今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

元は良いのにPEN-Wの巻

2023年06月11日 12時00分00秒 | ブログ

コンパクト系の収集では定評のある大阪のご常連さんがやっと手に入れたPEN-W #112892です。塗装の劣化もほどほどで基本的には良い個体のようですが・・

 

良く、PEN-Wの選び方を尋ねられますが、シャッターリングと距離リングを見てください。このメッキは非常にチープなメッキで恐らくクロームの直メッキです。黒アルマイトの距離リング共々、人間の指の塩分で腐食をし易いので、この部分が痛んでいる個体は保存状態も悪い(レンズも良くない)ということです。この個体はアメリカからイーベイで入手のようですが、m表示ですので国内から流失した個体かもしれません。

裏蓋の巻き戻しボタン部分が異常に塗装が劣化をしていてタッチアップをされているようです。

 

過去の修理歴が記入されていますが、この部分には工場での製造データが記入されているところです。その大切なデータを消してまで自分の自己満足的な記入をする気持ちが理解できません。再び自分のところに修理で戻ってくることなど殆どない(経験上)のです。

過去の分解で駒数カニ目ネジが傷ついているので交換して欲しいとのご希望。また、駒数盤の「0」が赤化で指示針の先端部も塗装をされています。

 

巻き戻しダイヤル下のネジがありませんね。

 

 

トップカバーを分離して見ました。

 

 

指示針の先端は削られているようです。

 

 

巻上げダイヤルカバーも痛んでいて角の磨滅とネジ孔折れがあります。

 

 

分解洗浄をしたシャッターユニットを組み立てて行きます。

 

 

ダイカスト本体も洗浄してスプロケット軸とスプール軸を取り付けます。

 

 

この個体は分解歴がありましたが、意外にもシャッターは未分解でした。では何をしたの? 駒数針の改造をしただけ? どちらにしても、未分解のシャッターがほぼ正常に動いていたのは驚異的です。

 

シャッターリング(カム板)を取り付けますが、良く見ると彫刻線の先端に赤の色入れがされていますね。オリジナルでは無いはず。

 

レンズを残して本体側は完成。

 

 

ファインダーも分解清掃を受けた形跡はありませんでした。

 

 

問題のシュー下ですが、消される前は赤鉛筆でこのように記載されていたはずです。戸籍ですから復元しておきます。

 

の方で巻き戻しダイヤル下のネジが2本共取り付けられていませんでしたね。事情が分かりました。このカメラは慢性的に本体とトップカバーのネジ孔位置が合わず、側面のネジ孔部に調整用のワッシャーが接着されているのですが 多くの個体でワッシャーが脱落しています。(この個体も)すると、巻き戻し側のネジ孔が合わなくなるのですが、前回の作業者はネジを無理にねじ込もうとしてネジ孔を壊していたのです。

こちら側のネジ山を壊しています。で、面倒なのでネジを捨てちゃったということ。作業者はアメリカ人なのかなぁ? タップで修正します。

 

駒数カニ目ネジは当方の新品と交換して欲しいとのご希望でしたので交換しますが、すると、駒数針が気になります。

 

尖がりの長さも異なりますので、別に作った▲部分を半田付けしたようです。無駄な努力のような・・ご希望はありませんがオーナーさんのお気持ちを察して交換することにします。

 

このように巻き戻し側のネジも留まっていて、駒数針と駒数ネジも交換してあります。これでオリジナルに戻りました。

 

これで作業完了と思いましたら忘れていました。前面の彫刻色入れが銀色になっています。ローライ35なら銀色ですが、PEN-Wは白です。よって白に入れ替えご希望でした。しかし、PEN-Wの塗膜は劣化していて、通常は使えるシンナーで塗装が溶けてしまうので作業は非常に困難です。前回のPEN-Wでも苦労したよね。

何とか入れ替えて完成です。アメリカに在ったせいかレンズの状態は良い方でした。1964年12月製。

 

 

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元箱付きローライ35の巻

2023年06月08日 16時30分00秒 | ブログ

ローライ35 #3127XXXはドイツ製の後期ですかね。元箱の外側の保護箱まで付いています。

 

 

化粧箱を開けてみると・・こんな状態で入っているんですね。上蓋にはソフトケースと取説も入っています。

 

 

これが取説ね。

 

 

大切に保管されていた個体と見えて本体は目立った傷も無くきれいです。てっきり未分解機と思いましたが・・あまり丁寧ではない分解を受けていますね。

 

ドイツ製の初期型ではCdsの不良が目につくようになって来ましたが、この個体も受光窓を指で塞いでもメーター針は中央から左に下がりません。典型的なCds不良の症状です。

 

では、まず定番のメンテナンスからして行きます。

 

 

殆んどの仕様は以後の個体と同様に変更されていますが、ファインダーだけはガラスの固まりですね。保管が良いので腐食もありません。清掃をして取り付けます。

 

絞りダイヤルにメーターの追針が同調して動かない。という症状があります。多くは画像のリンケージが赤点の位置から脱落しているのです。原因はの手前のリンケージと隙間が空きすぎているため。

 

このリンケージはシャッターが低速時にレリーズボタンを押すとガバナーを制御するためのもの。中央が膨らんでいますので形状を修正をしておきます。

 

メーターはCds不良ですので交換をしました。本体に取り付けます。

 

 

レンズは長期保管で汚れは仕方のないところ。カビは無いので清掃できれいになります。

 

シャッターユニットを分解して清掃組立をします。殆ど使われていないユニット。

 

 

裏蓋の清掃などもして最後に化粧プレートを貼って完成です。

 

 

Cdsなどの電気部品は使用の有無に関わらず経時で劣化をしますから仕方のないところ。その他は全く問題のない外観にキズ1つない元箱付きの個体でした。

 

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疲れましたの巻き

2023年06月05日 17時00分00秒 | ブログ

この機関車は、大正時代の東海道線電化に向けて外国から輸入された旧型電機の1つ、 ED11 です。模型は、つぼみ堂製で1961年発売のようです。運転会に向けてメンテナンスをしています。

 

一見、カワイモデル製のED14に似ていますが、実機はどちらもアメリカのゼネラル・エレクトリック社が製造した機関車です。窓の横に砂箱がある特徴的なデザインですが、後の改造により砂箱は台車に移され、窓を大きく直されています。この個体は中央の乗務員ドアの半田付けがズレています。直さないと・・

動輪はスポーク表現が抜けていない(以後は抜けている)ので製造初期の製品と思われますが、インサイドギヤなどにガタは無く、あまり走行歴は無いと思われます。

 

今回の運転会には、つぼみ堂のボールドウィン、ED11とエンドウのB20の3台をお持ち込みました。一番心配をしていたボールドウィンは絶好調で、長大レイアウトを力走していますが、とにかく距離が長くてモーターが焼けそうです。

 

ED11もスムーズで韋駄天のような走行を見せました。ギヤ比が13:1だそうで、もう少し低くした方が牽引力も上がると思いますが。我が家にはHOのレールが無いので、先輩から篠原のフレキシブルレール新品を1本頂いて帰りました。これで走行テストが出来ます。

高校生の時に通学用で乘っていた京王の5000系は製作途中での走行。この電車は空気バネで乗り心地が良く、クーラーも利くので、国鉄の南武線旧国電車から乗り換えると天国でした。京王車両で一番好きな電車。後は国鉄の103系。

 

この小田急ロマンスカーモデルは非常に走行性能が優れています。現在、中古市場でもかなりの高額な相場のようです。

 

8600などの蒸気機関車の走行もありました。

 

 

で、お仕事します。ローライB35ですが、ローライ35も含めてシューが底部にあるためレール部を変形させている個体も多く見ますね。この個体の場合はアンダーカバーにもへこみがあります。

 

殆んど、外側のレールが変形します。

 

 

アンダーカバーも含めてこのように修正をしておきます。

 

 

こちらはローライフレックス2.8C ローライキン付き。例によって動きません。内部のリングギヤの潤滑不良が原因ですので洗浄注油をします。

 

ルーペがピッタリと閉じませんね。作動範囲外へ無理に力を掛けたようで蝶番部分に曲がりがあるようです。これを修正します。

 

ビューレンズを分解したいのですが、リングナットにある回り止め用イモネジが2本共雌ネジが壊されていて抜けて来ません。リングナットはアルミなので、無理に締め込むと簡単にねじ山を壊してしまいます。

 

2.8Cは大幅な改良が加えられ以後の標準となって行きますが、2.8Fのような複雑さは無く構造はシンプルで整備性は良く、私は好きなモデルです。

 

ピントルーペは上下に動かすことが出来て視度調整が可能。老眼には有り難い機能。

 

 

あっちこっちやってすみませんね。B35はファインダーのクリーニングもしておきます。カバーも無いシンプルな構造。ローライ35(シンガポール)と同じで接眼レンズとフレーム枠の固定にはU形バネが使用されています。接眼レンズを外してクリーニングします。

このようにU形バネで固定します。これはシンプルで良い方法です。

 

 

2台平行で作業をしました。

 

 

ついでにベビーローライの点検もしておきます。セルフタイマーを掛けると作動が固まるとか・・

 

特に悪い部分は無く、どのような操作をしたのかな? 一応メンテナンスをしてカバーを閉じます。例によってシンクロ接点の組立は知恵の輪ですが、この機種は固定ピンは片方のみなので多少は楽です。接点に見える固定ピン(バネ)をどうやってのスリットに入れるか? 考えてみてください。

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