げ」を作り、いただきものの牛肉をしゃぶしゃぶにして、枝豆を茹でて一緒に食べました 唐揚げは息子にも好評でした 整骨院の院長からは「お酒はダメですよ」と言われていますが、3人揃ったし唐揚げにはビールなので例外扱いで飲みました

     

         

矢部太郎著「大家さんと僕」(新潮文庫)を読み終わりました 矢部太郎は1977年東京生まれ。芸人・漫画家。97年に「カラテカ」を結成。2018年、初めて描いた漫画「大家さんと僕」で手塚治虫文化賞短編賞を受賞 舞台やドラマ、映画で俳優としても活躍中

     

本書は2017年10月に新潮社から刊行され、2024年7月に文庫化されたものです

お笑い番組、というかテレビはニュース以外はほとんど観ないので、「カラテカ」の矢部さんを見ることはほとんどありません テレビで1,2回見たような気がしますが、何となくおとなしそうで 気が弱そうで お笑いには向いていないのではないか・・・と思ったような気がします ところが、この漫画を読んで初めて面白い人なんだなと思いました

本書の扉に「大家さん」と「矢部太郎」のプロフィールが出ています それによると、「大家さん」は東京生まれ東京育ち。矢部太郎の大家さん。とても上品な物腰で、挨拶は「ごきげんよう」。矢部との「二人暮らし」が楽しくて寿命が延びたそう。好きなものは伊勢丹とNHKと羽生結弦くん 一方「矢部太郎」は東京生まれ東京育ち。お笑い芸人。8年前から大家さんの家の2階に間借りしている。テレビのバラエティでうまく喋れないのが悩み。同世代の女性より、大家さんの方が話が合うーとのことです その上で、「この物語はフィクションです。起きた出来事をもとにしているものの、ノンフィクションではないので、当然、僕の視点で創作・脚色を加えています。漫画のなかで表現した大家さんは、『僕自身が接し、話し、見ていた大家さんからイメージして作り上げたキャラクター』で、モデルとなった大家さんと『漫画の大家さん』とは違います」と断りを入れています

「大家さん」は87歳のおばあさんなのですが、とてもチャーミングです 矢部さんが、いつもお世話になっているお礼に薔薇模様のパジャマをプレゼントすると、「次のお出かけに着ていくわ」と言うので、「どこか行く予定はあるんですか?」と聞くと「三途の川よ~」と言って矢部さんを焦らせます また、後輩と話している最中に大家さんから電話がかかってきて、お茶の約束をすると後輩から「彼女?」と訊かれ、「いや、相手はおばあちゃんだから」と話すと、それを電話で聞いていた大家さんが後で、「私のこと『おばあさん』って言ってましたね。忘れませんから・・・」と恨んだりします 極めつけは大家さんからのバースデ・ケーキです 大家さんが「はぴいばすでい とぅ やあべさあん」と言ってケーキでお祝いしてくれたのですが、大家さんのケーキはおはぎで、刺さっているロウソクは仏壇用でしたーこれには声を出して笑ってしまいました

どこか頼りなげだが心優しい矢部さんと、ユーモア時々シニカルな大家さんのコンビだからこそ、笑いとペーソスに満ちたエピソードが絶えないのだと思います 気軽に読める漫画の文庫本です。お薦めします

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佐藤正午著「かなりいいかげんな略歴 エッセイ・コレクションⅠ 1984-1990」を読む ~ 小説の名手・佐藤正午は若き日に何を思い 何を書いていたのか?

2024年08月16日 00時37分16秒 | 日記

16日(金)。わが家に来てから今日で3503日目を迎え、公設第一秘書の妻を公設第二秘書と届け出たが、勤務実態がなく、計400万円近くの秘書給与を国からだまし取ったとして東京地検特捜部の捜査を受けた広瀬めぐみ参院議員(58)=岩手選挙区、自民党を離党=が15日、参院に議員辞職願を提出し、許可された  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     400万円の返金は当然だが  岩手の選挙民の前に二度と顔を出せないのは残念だね

 昨日は、品川の義父の誕生祝で 昼にたらふく食べたので、夕食作りはお休みしました 

         

佐藤正午著「かなりいいかげんな略歴 エッセイ・コレクションⅠ 1984-1990」(岩波現代文庫:全358ページ)を読み終わりました 佐藤正午は1955年8月25日、長崎県佐世保市生まれ。北海道大学文学部中退。1984年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を、2015年「鳩の撃退法」で第6回山田風太郎賞を、2017年「月の満ち欠け」で第157回直木賞を受賞 「身の上話」「リボルバー」「小説家の四季」など著書多数

     

本書は、タイトル通り小説家・佐藤正午がデビューした1984年から1990年までに書かれたエッセイを集めたものです

表題作の「かなりいいかげんな略歴」は作家デビュー作「永遠の1/2」が第7回すばる文学賞を受賞した際の初エッセイです このエッセイには 昭和30年8月に長崎県佐世保市で生まれたこと、小学校4年の時に父親の仕事の都合で諫早市に引っ越したこと、地元の図書館でシャーロック・ホームズやルパンシリーズを借りて貪り読んだこと、中学時代は野球に明け暮れていたこと、高校時代は映画に夢中になったこと、大学時代は麻雀と読書三昧の生活を送り、野呂邦暢の「諫早菖蒲日記」に感銘を受けて初めてファンレターを送ったところ返事が届き「若いくせに君は文章がうまいよ」と褒められたこと、それが小説を書き出す一つのきっかけになったこと・・・などが書かれています

次の「諫早ー中学時代」の冒頭近くでは次のように書かれています

「ご存じないかもしれぬが、ぼくは小説家なのである。もとへ。ぼくは新人の小説家なのである くどい。要するに、ぼくは新人文学賞に当って本を1冊持てたばかりの人間なのである。佐藤正午。サトウショウゴと読む。『永遠の1/2』の佐藤正午である。いまのところ長崎県佐世保市に住んでいる。新作の小説を書き悩んで昼間は唸り通し、夜間は飲めぬ酒を無理して飲み歩き、口説けぬ女を無駄に口説き歩いている 飲んだり口説いたりするだけの印税が入ったのである。小説をこつこつ書いても儲からないという噂があるけれどあれは嘘で、小説をこつこつ書けば儲かるのである 僕は儲かった。ただ残らないだけだ。もし小説をこつこつ書いてもお金は残らないという噂があれば、それは本当である

この文章に現れている「理屈っぽさ」、ある意味「しつこさ」は、現在の佐藤正午の小説やエッセイでもほとんど変わりません アイロニカルな言い回しも変わっていない また、ここには出てきませんが、ギャンブル好きの性格も変わらない 元々は競馬だったのが競輪になっただけの話です

1987年のエッセイ「映画が街にやってきた」のエピソードは面白い 「永遠の1/2」が映画化されることになり、地元の街に監督やプロデューサー、大竹しのぶ、時任三郎らスターがやってきた 原作者である佐藤正午のもとに母親はじめ、どこで聞きつけてきたのか友人・知人から電話が殺到する 「大竹しのぶさん、どこに泊るの?」「サインをもらってほしい」という電話には「ぼくは小説家だ。彼女のマネージャーじゃない」と応えるものの「だって、映画の原作を書いたんでしょう? 同じことじゃないの」と言われてしまい閉口する・・・この辺のエピソードが佐藤正午らしい表現方法で書かれています

本書は若き日の佐藤正午が何を思い、何を書いていたのかが明かされています 小説の名手・佐藤正午のファンはもちろん、小説全般の愛好家の皆さんにお薦めします

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アンヌ・フォンテーヌ監督「ボレロ 永遠の旋律」を観る ~ モーリス・ラヴェルの名作誕生の秘話:ピアノ協奏曲ト長調、ピアノ三重奏曲、ラ・ヴァルスなどが流れる

2024年08月15日 00時08分06秒 | 日記

15日(木)。わが家に来てから今日で3502日目を迎え、北朝鮮メディアは10日、金正恩総書記が洪水被害にあった北朝鮮北部の平安北道を訪れ、専用列車で演説したと報じたが、朝鮮労働党機関紙「労働新聞」が掲載した写真をみると、この列車内にメルセデス・ベンツの多目的スポーツ車(SUV)が積まれていた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     北の御大将はベンツ帯同で洪水被害の視察ですか! 国民は涙を流して喜ぶだろうね

         

昨日、夕食に「ハッシュドビーフ」「生野菜サラダ」を作りました ハッシュドビーフは久しぶりに作りましたが、美味しく出来ました

     

         

昨日、TOHOシネマズシャンテでアンヌ・フォンテーヌ監督による2024年製作フランス映画「ボレロ 永遠の旋律」(121分)を観ました

午前11時の部を観たのですが、館内は満席です お盆休みとはいえ、ラヴェルの「ボレロ」で映画館が満席とは驚きました

物語の舞台は1928年のパリ。スランプに苦しむモーリス・ラヴェル(ラファエル・ペルソナ)は、振付師でダンサーのイダ・ルビンシュタイン(ジャンヌ・バリバール)からバレエの音楽を依頼される 彼は失った閃きを求めるかのように自身の過去(最愛の母の死、叶わない愛など)に思いを馳せながら、試行錯誤の日々を経てついに傑作「ボレロ」を完成させる しかし、自身のすべてを注ぎ込んで作曲したこの曲に、彼の人生は侵食されていく

     

今なぜ「ボレロ」なのか・・・おそらく作曲者のモーリス・ラヴェル(1875-1937)が来年、生誕150周年を迎えるからだと思います

「ボレロ」はラヴェルが1928年に作曲したバレエ曲ですが、スネア・ドラムにより同一のリズムが保たれている中で、2種類の旋律が楽器を変えながら繰り返され、クレッシェンドしていき、最後にどんでん返しで終結するという特徴的な構成を有する演奏時間約17分の作品です

映画の冒頭は、機械音が反復して鳴り響く大きな工場です そこで人気作曲家のラヴェルが、機械が奏でる”音楽”の解釈についてイダ・ルビンシュタインに語ります アンヌ・フォンテーヌ監督は、「ボレロ」こそリズムやメロディーの反復性において機械が奏でる音楽と同質のものであると主張しているように思われます

面白いのは、イダ・ルヴィンシュタインが、完成した曲に合わせて艶めかしく官能的な振り付けで踊ると、ラヴェルは「余計な演出はやめてほしい」と言わんばかりの顔を見せるところです 彼女は「ボレロ」の音楽に官能的な側面を見出して振付したのに、作曲者のラヴェルはそのようには全く意図しておらず、もっと機械的にシンプルに踊ってほしかったのです しかし、公開初演の後、それまでラヴェルを評価していなかった評論家から「官能的な素晴らしい作品」と褒められ、やっとイダの解釈を認めるようになります

しかし、ラヴェルは「ボレロ」が大ヒットしたことから、「ボレロのラヴェル」というレッテルを貼られることになり、それに悩まされることになります 彼はそれを払拭するために「ピアノ協奏曲ト長調」を作曲します

この映画ではラヴェルの負の一面も紹介されます 彼は1900年から05年まで5回にわたりローマ賞(芸術を専攻する学生に対してフランス国家が授与する奨学金付き留学制度)に挑戦しますが、とうとう第1等を受賞できませんでした 映画では、仲間たちから「5回の落選に乾杯しよう」と皮肉られるシーンがあります ちなみにエクトル・ベルリオーズは数回の落選の後に第1等を受賞しています

ところで1928年11月22日の初演時にパリ・オペラ座でイダ・ルヴィンシュタインが「ボレロ」を踊るシーンは、ステージの上に大きな円卓が置かれ、その上でダンスを踊る映像になっていましたが、現実にはどうだったのでしょうか というのは、モーリス・ベジャール演出による「ボレロ」が、まさに円卓上でソリストによって躍られるからです 私の勝手な想像では、初演時には平面舞台で踊られ、ベジャールが初めて円卓上でのダンスを考案したのではないか、と思います

さて、音楽です この作品はラヴェルの”伝記映画”なので、彼の作品を中心に数々の音楽が使用されています 前半ではショパンの音楽がいくつか流れます 「ワルツ第19番 イ短調 遺作」、「ノクターン第13番 ハ短調 作品48-1」、「ワルツ第10番 ロ短調 作品69-2」です ラヴェルの音楽は「ボレロ」を中心に、「亡き王女のためのパヴァーヌ」、「道化師の朝の歌」、「夜のガスパール」、「ヴァイオリン・ソナタ第2番 ト長調」から第2楽章「ブルース」、「ピアノ三重奏曲 イ短調」から第1楽章「モデレ」、「弦楽四重奏曲 ヘ長調」から第2楽章「十分に生き生きと、きわめてリズミカルに」、「ラ・ヴァルス」、「マ・メール・ロワ」から第5曲「妖精の園」、「ピアノ協奏曲 ト長調」から第2楽章「アダージョ・アッサイ」などです ピアノ曲の演奏はアレクサンドル・タロ―、「ボレロ」の管弦楽による演奏はブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団です

観て聴いて楽しい映画です 観た後できっと、ラヴェルの音楽が聴きたくなります クラシックファンに限らず 広くお薦めします

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中山七里著「能面検事の奮迅」を読む ~ 森友学園の国有地取得に関する疑惑にヒントを得たミステリー:どんでん返しが待っている!

2024年08月14日 00時56分03秒 | 日記

14日(水)。7月27日の「フェスタサマーミューザ」オープニングコンサートから8月12日までの17日間で、フェスタ参加12公演を中心に計16公演を集中的に聴いてきましたが、腰痛持ちには最悪の17日間でした 長時間座るのが腰に良くないので、川崎までの電車の中では立ったまま本を読みました それもあって非常に疲れる毎日でした 昨日の朝は 起きる時から腰というか、背中に近い腰が痛みました 幸か不幸かお盆休み中はどこの会場もコンサートはやっていないので一息ついたといったところですが、整骨院も休診というのは痛いです

お盆休みだからといって何もしないわけではありません 昨日は猛暑のなか 帰省中の息子と共に埼玉県S市の実家に出向き、墓参りを済ませてきました いつもは義弟が車で最寄り駅まで迎えにきて墓参りをしていたのですが、体力的に運転が厳しくなったので、私が最寄り駅でタクシーを掴まえて実家に行き、妹を乗せて墓地に行って、タクシーには墓地の駐車場で待っていてもらい、墓参が終わって実家まで戻ってもらいました 猛暑の中、線香に火を点ける時、汗がしたり落ちました 一仕事を終えて一安心しました

実家では今年2月に、17年飼っていた体重7キロの猫のミラが病死したので、新しい猫ミナ(2.5キロ)を飼っていました ミナは保護猫で、外部からの侵入者には容易に心を開いてくれず、マイルームに閉じこもったまま出てきませんでした 猫かぶってないで出てきてほしかったです

     

家の前にある夾竹桃が満開でしたが、生命力が強く あまりにも大きく育ったため、強風の時、前の道路まで枝が垂れ下がって通行の邪魔になったということで、「根元から切っても良いか?」と訊かれたので、事故でも起こったら大変なので切ってもらうことにしました 小学生の頃から毎夏 花を咲かせていた夾竹桃なので、名残惜しいのですが、仕方ありません

     

ということで、わが家に来てから今日で3501日目を迎え、トランプ前米大統領が12日、Xに約1年ぶりに投稿したが、約2分半の動画に「私が犯した唯一の罪は、この国を破壊しようとする者から恐れずにこの国を守ろうとしたことだ」と正当化するナレーションをつけた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     あなたが犯した罪の一つは 自分だけが正しく 他人はバカだと思い込んでいることだ

         

昨日、夕食に「鶏肉と野菜の炒め物」「生野菜とアボカドのサラダ」「エノキダケの味噌汁」を作りました 「鶏肉~」は息子にも好評で、ご飯をおかわりしていました

     

         

中山七里著「能面検事の奮迅」(光文社文庫)を読み終わりました 中山七里は1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー 「中山七里は七人いる」と言われるほど速筆で著書は多数あり、「どんでん返しの帝王」と呼ばれている

本書は大阪地方検察庁の検事・不破俊太郎と事務官・惣領美晴のコンビが活躍する「能面検事」のシリーズ第2弾で、2021年7月に光文社から刊行され、24年4月に文庫化されました

学校法人萩山学園に対する国有地払い下げに関して近畿財務局職員の収賄疑惑が浮上する 捜査対象は萩山学園理事長の萩山孝明と近畿財務局の国有財産調査官の安田啓輔で、担当は特捜部のホープ、高峰仁誠主任検事である 大阪地検特捜部が捜査を始めるが、今度は担当検事・高峰による文書改竄事件が浮上する 相次ぐ不祥事に最高検察庁から調査チームが派遣され、大阪地検の不破も特捜部の調査に加わることになる どんな圧力にも表情を変えない「能面検事」の不破が事務官の惣領美晴とともに難事件の真相解明に挑む

     

この小説は明らかに、現実の森友学園問題をモデルにしていることが分かります 学校法人森友学園が小学校の用地として2016年に購入した大阪府豊中市の国有地を巡り、売却価格の決定のプロセスや、そこに安倍晋三首相(当時)・昭恵夫妻が関与した可能性などが取り沙汰された事件です この件では、財務省が近畿財務局に対して森友学園関連の公文書の改竄を命じていたことが発覚し、2018年には書き換えを強いられた近畿財務局職員が自殺するという悲劇が起きました

しかし、この作品では、そのような事件をモデルにしながらも、まったく異なったストーリーが展開します 能面検事・不破と、特捜部のホープでありながら証拠改竄の疑いをかけられた高峰との対決がメインになっています 学生寮の近くにある食堂の壁に貼られていた1枚の写真から、高峰と財務局の安田との関係が明かされ、なぜ高峰が文書を改竄したのかが明らかになっていきます

「ああ、そういうことだったのか」と納得していると、「どんでん返しの帝王」はそうは簡単に終わらせません 真相は意外なところから飛び込んできます

予想外のストーリー展開にページをめくる手が止まりませんでした ミステリー好きに特にお薦めします

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原田慶太楼 ✕ 川久保賜紀 ✕ 潤音ノクト ✕ 東京交響楽団で伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」、ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」他を聴く~フェスタサマーミューザ

2024年08月13日 00時31分48秒 | 日記

13日(火)。わが家に来てから今日で3500日目を迎え、ロシアのプーチン大統領は12日、ウクライナ軍の越境攻撃の目的は「交渉でのウクライナの立場を向上させることだ」と指摘し、国境外に追い出すよう国防省に求めた  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     ウクライナはロシアと同じことをやってるに過ぎない ロシアは一方的な侵略だけど

         

昨日、息子が夕食に「カツオの 夏野菜とブルーベリーソース乗せ」「シメジと玉葱と卵のスープ」「野菜と豆のサラダ」を作ってくれました 冷酒も息子が持ってきたものです 料理はプロ級で、とても美味しかったです

     

         

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ フィナーレコンサート ~ 慶太楼が魅せる、新時代のファンタジア!!」を聴きました プログラムは①ムソルグスキー(R.コルサコフ編):交響詩「禿山の一夜」、②吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ組曲 第2番 作品79a」、③伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」、④デュカス:交響詩「魔法使いの弟子」、⑤ガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です このうち①と④はディズニーのアニメ映画「ファンタジア」(1940年制作)、⑤は「ファンタジア2000」の採用曲目です 演奏は③のヴァイオリン独奏=川久保賜紀、⑤のピアノ独奏=潤音ノクト(バーチャル・アーティスト)、指揮=原田慶太楼です

原田慶太楼は現在、サヴァンナ・フィル音楽・芸術監督、東京交響楽団正指揮者、愛知室内オーケストラ首席客演指揮者   2025年7月に米国デイトン・フィル音楽・芸術監督に就任予定

     

オケは14型で、左奥にコントラバス、前に左から第1ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、第2ヴァイオリンという対抗配置をとります コンマスはブレブ・ニキティンです。オーボエには育休明けの荒絵理子が現場復帰を果たしています 荒さん おかえりなさい! 仕事に育児に大変だと思いますが、イクジなしと言われないようにどちらも頑張ってください。応援しています

1曲目はムソルグスキー(R.コルサコフ編):交響詩「禿山の一夜」です    この曲はモデスト・ムソルグスキー(1839-1881)が1881年から83年にかけて作曲、1886年にサンクトペテルブルクで初演されました    作曲者の死後、リムスキー・コルサコフが管弦楽版に編曲して人口に膾炙するようになりました

交響詩の内容は、夜になると闇の神チェルノボグとともに魔物たちが現われて大騒ぎを繰り広げるというものですが、いかにも不気味な音楽が、ベルリオーズ「幻想交響曲」の第5楽章「魔女の夜宴の夢」のような音楽が、管弦楽によって薄気味悪く展開します メリハリの利いた素晴らしい演奏でした

2曲目は吉松隆「アトム・ハーツ・クラブ組曲 第2番 作品79a」です   この曲は吉松隆(1953~)が作曲した 1970年代ロックへのオマージュとでもいうべき作品です  「アトム・ハーツ・クラブ」のタイトルは、ビートルズの「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」やピンク・フロイドの「アトム・ハート・マザー(原子心母)」等のロックの名盤をブレンドして「鉄腕アトム」の10万馬力でシェイクするというコンセプトに由来するとのことです 第1曲「ピッツィカート・ステップス」、第2曲「アグレッシブ・ロック」、第3曲「ブラザース・ブルース」、第4曲「ラグ・スーパー・ライト」、第5曲「ミスターG・リターンズ」、第6曲「アトミック・ブギ」の6曲から成ります

管打楽器が退場し、弦楽セクションのみが残りますが、ヴァイオリン、ヴィオラの椅子が取り除かれ、立奏します

原田の指揮で演奏に入りますが、第1曲「ピッツィカート・ステップス」では聴衆に「指パッチン」の協力を求め、聴衆参加型公演の意図が垣間見えました 第2曲以降も乗りの良い演奏が続きますが、最後の第6曲「アトミック・ブギ」ではほんの一瞬「鉄腕アトム」の主題歌が顔を見せ、「ここは高田馬場か」と戸惑いました この曲でも原田は、最後の場面で聴衆に手拍子を求め、聴衆参加型公演の意図にとどめを刺しました この日の聴衆は「ノッテル・ノッテル・ノッテル・ノッテル・ヤマハメイト♬」のように乗りやすいタイプだったようで、嬉々として手拍子に興じていました 原田屋、おぬしも悪よのう

3曲目は伊福部昭「ヴァイオリンと管弦楽のための協奏風狂詩曲」です この曲は伊福部昭(1914-2006)が1948年に初演したヴァイオリン協奏曲を改変し1971年に完成した作品です 第1楽章「アダージョ~アレグロ」、第2楽章「ヴィヴァーチェ・スピリトゥオーソ」の2楽章から成ります

ヴァイオリン独奏の川久保賜紀は2001年サラサーテ国際ヴァイオリン・コンクール優勝、2002年チャイコフスキー国際音楽コンクール最高位 2018年より桐朋学園大学院大学教授を務める

協奏曲のため弦楽器は12型に縮小し、再び弦楽セクションの椅子が並べられます(どうしてこんな面倒なことをしたんだろう?という疑問が若干あり)。

川久保が赤のゴージャスな衣装で登場、原田の指揮で第1楽章に入ります 前半は川久保のソロが”嵐の前の静けさ”のように奏でられますが、アレグロに移るとオケにより「ゴジラ」のテーマが勇壮に演奏され、民族の血がたぎります 第1楽章が力強く終結すると、2階席から拍手が起こりました 指揮台から後ろを振り返った原田は、「拍手してもいいんですよ」と語りかけました。これには拍手した人たちは救われた思いをしたのではないかと思います 私は長い間、楽章間の拍手は避けるべきだと考えてきました。しかし、ある指揮者が「楽章間で拍手が起こることは、むしろ演奏する側からすれば喜ばしいことです。なぜなら、これまでコンサートに来たことがない人が初めて聴きに来てくれた可能性があるからです」と発言したのを何かで見て、「もっともだ」と思いました 演奏が良いと思ったら楽章間であっても拍手をして良いのだと思います ケイタロウ、ナイス・フォローでした さて、演奏の話に戻すと、第2楽章の川久保のカデンツァは聴きごたえがありました 久しぶりに伊福部昭を聴きましたが、やっぱりいいなあと思います

満場の拍手とブラボーが飛び交い、カーテンコールが繰り返されたのは言うまでもありません

     

プログラム後半の1曲目はデュカス:交響詩「魔法使いの弟子」です この曲はポール・デュカス(1865-1935)が1897年に作曲、同年パリで初演されました ストーリーは、魔法使いの弟子が師匠の留守中に、うろ覚えの呪文を箒にかけて大失敗するというものです

弦楽器は14型に戻ります

原田の指揮で演奏に入ります 演奏を聴きながら、子供たちが小さい頃にレーザーディスクでよく観たディズニーのアニメ映画「ファンタジア」の中で、ミッキーマウスが魔法使いの弟子になって奮闘するシーンが目に浮かびました ファゴットの演奏が素晴らしかったです

最後の曲はガーシュイン「ラプソディ・イン・ブルー」です この曲はジョージ・ガーシュイン(1898-1937)が作曲、1924年に初演された「ジャズとクラシックの手法が融合したシンフォニック・ジャズ」の代表作です 初演時にはジャズ・バンド向けの編成で演奏されましたが、後にファーディ・グローフェがオーケストラ用に編曲してクラシックのレパートリーに定着しました

ピアノ独奏の潤音ノクト(うるね のくと)は KADOKAWA ✕ dwango、東京交響楽団の特別監修によるプロジェクト「ポルタメタ」の第1弾オーディションを通過したバーチャル・アーティストです

ステージの背面と上手と下手の出入り口近くに巨大スクリーンが計3台設置され、バーチャルのグランドピアノが映し出されています 舞台袖近くでは配信用テレビカメラが指揮者とオケを捉えています 当然、本物のピアノは舞台上にはありません 原田が今回の企画について説明し、スクリーンにバーチャル・アーティストの潤音ノクトが登場します リアルタイムで演奏することを証明するため、原田はノクトと会話し(ノクトは男声だった)、ノクトと聴衆のじゃんけんを提案します 原田が「じゃんけんぽん」と合図するとノクトはチョキを出しました。聴衆はそれぞれですが、私はグーを出しました。そして、画面の中のノクトはピアノ椅子に座り指揮者の合図を待つことになります

原田の指揮で演奏に入りますが、冒頭のクラリネットの演奏が素晴らしい やがてバーチャル・アーティストのノクトが指揮に合わせてピアノを弾く映像が流れます これはリアル・タイムです 原田の解説を自分なりに翻訳すると、数多くの応募者の中から厳しいオーディションを通して選んだアーティストが、会場とは別の場所で実際にピアノを弾いて、それをバーチャル映像化したアバターのようなキャラクターがスクリーンの中で演奏する・・・ということになります 細かな指使いなどが実にリアルです コロナ全盛期の定期公演で、東京交響楽団はジョナサン・ノットがベートーヴェン「第3交響曲」を指揮する録画映像を観ながら演奏するという実験をやり遂げましたが、それとは次元が異なります 録画ではなくリアルなコラボです 唯一残念なのは本当にピアノを演奏しているピアニストは名前もバックボーンもあるのに、だれも知らないということです

いずれにしても、原田は常に何か新しい試みをフェスタサマーミューザで仕掛けてきますが、未来志向の姿勢は素晴らしいと思います

カーテンコールが繰り返されますが、バーチャル・アーティストも画面に登場して一礼して退場したりします 貴重な経験が出来た楽しいフィナーレコンサートでした

     

     

     

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藤岡幸夫 ✕ 務川慧悟 ✕ 東京シティ・フィルでラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番」、ホルスト:組曲「惑星」を聴く~フェスタサマーミューザ

2024年08月12日 00時16分46秒 | 日記

12日(月)。わが家に来てから今日で3499日目を迎え、カナダ出身の歌手、セリーヌ・ディオンさんが、アメリカ・モンタナ州のトランプ前米大統領の選挙集会で「楽曲や映像などが無断で使用された」として抗議した  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     有名歌手の楽曲を無断使用するのは ”非常識が常識”の トランプ陣営の常套手段だ 

         

昨日午前、息子がお盆休暇で帰省しました さっそく昼食に「ざるラーメン」を作ってくれました

     

私が午後、コンサートがあるので、息子が夕食に「キーマカレー」「コーンスープ」「野菜と豆のサラダ」を作ってくれました どれもが美味しく プロ級の味で大満足です 普段はお酒は飲みませんが、3人揃ったので久しぶりに白ワインをいただきました

     

         

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ 東京シティ・フィル」演奏会を聴きました プログラムは①ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番 ニ短調 作品30」、ホルスト:組曲「惑星」作品32です    演奏は①のピアノ独奏=務川慧悟、②の女声合唱=東京シティ・フィル・コーア、指揮=藤岡幸夫です

藤岡幸夫は英国王立ノーザン音楽大学指揮科卒業。1994年ロンドン「プロムス」にBBCフィルを指揮してデビュー 関西フィル首席指揮者は今年25年目を迎える。2019年から東京シティ・フィル首席指揮者を務める

開演前の14時20分から藤岡氏によるプレトークがありました この日演奏される2曲についてたっぷり20分解説しましたが、これまで私は何人ものプレトークを聞いてきましたが、藤岡氏ほど優れた語り手はいません ユーモアたっぷりに、ありきたりでない意外なエピソードを交えて分かりやすく解説します この日は、次のように解説しました

「ラフマニノフのピアノ協奏曲は第2番と第3番が人気曲ですが、自分は第3番の方が好きです 第2番に比べると3倍くらい難しい、つまり音符が多い曲ですが、務川君もこの曲が好きみたいです 彼は演奏家としても人間としても素晴らしい人です また、我々の世代にとって『惑星』といえば冨田勲のシンセサイザーによる『惑星』でした(うん、わかる)。てっきり作曲者は富田氏だと思ったほどで、世界中にセンセーションを巻き起こしました 『惑星』というと『土星』と『木星』が有名ですが、この2曲は黙っていても盛り上がる曲なので、リハーサルしてません(えっ、マジか)。最後の『海王星』は舞台裏で女声コーラスが歌われますが、コーラス陣はカーテンコールに出てこないので普段着で歌っています(えっ、マジか)。若い頃、舞台裏で女声コーラスを指揮してほしいと頼まれた時、緊張して上がってしまい頭が真っ白になって、冒頭部分が指揮できなかった苦い経験があります 次の出だしのところからやっと指揮をしましたが、終演後、指揮者に平謝りしました この曲は英国内で流行りましたが、その後すっかり忘れ去られてしまいました それが、60年代にカラヤンがウィーン・フィルを振って演奏し、さらにLPレコードに録音してから世界的に有名になりました カラヤンが録音しなかったら、この曲は今でも忘れ去られたままだったかもしれません

私はいつも藤岡氏のトークを楽しみにしています

     

さて、本番です 務川慧悟人気か、会場は満席です

オケは14型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつものシティ・フィルの並び コンマスは大阪フィルのコンマス・須山暢大です

1曲目はラフマニノフ「ピアノ協奏曲第3番ニ短調作品30」です この曲はセルゲイ・ラフマニノフ(1873-1943)が1909年に作曲、同年11月にニューヨークのカーネギーホールでラフマニノフ自身のピアノ独奏により初演されました 第1楽章「アレグロ・マ・ノン・タント」、第2楽章「間奏曲:アダージョ」、第3楽章「フィナーレ:アラ・ブレ―べ」の3楽章から成ります

ピアノ独奏の務川慧悟(むかわ けいご)は2019年にロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第2位、2021年にはエリザベート王妃国際コンクールで第3位入賞の実力者です

この曲は数あるピアノ協奏曲の中で最高の難曲と言われていますが、務川はそれを楽しんでいるかのように超絶技巧を駆使して溌溂とピアノに対峙します 特に第3楽章におけるコーダは、オーケストラとの丁々発止のやり取りによりアグレッシブな演奏を展開、圧倒的なフィナーレを飾りました

満場の拍手とブラボーの嵐のなか、カーテンコールが繰り返されますが、自席の前列の女性陣が一斉に立ち上がりステンディング・オベーションを始めたので、メキシコ国境の壁でステージが見えなくなってしまいました これがスタオベの宿命なので、務川の姿を見るのは諦めて ひたすら拍手を送りました

鳴り止まない拍手に務川は、ラフマニノフ「楽興の時 第3番」を静かに演奏、聴衆のクールダウンを図りました

     

プログラム後半はホルスト:組曲「惑星」作品32です この曲はグスタ―ヴ・ホルスト(1874-1934)が占星術に惹かれたことをきっかけに1914年から16年にかけて作曲、1919年に公開初演されました 第1曲「火星:戦争をもたらす者」、第2曲「金星:平和をもたらす者」、第3曲「水星:翼のある使者」、第4曲「木星:歓喜をもたらす者」、第5曲「土星:老年をもたらす者」、第6曲「天王星:魔術師」、第7曲「海王星:神秘主義者」の7曲から成ります なお、作曲者は「この曲は標題音楽ではない」と語っています

藤岡の指揮で第1曲「火星:戦争をもたらす者」の演奏に入りますが、5拍子のオスティナート・リズムが力強く繰り返されます 藤岡は興奮したのか、タクトを飛ばしてしまい、第2ヴァイオリン奏者の前に落ちました 藤岡は演奏途中に拾うわけにはいかず、両手で指揮をしましたが、彼にはタクトはなくてもアイ・コン・タクトという武器があるので問題ありません アグレッシブな演奏で”一気火星”に攻めました この曲は、明らかに後の「スターウォーズ」に影響を与えています

第2曲「金星:平和をもたらす者」では須山のヴァイオリン・ソロが素晴らしい ハープとフルートが美しい演奏を繰り広げます 第3曲「水星:翼のある使者」ではハープの演奏が印象的です 第4曲「木星:歓喜をもたらす者」は平原綾香の歌う「ジュピター」で有名になりましたね 金管楽器の咆哮が素晴らしく、弦楽セクションの渾身の演奏が光ります 第5曲「土星:老年をもたらす者」ではコントラバスの重低音が印象的です 終盤におけるチューブラーベルの音は、プレトークで藤岡氏が指摘していたように、時代への警鐘かもしれないと思いました 第6曲「天王星:魔術師」ではデュカス「魔法使いの弟子」を彷彿とされる音楽が楽しく展開しました 最後の第7曲「海王星:神秘主義者」では後半に女声コーラスがステージ下手の上方から聴こえてきますが、「いったいどこで歌っているんだろう? 私服で」とあたりを見回しましたが、分かりませんでした

最後に女声コーラスが消え、静かに藤岡のタクトが下ろされると 満場の拍手とブラボーの嵐が巻き起こりました 文句なしの素晴らしい演奏でした

定期演奏会ではカーテンコールにおける撮影が禁止されているシティ・フィルですが、この公演では他のオケと揃って許可が出ていたので、貴重な写真を撮っておきました

     

     

     

     

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角田鋼亮 ✕ 北村陽 ✕ 東京フィルでドヴォルザーク「チェロ協奏曲」&「交響曲第9番 ”新世界より”」を聴く~フェスタサマーミューザ / 東響の次期音楽監督にロレンツォ・ヴィオッティが就任

2024年08月11日 00時20分36秒 | 日記

11日(日)。東京交響楽団は公式サイトで、ロレンツォ・ヴィオッティをジョナサン・ノットの後任の第4代音楽監督に迎えると発表しました 任期は2026年4月から3年間。ロレンツォ・ヴィオッティは1990年スイス・ローザンヌ出身の34歳。現在 オランダ国立歌劇場及びネーデルランドフィル首席指揮者を務めています   2024年6月にはウィーン・フィルとのドイツ・スイス・スペインツアーを率いるなどヨーロッパ各国のオーケストラや歌劇場から引く手あまたの存在です 東京交響楽団とは2014年、2016年、2019年(2回)、2023年と計5回共演しています 東響は新国立オペラのオーケストラピットにも入るので、オケとオペラの両方が振れるヴィオッティは最適任者と言えるでしょう

     

ということで、わが家に来てから今日で3498日目を迎え、ロシア統計局が9日発表した2024年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値は、前年同期比4%増だったが、ウクライナ侵略の長期化で軍需が拡大しているほか、人手不足の影響で賃金が上昇し、個人消費を中心に内需が増加したのが主な要因だった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

     

     軍事費をもとに国民を徴兵して戦地に送り 無駄死にさせて人手不足に陥った結果ね

         

昨日、ミューザ川崎シンフォニーホールで「フェスタサマーミューザ 東京フィル」演奏会を聴きました プログラムは①ドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」、②同「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より” 作品95」です 演奏は①のチェロ独奏=北村陽、指揮=角田鋼亮です

角田鋼亮(つのだ こうすけ)は東京藝大指揮科修士課程及びベルリン音楽大学国家演奏家資格過程修了 2008年、カラヤン生誕100周年記念の第4回ドイツ全音楽大学指揮コンクール第2位 2010年、第3回マーラー国際指揮者コンクールで最終6人に残る。2016~2020年に大阪フィル指揮者、2018~2022年に仙台フィル指揮者を歴任、2024年4月からセントラル愛知交響楽団音楽監督を務める

     

「完売御礼」が出ている通り、会場は満席です

オケは12型で、左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスという いつもの東京フィルの並び。コンマスはゲストの青木高志です

1曲目はドヴォルザーク「チェロ協奏曲 ロ短調 作品104」です この曲はアントニン・ドヴォルザーク(1841-1904)がニューヨークのナショナル音楽院の院長として米国に滞在(1892-95)していた1894年から95年にかけて作曲、1896年にロンドンで初演されました 第1楽章「アレグロ」、第2楽章「アダージョ・マ・ノン・トロッポ」、第3楽章「アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります

チェロ独奏の北村陽(きたむら よう)は2023年第29回ヨハネス・ブラームス国際コンクール第1位。同年第92回日本音楽コンクールチェロ部門第1位及び全部門を通じて最も印象的な奏者に贈られる増沢賞をはじめ、岩谷賞(聴衆賞)、黒柳賞、徳永賞も併せて受賞    現在ベルリン芸術大学でイェンス・ペーター・マインツ氏に師事している

北村が登場しステージ中央に向かいます 数年前に彼を見た時は、あまりの幼い顔つきに「まるで中学生のようだ」と思いましたが、今回は頼もしい”青年”に成長した印象を受けました

角田の指揮で第1楽章に入ります 北村はスケールの大きな堂々たる演奏を展開します クラリネットのアレッサンドロ・ベヴェラリの演奏が素晴らしい 第2楽章では独奏チェロの豊饒な響きが会場を満たします フルート、クラリネット、オーボエがよく歌います 第3楽章では民俗色に満ちた演奏が繰り広げられ、青木コンマスのヴァイオリン・ソロが存在感を示しました オケ総力を挙げてのバックアップのもと、北村は雄大な演奏でフィナーレを飾りました

満場の拍手の中カーテンコールが繰り返され、北村はJ.S.バッハ「無伴奏チェロ組曲第6番」から「サラバンド」を演奏、再び大きな拍手に包まれました

     

プログラム後半は「交響曲第9番 ホ短調 ”新世界より” 作品95」です この曲はチェロ協奏曲と同様、ドヴォルザークがニューヨークのナショナル音楽院の院長として米国に滞在中の1893年に作曲、1893年12月16日にアントン・ザイドル指揮ニューヨーク・フィルによって初演されました 第1楽章「アダージョ ~ アレグロ・モルト」、第2楽章「ラルゴ」、第3楽章「モルト・ヴィヴァーチェ」、第4楽章「フィナーレ:アレグロ・コン・フォーコ」の4楽章から成ります

オケは14型に拡大します

角田の指揮で第1楽章に入ります チェロとコントラバスの低弦の豊かな響きが印象的です ホルン、フルート、そして弦楽セクションの渾身の演奏が素晴らしい 第2楽章は誰が何と言ってもイングリッシュホルン(コーラングレ)による「家路」のテーマの独壇場です 他の楽器が束になってかかっても勝てません 叙情的な素晴らしい演奏でした 有名な「家路」のメロディーを聴きながら、小学校高学年時代に加入していたボーイスカウトの野営キャンプで歌った「家路」を思い出しました その頃はドヴォルザークのドの字も知りませんでした 第3楽章では、弦楽セクションの切れ味鋭い演奏が印象的です 第4楽章冒頭は、鉄道オタク、ドヴォルザークの面目躍如といった曲想です 明らかに蒸気機関車が発進してスピードを上げていく時の情景を音楽化したものです その後、ホルン、トロンボーン、トランペットといった金管楽器が冴え渡り、ヴィオラ・セクションが良く歌い、コントラバスが存在感を示します 全体を通して集中力に満ちた素晴らしい演奏でした

満場の拍手とブラボーが飛び交う中、カーテンコールが繰り返され、アンコールにドヴォルザーク「スラブ舞曲集第2集」より「作品72-2」を演奏、コンサートを締めくくりました

     

     

     

     

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