今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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PEN-FTとレンズセットの巻

2017年06月21日 12時31分14秒 | ブログ

すみません、ちょっとサボりました。家事の仕事があって、そちらに時間を取られていました。もう少し続きますのでUPが緩慢になるかもしれません。

で、本屋さんをチェックしていましたら、「国産名車コレクション」からホンダS600クーペが発売になっていました。価格は創刊号よりかなり高いのですが、買わない訳にはいきませんので連れて帰りましたよ。私がS800を手に入れた30年以上前もクーペは少数派で探すのが困難でしたし、若い頃はオープンに憧れるわけですよ。今となってはS800クーペにしておけば買物車として活躍していたのになぁとも思います。モデルの出来は例によってケースを開けませんので分かりませんが、独特なクーペの雰囲気は出ているかなぁという感じです。ボンネット先端のHのバッチはスライドマークで再現されていますが、エッチングにして欲しかった。本物のHバッチ(白ボディー用)は当時ホンダから部品で2~3個取ってあるはずなのですが、見つからないので代わりにフェンダーのHondaバッチと一緒に撮影しました。

で、少し前に800円で入手をした携帯が不調なので、今度はらくらくホン7を2.000円で入手しました。今日は雨が降っていますが、ひつじがカエルの被り物をしています。予報が雨だとカエルさんになるのかなぁ・・

 

では本題です。PEN-FT #2999XXですが、オーバーホールで来ています。分解歴は有って、何やら露出メーターのカバーにリード線が半田付けされています。しかし、先端がどこにも繋がっていないので実害はないのですが、アースでも取ろうとしたのかしら??

29万台としてはハーフミラーは劣化しています。殆どメッキが薄くなっていますね。これは交換します。

 

 本体を洗浄後にモルト貼り、スプロケット、スプール軸を組み立てて行きます。アイドラギヤ軸にはグリスを塗布してから組み立てます。

 

 シャッターは多少のチャージギヤ軸の摩耗が認められる程度で、その他の状態は非常に良いユニットです。事前のチェックで、シャッターのテンションは強めと判断していましたが、シャッターバネの掛かり位置は案の定、一番強いところになっていました。ただし、これば工場でのセッティングとも考えられますので、そのままとします。(通常は2か3穴が多い)

シャッター幕を取付けてユニット完成。

 

 

 リターンミラーユニットは改良タイプです。作動には問題はなくとも、ユニットの個体差によって巻き上げのフィーリングが大きく変わるのがこのユニットで、泣きが入るユニットもありますね。ピンセット先のコロがカムに乗って回転するので、非常に大きな負荷が掛かりますが、殆どの個体は無給油状態で動いています。

 組み上げてみて。フィーリングは悪くはありません。

 

 

このハウジングは留めネジが1本無かったり、接眼プリズムを留めるネジの雌ねじと雄ねじの山が痩せているようで留まりませんね。ねじを交換して何とか留めました。

 

露出メーターの指針をTTL窓に導く光路です。保存の悪い個体はピンセット先のミラーが腐食していることが多いですが、この個体のミラーはきれいです。まぁ、製造時期が後半ですので・・

 

しかし、29万台としてはハーフミラーの劣化は進んでいる方ですね。

 

 

レンズマウントのタイマーユニットを留めるネジの部分が故意に削られています。不注意にドライバーを回転するとマウントの材質は柔らかい真鍮なので、簡単に削れてしまいますが、それとも違います。「この方が以後の分解が楽だ」とのことかと思いますが、私はあまり賛成しませんね。もう少し後の個体は、ネジの位置をマウントから僅かに遠ざけて、ドライバーが干渉しないようにしてありますが・・分解時はマウントを外せということだったのでしょうね。しかし、大事な基準面ですので、出来れば外したくはないのも本音です。調整用のワッシャーが入っている個体も多いですからね。外したら「あれれ、どこに入っていたんだっけ?」ということにもなりかねません。大体、左側の上下どちらかですけど・・

で、合わないビットのドライバーで、力一杯に締め込んでいる場合、スリ割りが笑ってしまう場合が多いですが、この個体もそうですね。定盤の上で叩いて修正をしておきます。

 

最後にフィルムカウンターを組み込みます。

 

 

組立完成。ピント調整、露出計調整などをして行きます。

 

 

 では、レンズに掛かります。PEN用ズイコーレンズは年々コンディションが悪くなっていますのでメンテナンスが難しくなって行きます。標準の38mmですが、設計変更をされた後の個体なので、ヘリコイドのガタはそれほどひどくはありませんが、やはりありますね。レンズの汚れ多いです。

 殆どのレンズが過去に分解を受けていますが、マウントのネジにネジロックをしていない個体は、ご覧のようにネジが緩んでマウント面から飛び出してきます。これでカメラに装着していたのかな?

 

 38mmのカビは経験的に落ちにくくてコーティングを侵してしまうものが多いですね。

 

2つ目は貴重な42mmです。こちらも分解歴はありますが、レンズの状態は良い方でしょう。但し、前群後ろの曇りやすいレンズは、僅かに曇り始めています。清掃では取れません。で、この個体の問題は、1.2解放時に絞り羽根が絞られてしまうということ。しかし、汚い後ろ側だな。

42mmの場合は絞り機構が大径のため、ヘリコイドグリスが流化してマウントの絞板に付着すると絞りが極端に重くなって絞りが正確に制御出来なくなったり、最悪はフリーズしてしまいます。

 

しかし、この個体はそれだけではないようですよ。

 

 

たぶん放置の時期が長かったのでしょう。9時位置の絞り羽根が腐食して、塗装が劣化し一部が剥離しています。これはかなりの抵抗になります。(復帰不良)その他、リンケージ部分にも腐食があってスムーズに作動していないことが原因です。

絞り羽根、リンケージの洗浄とエージング、潤滑をして作動をスムーズにして行きます。かなり良くなりましたね。

 

観察すると、過去に前面のネームリング(レンズ押え)を緩めた形跡があります。大口径レンズの裏側にカビ汚れがあります。

 

前群の後ろのレンズが問題なのです。この個体は良好な方ですが、ガラス自体が曇ってしまう持病があります。よって、再研磨を受けている個体も多いですが、その場合はレンズ外周の墨塗りがやり直されています。

 

3つ目は100mmです。これも放置をしておくとカビだらけになるレンズです。

 

 

すべて分解をして清掃をします。

 

 

距離環とドッキングします。

 

 

残念ながら、バルサム張り合わせレンズに腐食が出始めています。外観の清掃。特に距離環のローレット溝の手油は楊枝で完全にきれいにしておきます。不潔なので・・

 

レンズは意外に工数が掛かりますので3本なので時間が掛かってしまいました。しかし、FT #2999XX(1969年8月製)の本体は素性が良く快調で、レンズもまぁまぁのコンディションになったと思います。

http://www.tomys800.sakura.ne.jp/

 

 


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