セイコー・ロードベルとクラウンスペシャルのオーバーホールです。どちらも年代を考慮するとかなり状態は良い方だと思います。クラウンスペシャルの方は、原因不明の止まりが発生するとのことで、現象が再現するまで観察します。
私のセイコーマチック・スリムデートとですが、60年代の非防水ケースは腕に馴染む薄さとデザインが大好きです。金ケースは腐食が進んで程度の良いものが少なくなっています。
ロードマーベルはグランドセイコー発売前の最高級機です。5740-1990はCal,5740Aで1964年4月の製造のようです。ケースはAGFの18kですから摩耗はありますがこのコンディションを維持しているのでしょう。
個別の機械番号が入っていますね。丸穴車は地板と接触をして削られています。
見えにくいですが、四番車に黒い繊維片が付着しています。下にはガンギ車とアンクルがありますので、そちらに落ちると不調や最悪止まりの原因となります。
S-4のモリブデングリスでも着けたのでしょうかね。或は摩耗で油が汚れたのかな? 分解洗浄のうえ適切な注油をしておきます。
各部品を超音波洗浄の上組み立てていきます。ホゾの摩耗などはあまり進んでいないようです。
輪列を置いたところ。2時位置に秒針規正装置(それほど大げさなものではない)が付いています。
筒カナをセットします。
あとはアンクルとテンプを取付けて注油をして行きます。
ケースを洗浄しますが、古いパッキンはカチカチに硬化しています。新しいパッキンに交換します。
風防ガラスはそれほど古くはないようですが、内部に細かなクラックが入っています。今回はこのままとします。
ゼンマイ一杯から一日経過した状態。振り角は落ちて来ましたが片振りはありませんね。
次はクラウン・スペシャルです。15021E 14K GOLD FILLED Cal.341 は、クラウンに秒針規正装置が付いた高級機です。ベゼルに◯痕がありますね。これはリューズの痕ですから、本来はリューズの位置にセットされていたのですね。
組立はロードマーベルと殆ど一緒ですので簡単に。止まりの原因を洗浄後に点検してみましたが、特に問題は見つかりませんでした。香箱ホゾには石は入りませんが、目立った摩耗は無い程度の良い地板です。
各部品を点検していきます。
香箱に注油をしてフタを閉じます。
秒針規正装置はロードマーベルと一緒ですね。
組立が終了しました。
クラウン・スペシャルはケーシング前のエージング中ですので、その間に内職をしています。最近は煽り運転が話題になっていますので、車にドライブレコーダーを取付けようと思ってミラー型のバックカメラ付きを購入しました。本体は元々のミラーに取付けて簡単に終わりましたが、バックカメラは取付け場所や車種によって形状はさまざまのため、同梱のキットではどうやっても取り付けられません。そこで、ホームセンターへ行って汎用のステーを購入して来ました。加工が容易なようにアルミ製です。左側の車体に取付ける側にM2.6のネジを切りました。右側のカメラ取付側は同梱の木ネジを使用するため厚みのあるステーをざぐってあります。カメラとのステー間のゴムパッキンの製作。
で、こんな具合ですね。本来は黒艶消しにするべきなんですが、ヘアーラインがきれいなのでこのまま使用します。では,取付けて来ますが、バックドアから車体の内張内に配線を収納するのが面倒なんですね。
で、ケーシングをしました。23石のSD文字盤ですね。
2つとも、揃って良好な機械でした。オーナーさんは目利きです。最近はこれだけ程度の良い個体を探すのも大変になりました。相場も上がっていますからね。私もどちらか欲しいですね。
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