PEN-FTとPEN-F X2台の合計３台がきしていますが、ちょっと緊急な問題があります。
オーナーさんからのメールで、「PEN-F２台はミラーアップのため、応急に油を付けてあります」とのことで、ちょっとイヤな予感がしていましたが・・・あら～、底蓋を外すと、機械とダイカスト本体にもベットリ油が付着しています。素人さんは、「動かない=油を差す」と発想するようですが、自転車のチェーンじゃないのですから、精密機械に大量の油を注入したらどうなるかを考えて欲しいのです。機械は、無給油の状態でも正常に作動するように組立てるのが常識で、油脂も使いますが、それは、磨耗防止の意味合いの方が大きいのです。
恐れていたように、すでに拡散した油はプリズム、スクリーンなどの光学系の部分にまで到達しています。これは緊急に分解洗浄をしないといけません。みなさんも不用意な注油はしないようにお願いしますね。
今回は、組立前の画像が殆どになると思います。どうやっても上手く写らないのですが、治板にはベットリと油が付着して底カバーに流れています。
フィルム室にもスプロケット軸を伝わって、油が拡散しています。これでは、フィルムにも油が付着すると思います。
スプロケットを分離してみると・・・あぁぁ・・
光学系のプリズムにも流れています。
ある意味、水没カメラと一緒ですね。本体のダイカストと前板関係を超音波洗浄にて脱脂洗浄してあります。
組立は飛ばしますよ。油まみれのシャッターユニットとシャッター幕を分離して洗浄調整をしてあります。
リターンミラーから組立てて行きますが、かなりカビが発生していますね。今回は清掃で対応します。
次は、洗浄注油をしたミラーユニットを取り付けます。
本体と前板関係は完成。
全反射ミラーの端に腐食があって、メッキが剥がれています。さて、新品と交換するか、再使用とするか・・
全反射ミラーは新品を使います。純正のミラーは腐食がなくとも反射率は低下していますね。現代の技術で作られたミラーの方が反射率は高いです。Fの場合、ミラーのセット面に短冊状の紙片が接着されている個体が多くありますが加工精度を補正してファインダー像の倒れを修正してあります。
レンズマウントのマウントバネが弱く、レンズ保持にガタつきがありますので修正をしてあります。これでメカ部は完成です。
上下カバーを取り付けてすべて完成です。油まみれから仕上げてみれば、非常にきれいな個体でしたね。1965-6月製と東京オリンピックには間に合わなかった個体。大東京祭記念1964-10-1のかっぱ君の方が年上です。そういえば、昨日が10月10日で東京オリンピックの開会式を記念して制定された体育の日。今年は14日らしいが、体育の日はやっぱり10月10日でしょう。
