ローライ35系の作業が続いていますが、あと数台かな。販売のための通常整備なので特に書くこともないと思いますから簡単にUPして行きます。この個体をパッと見て感じたことはドイツ製の#3239XXX レンズNr5326XXX ですがファインダーがシンガポール製と同じになっています。普通はドイツ製はガラス製のファインダーと思っていましたけど・・
私のノート記録によると#3252XXX Nr5491XXXがシンガポール製となっていますのでドイツ生産の最末期と言うことでしょうか。ローライ35は研究されている方が多いので、私のような只のリペアマンが断定的に無責任なことも言えませんが・・接眼部分を見てくださいね。
右側面に打痕があります。これは修正をしておきます。当初、側面のネジもドイツ製の頃ならマイナスネジでは? 付け替えかと思いましたが、両側のネジが揃っていますので、最後期には+ネジとなっていたようです。
巻上げ部分はネジのすり割りが痛んでいますので過去に分解を受けているようですが、ガラス製のファインダーを組立式のファインダーに交換されたわけでもないようです。もしそうであれば、ファインダーの清掃をしてから組み込むと思いますが、画像のようにファインダーは手が加えられた形跡はありません。透明テープの劣化具合もドイツ製の頃で整合性はあるようです。
レンズのヘリコイドグリスが抜けている以外はシャッターとレンズの状態は非常に良好でした。沈胴調整をした本体に組み込みます。
次のローライ35は#3092XXX で完全にドイツ製です。接眼部分の形が違いますね。レバーアテの欠損がありますが、その他は定番の不具合があります。気になるのは巻上げが非常に重いこと。
巻上げが重い原因の一つがレバー戻し用のコイルバネがダブルテンションが掛かっていました。なぜ強いテンションを掛けたか? 通常ではレバーが復帰しないからでしょう。
レバーが戻らない要因の一つが軸部に入る調整ワッシャーが足りないため、化粧ネジが擦れて(真鍮が露出している)抵抗になっているため。その他、ギヤの摩擦抵抗など色々な原因を取り除いて軽く巻き上げられて確実にレバーが復帰するようになりました。
メーターは作動しているのは良いですが、メーターユニット側のガラスが無くなっています。ドイツ製の頃は本物のガラスですが、透明ポリカーボネート板から切り出して接着しておきます。
シンガポールなど後期の生産機はすべて樹脂ガラスですから同じ仕様でしょう。このガラスが無いとトップカバーに付いている樹脂ガラスの接着がトップカバーから外れて脱落してしまうのです。但し、いくら硬質樹脂ガラスと言えども拭くたびにキズは付いていきますので、定期的に交換した方がスカッとして気分が良いですね。
三台目はクラシックですね。残念ながら元箱はないそうですけど、目立ったへこみや傷はないようです。皆さんはこのモデル好きですか? 私は何となく悪趣味のように感じて「プラチナ」のようなモデルの方が好きですね。まぁ、好みでしょうけどね。
全体的には劣化は少ないと思いますけど、何故か沈胴がスカスカで、レンズを下に向けるとストンと落ちてしまいます。35Sがベースですから沈胴の調整は非常に面倒です。
ローライ35は非常に整備性の良い優れた設計と感じていますが、クラシックのようにトップにホットシューを持って来るために→のような部品を後付けで追加をしたりしてあるのが好きではありません。また、メーター窓ガラスはユニット側のガラスが省略されて、その分、トップカバーガラスの厚みを厚くして1枚仕様に変更されています。
他の部分に目立つ劣化がないのに、沈胴チューブ部分のフェルトのへたりが大きいようです。手にした感触は通常のものより柔らかで密度が荒い感じ。厚みを計測すると約0.65mmです。通常の中古を計測すると約0.7mmでしたので、生産が新しいのに劣化が早いようです。フェルトの下に入る紙片で調整をしますが、紙片が厚くなると摺動の感触が固い感触になります。この不具合は、他の個体にも共通して発生している不具合かも知れません。
シャッター(レンズ)は新しいので特に問題はなく、分解清掃とグリス交換をしてあります。
∞調整後、化粧リングを接着しますが、接着面のネジ頭が従来の丸なべネジ(通常はなべ平)に変わっているので接着面が少ないです。通常35Sでは「HFT」が12時位置に来るように接着しますが、クラシックでは画像の位置に貼ります。
トップ面にホットシューが付きましたので、巻き上げレバーのストッパーは↗部分で受けるようになり、従来のレバーアテ(ダンパー)は廃止されています。
クラシックの発売は1990(平成2年)とのことですから、新しいと思っていましたが35年ほど経過しているのですね。