今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

リペイントはダメよPEN-Wの巻

2017年06月06日 20時11分39秒 | ブログ

一緒に来ているPEN-Wです。PEN-Wとしては塗装のコンディションはすごく良い方です。これをリペイントをご希望です。やめておきましょうね。レンズの状態もまぁまぁで、未分解機かと思うほどでした。

 

しかし、過去にシャッターとファインダーの分解メンテナンスを受けています。プロの作業ですが、画像のようにファインダーのダストカバーの接着が几帳面というか、がっちりと接着しすぎです。カメラは定期的にメンテナンスを受けていくのです。その時のことだけではなく、将来の分解時にダメージを与えるようなことが想像できない作業はダメです。ここは、必要にして最小限の接着で良いのです。

シャッターも白い緩み止めが壊れていますので分解をしています。

 

 

一見問題のないシャッターに見えましたが、スローガバナーが自然に戻りませんね。のピンが上に動くのが正規です。

 

いつものようにすべて洗浄をしてから組み立てて行きます。

 

 

シャッターユニットが完成してから気がつきましたが、ハウジングのシンクロ接点部分が陥没変形していますね。工場ではこれはないので、前回の分解時に落とした? このアルミ材は硬く、変形を直そうとするとクラックが入りますので、実用上は問題ないので(シンクロタイミングが早くなる)このまま使用とします。

素人さんが良く無くすコロを入れて(潤滑)からカム板を取り付けます。コロが入らないとチャージのストロークが足りなくなります。

 

上側のモルト貼り、ダイヤルカバー、巻上げダイヤル、駒数ギヤなどを取付けて今日はここまで。

 

レンズはPEN-Wとしては状態は良い方ですけど、曇りと黄ばみを感じますね。

 

曇りは清掃で改善傾向です。レンズが黄ばんで見えるのは、2枚のレンズ間のバルサム劣化です。しかし、外周から剥がれてシワシワになっている個体が多い中、剥離は軽微で状態は良いと思います。

 

裏蓋の古いモルトが悪さをして、真鍮に緑青が吹いています。PEN-Sのようにクローム仕様であれば腐食は無いのですが・・

 

じつは完成後のシャッターテストでスピードか上がりませんでした。すべての個体でシャッターバネの張力劣化とフリクションの増大により、シャッタースピードは1段弱の低下は仕方のないところですが、その基準でも遅いので再度分解改善処置を取りました。ハウジングの歪も影響があるかも知れません。(今回は交換しません)今後は強化したシャッターバネを作らないとダメかも知れませんね。まぁ、リペイントを免れた、90点ぐらいのPEN-Wの完成です。(1964-8月製造)

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オリンパス・ワイドⅡは残念な結末の巻

2017年06月06日 09時27分38秒 | ブログ

オリンパス・ワイドⅡですかね。広角レンズ付きで当時(1958年)は人気のモデルだったようです。写りにも定評がありますね。

 

何故か裏蓋のシボ革が剥離した個体を多く見ます。

 

 

内側にも錆が発生しています。

 

 

で、このモデルはレンズの曇りが多いですが、この個体も曇っています。

 

 

絞り羽根の前後がダメです。しかし、コーティングを取り除けば撮影は可能ではと思ってしまったのが判断の間違いでした。

 

 

レバー巻上げになっていますが、その巻き上げが固くゴリゴリでひどい状態です。よって、こちらを分解し始めてしまったのでした。

 

トップカバーを分離しました。距離計連動ではないので簡素なファインダー。さて、何が原因なのでしょう。

 

当時のカメラはシャッターメーカーのシャッターを、自社の暗箱に取り付けるという仕様ですので、チャージのリンケージが非常にやっつけというかチープな機構です。当初はオリジナルの部品ではないのでは?とも思いましたが、オリジナルではあるが、連結部分の摩耗と過去の修理で故意に曲げられていて、正規の形状になっていないようです。

スプロケット軸のギヤでチャージのリンケージを駆動しますが、各部の潤滑が全く無い状態です。

 

底部の部品を分離しないと巻き上げ軸は上方へ抜けません。

 

 

軸のホルダー内周には逆転防止用のコイルスプリングが入っています。当時の良く使われる手法。こちらも潤滑が無く軸が傷だらけです。

 

各部にグリスを入れて組んで行きますが、ギヤ間のバックラッシュを調整せずに軸位置を決めてしまうと左ギヤ下側のピン(巻上お知らせ)が右ギヤの台座に接触してしまいます。組立に調整作業が必要な当時の設計。

 

で、リンケージの形状修正とグリス塗布でスムーズに巻き上げが出来るようになりました。少しリターンスプリングが弱めですけどね。

 

それではと、レンズを軽く研磨してみましたが・・だいぶ曇りは消えて来ましたが、コーティングのダメージだけではないですね。

 

こうすると良く分かりますね。レンズに直線的な溝が入っています。過去にゴシゴシと磨いたものか? はたまた、カビによるガラスの浸食なのかは不明。

どちらにしても、オリジナル撮影は不可能と判断して作業中止としました。あ~、無駄な作業をしてしまった~。

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