今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

フレクトゴン 35mm f2.8のメンテナンスの巻

2020年03月16日 21時00分00秒 | ブログ

こんなレンズの作業をしていました。

カールツァイスのエキザクタマウント・フレクトゴン35mmf2.8という定番のレンズが2本来ていました。この時代のレンズはヘリコイドグリスが抜けているものが多いですが、こちらもカラカラの状態ですね。ヘリコイドグリスとレンズの清掃をして行きますが、この個体は2枚貼り合わせのバルサムに三日月状の曇りがありますね。

レンズの表面を清掃をしても薄く残っています。

 

 

リングが特徴的なゼブラデザインです。前玉も分離して清掃をして行きます。

 

エキザクタマウントのレリーズ座がグラグラしています。このネジ1本で留まっているので緩みやすいのでしょう。

 

こちらは2本目。こちらの方が外眼の状態も悪く、レンズも全体に曇りが発生しています。

 

かなり曇っていましたが、幸いなことにきれいに清掃が出来ました。ラッキーです。

 

この時代のレンズは難しい組立はしていませんね。最後は化粧リングをねじ込んで終了。

 

うぁ、カメラにセットしてみると、かなり接写が利くことに驚きました。現代のデジカメ用に人気があるようですね。

 

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SEIKO ロードマーベルの巻

2020年03月08日 11時40分00秒 | ブログ

セイコー・ロードベルとクラウンスペシャルのオーバーホールです。どちらも年代を考慮するとかなり状態は良い方だと思います。クラウンスペシャルの方は、原因不明の止まりが発生するとのことで、現象が再現するまで観察します。

私のセイコーマチック・スリムデートとですが、60年代の非防水ケースは腕に馴染む薄さとデザインが大好きです。金ケースは腐食が進んで程度の良いものが少なくなっています。

 

ロードマーベルはグランドセイコー発売前の最高級機です。5740-1990はCal,5740Aで1964年4月の製造のようです。ケースはAGFの18kですから摩耗はありますがこのコンディションを維持しているのでしょう。

 

個別の機械番号が入っていますね。丸穴車は地板と接触をして削られています。

 

 

見えにくいですが、四番車に黒い繊維片が付着しています。下にはガンギ車とアンクルがありますので、そちらに落ちると不調や最悪止まりの原因となります。

 

S-4のモリブデングリスでも着けたのでしょうかね。或は摩耗で油が汚れたのかな? 分解洗浄のうえ適切な注油をしておきます。

 

各部品を超音波洗浄の上組み立てていきます。ホゾの摩耗などはあまり進んでいないようです。

 

輪列を置いたところ。2時位置に秒針規正装置(それほど大げさなものではない)が付いています。

 

筒カナをセットします。

 

 

あとはアンクルとテンプを取付けて注油をして行きます。

 

 

ケースを洗浄しますが、古いパッキンはカチカチに硬化しています。新しいパッキンに交換します。

 

風防ガラスはそれほど古くはないようですが、内部に細かなクラックが入っています。今回はこのままとします。

 

ゼンマイ一杯から一日経過した状態。振り角は落ちて来ましたが片振りはありませんね。

 

次はクラウン・スペシャルです。15021E 14K GOLD FILLED Cal.341 は、クラウンに秒針規正装置が付いた高級機です。ベゼルに◯痕がありますね。これはリューズの痕ですから、本来はリューズの位置にセットされていたのですね。

組立はロードマーベルと殆ど一緒ですので簡単に。止まりの原因を洗浄後に点検してみましたが、特に問題は見つかりませんでした。香箱ホゾには石は入りませんが、目立った摩耗は無い程度の良い地板です。

 

各部品を点検していきます。

 

 

香箱に注油をしてフタを閉じます。

 

 

秒針規正装置はロードマーベルと一緒ですね。

 

 

組立が終了しました。

 

 

クラウン・スペシャルはケーシング前のエージング中ですので、その間に内職をしています。最近は煽り運転が話題になっていますので、車にドライブレコーダーを取付けようと思ってミラー型のバックカメラ付きを購入しました。本体は元々のミラーに取付けて簡単に終わりましたが、バックカメラは取付け場所や車種によって形状はさまざまのため、同梱のキットではどうやっても取り付けられません。そこで、ホームセンターへ行って汎用のステーを購入して来ました。加工が容易なようにアルミ製です。左側の車体に取付ける側にM2.6のネジを切りました。右側のカメラ取付側は同梱の木ネジを使用するため厚みのあるステーをざぐってあります。カメラとのステー間のゴムパッキンの製作。

で、こんな具合ですね。本来は黒艶消しにするべきなんですが、ヘアーラインがきれいなのでこのまま使用します。では,取付けて来ますが、バックドアから車体の内張内に配線を収納するのが面倒なんですね。

 

で、ケーシングをしました。23石のSD文字盤ですね。

 

 

2つとも、揃って良好な機械でした。オーナーさんは目利きです。最近はこれだけ程度の良い個体を探すのも大変になりました。相場も上がっていますからね。私もどちらか欲しいですね。

 

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メーターダウンのPEN-D2の巻

2020年03月03日 21時20分00秒 | ブログ

今日は修理品の納品で電車で都心に出掛けました。歩いていると汗ばむような気温でしたが、明日はまた寒くなるようです。三寒四温っいうやつですね。電車の車内は立っている人がいない程度。あぁ、新型コロナ対策で外出を自粛している方が多いのですね。私もとんぼ返りで戻って作業の続きです。で、PEN-D2ですが、シャッター不動、露出計不動、ファインダー曇りなどがあります。

露出計不動はD2(3)の場合は電池室の液漏れによるリード線の断線が多いのですけど、この個体は液漏れの形跡はありませんね。

 

次に多いのは露出計スイッチの接点不良。何度も押しても全く反応なし。

 

 

回路を点検していきます。スイッチは良好、メーターも断線無し、最後のCdsが全く抵抗値が変化しません。D2(3)のCdsは比較的丈夫で不良は少ないのですが、この個体は残念ながら不良です。

 

目視で電気的良否は分かりませんが、回路の部分的なところが腐食をしているようにも見えます。このカメラはCdsがカメラの内部というよりは、先端に付いているので湿気による影響を受けやすいのかも知れません。回路は低輝度側と高輝度側の2回路になっています。オーナー様は露出計不動のままでOKとのことですので、このままとします。どこかで良好なCdsを調達出来たら交換するのがよろしいです。

レンズの◯のカビ痕がありますが、これは取れそうです。

 

 

シャッターを分解洗浄の上組み立てていきます。シャッター羽根は6枚入っています。これは製造時期により5枚と6枚のものがあります。

 

で、シャッターユニットは昨日までに完成させていました。今日は本体の2軸を組み立ててからシャッターユニットを取り付けます。

 

シャッタースピードのクリックはスチールボールの頃です。

 

 

各ダイヤルを取り付けて今日はここまで。

 

 

将来Cdsを交換するとしてリード線は半田付けしないことにします。

 

 

裏蓋のシボ革を貼って終了。この頃のケンコーフィルターはこれですね。うちのサンプルのD2には純正のフィルターが付いていますが、果たして時代は合っているのか不明。

 

私の印象ではD2(3)の露出計自体の不良は少ないと思っていましたが、今回は残念でしたね。現在、入手可能の汎用Cdsに交換するという方法もありですが、なるべくオリジナル部品を探して交換した方がよいでしょうね。1965年(昭和40年)7月コパルにてシャッター完成。

 

 

 

 


頂き物のオリンパス35RDジャンクの巻

2020年03月01日 21時10分00秒 | ブログ

お付き合いのあるクラシックカメラ店様から「オリンパスのR何とか上げるよ」とお話がありまして、てっきりRCとばかり思っていましたが、届いてみるとRDでした。オリンパスのコンパクトレンジファインダーは四角いデザインがコンセプトで、キャノネットGⅢも好きですけど同じぐらいにすっきりとしたデザインが好きなカメラですよ。このカメラはEE機のオリンパスDCをマニュアル化したモデルで、国内は未発売だったようです。海外仕入れの中に混じっていたのでしょうね。発売は1975年だそうで、この個体は1977年6月の生産です。しかし、状態はシャッターと巻上げが完全に固着していて、お約束のセルフタイマーが掛けられて止まっていました。

機械と言うものは、中途半端に動いて調子が悪いものより完全に動かない方が修理は容易だったりします。しかし、この個体はシャッター羽根と絞り機構にも問題がありそうですよ。まずはセルフユニットなど補器部分を分離してシャッター単体として動かすことに努力します。

何とかシャッター羽根は開くようにしました。では、レンズなどを組み立てて、露出計を作動させて絞りを見ます。DCと同じf1.7の巨大なレンズ。

 

言い忘れましたが、この個体は過去に分解を受けています。海外で修理を試みたものかと思います。Cdsの半田付けが何度かやり直されているので正常に作動するか心配です。

 

Cdsを組み込んで露出計の作動変化と絞り羽根の同調を見ます。

 

 

まぁ、正常に作動するようですのでファインダーの清掃とセルフタイマーを取り付けます。

 

デザインは似ているのですが、動きがFTと逆なので扱いずらいですね。動力に強力なゼンマイを使用しているため、巻上げも重いです。FTよりレバーも短いし・・

 

ホットシューの絶縁樹脂が白化しています。これ多いですね。車のウレタンバンパーやバイクのフェンダーなどでは、熱を加えると戻るのですが、カメラの場合は材質が違うせいか戻りません。

 

仕方がありませんのでコンパウンドで研磨をしておきます。

 

 

一見、純正のままのように見えますが、モルトはやり直されているようです。しかし、すでに粘っていますので貼り替えます。

 

違いが分かりませんね。オリジナルが不明ですので、同じように貼っておきました。

 

この頃のカメラの問題は、シボ革が両面テープ貼りのため、シボ革が縮んでいることです。上下0.5mmほど(合計1mm)縮んでいます。