今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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衝撃を受けたPEN-FVの巻

2020年03月23日 18時30分00秒 | ブログ

続いても、遅れて来たPENマニアさんが入手されて来たPEN-FV #1354XXですけど、ちょっと問題が多い個体かも知れませんよ。何やらファインダー像が変ですよ。

 

申し送りにはありませんでしたが、トップカバーが陥没しているのです。

 

 

裏蓋のラッチが変形固着していて裏蓋がロックされません。

 

 

何やら変なものが出ていますね。

 

 

全反射ミラーが割れていました。ミラーの割れた個体はそれほど多く見ませんが、この個体は大きな衝撃を受けたようです。

 

横から見ると陥没が分かります。

 

 

吊環も緩んでグラグラです。

 

 

⇧の画像のように、純正ではない▽の吊金具を使用したために、本体と蝶番の塗装が大きく剥げています。純正の◯金具を使いましょう。

 

では、最初にシャッターユニットの分解洗浄をして行きます。

 

 

蝶番は塗装するつもりでしたが都合でジャンクからの調達としました。ダイカストのハゲ部分はタッチアップしてあります。

 

FVは改良前のシャッターユニットを使われていることが多いですが、この個体は改良後のユニットでした。これはラッキーです。

 

シャッター幕を取付けて本体にセットしました。調子は非常に良好。

 

 

裏蓋にも塗装ハゲがありましたのでタッチアップして取り付けました。

 

 

FTには付いているM接点がありません。

 

 

当然、M・X切換の接点も必要ないので付いていません。

 

 

全反射ミラーは新品を取り付けました。しかし、割れたオリジナルの破片が足りませんね。と言うことは、未分解機と思いましたが、過去に分解はされているようです。

 

この個体、注意をしていませんと不意打ちを食います。分解時に気が付いていたのですが、レンズマウントが変形しています。

 

マウントは工場での作業でシボ革接着の糊が付着している場合、ネジを外しても外れないことがあります。それを画像のように無理に剥がそうとしたための部分が「くの字形」に折れ曲がってしまったのです。マウントの材質が高級カメラのようなステンレスではなく、真鍮製なので、特にネジ穴部分は簡単に変形してしまいます。

裏蓋のラッチは、この部分が開いてしまっています。元の所有者は、かなり乱暴に扱う人のようです。たぶん、巻き戻しノブの上下スライドがスムーズでなく、強引に裏蓋を開けようと引っ張った? ようなことでしょうね。

軟鉄なので無理をすると簡単に変形してしまいます。裏蓋がピッタリと収まるようにラッチ形状を修正して、グリス塗布で組み立てたところ。裏蓋の塗装ハゲはタッチアップしておきます。

 

やれやれ、やっとここまで来ました。ファインダーのピント調整でズレがありました。衝撃の影響でしょうか。

 

色々ありましたが、巻上げもかなりスムーズで素晴らしいコンディションとなりました。過去にかなり乱暴な扱いを受けたために程度を悪くしていた個体でしたね。(1969年8月製造)

 

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