今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

何かありそうなPEN-FV

2013年04月06日 21時25分00秒 | インポート

Dscf045103 時計は部品待ちですので、カメラをやります。

PEN-FV #1094XXと、FVでも初期の個体ですね。ご覧のように、リターンミラーが上がったまま固着しています。作動した時も巻上げも異常に重くゴリ付いたようです。セルフタイマーレバーがお辞儀をしていますね。ちょっと変ですね。付属の40mmは分解歴があって、持病のヘリコイドガタが激しいです。何かありそうな予感がしますね。

Dscf045401 トップカバーを分離してみるとね。全反射ミラーは汎用の板から切り出したものがセットされています。しかも、カットの仕方が下手くそなので、すでに割れています。セルフタイマーも変ですね。この頃でしたら、改良前のものと思いますが、改良後のものが付いています。別の個体から交換されたので、レバーの角度が水平でない可能性もあります。

Dscf045202 リターンミラーを応急復帰させて、まずファインダーのピントを確認して見ました。結果は無限遠が出ていませんね。当初は、ミラーの張替えを疑いましたが、どうも、ホルダーごと、他の個体から移植されたようです。腐食があって、交換ご希望ですので、すべて分解をして張り替えることにします。

Dscf045203 分解のために、プリズムを分離しましたが、固着して剥れない。やっと分離しましたが、フレネルレンズが張り付いたまま。正常なら、分離しているハズです。観察すると、上端中央部がスリガラス状が透明になっている部分があります。これは、プリズム(接着剤痕)に化粧プレートを貼るため、接着剤を塗布しますが、その接着剤がマスクとフレネルレンズまで流れて接着をしてしまっています。これは工場での作業ミスです。辛うじて、マスクの視野外となっていて良品となったものか、僅かに見えている可能性もありますね。

Dscf045104 知識のある方が、部品の交換などをして、形だけ仕上げた個体ですね。こんなもんじゃしょうがないでしょ。永くお使いになりたいとのオーナーさんのご希望ですから、最初からやり直して組みますよ。いつものように、全て分解洗浄をしてモルト貼り、巻上げ部から組んで行きます。初期型の巻上げレバーユニットですので、駒数板の軸は先端が雄ねじ(ナット留め)に注意。

Dscf045302 リターンミラーは新品に張替えました。駒数ガラスは、この頃のものは古くて樹脂自体が変質崩壊したものがあって、クラックが入り、駒数文字を読み取りにくくなっていますので、うちのオリジナル部品と交換接着をします。オリジナルは、FTと供用部品のため、切りかきがありますが、FVは必要ありません。

Dscf045402 シャッターユニットのブレーキを組立しています。特に問題は無いのですが、スローガバナーは初期型で、低速が不安定な傾向にありますね。ちょっと厄介・・

Dscf045501 やはり、プリズムとフレネルレンズには接着剤がしみ込んでいます。プリズムは清掃が可能ですが、フレネルレンズはすでに接着剤の溶剤で侵されていますので、清掃は出来ません。やはりマスクから僅かに見えますね。これでよく検査を通ったものですね。抜き取り検査なのでしょうね。

Dscf045701

問題は、ミラーユニットですね。すでに、過去にも修理を試みていますが、2回テンションを掛けられた形跡があります。それによって、テンションが上がらずフリーズし易くなっているようです。最も問題は、巻上げた力を保持するためのロック爪が外れることです。これは磨耗が原因ですね。初期のユニットで使い込まれた個体に多く見られます。全体にヘロヘロな状態なんですね。良品と交換すれば、ピタッと症状は収まるのですが、簡単には交換したくないのです。

Dscf045801 ゆっくりと巻き上げた時は追従するが、早く巻上げるとロックされない。ミラーユニットは、カシメで組まれているため、これ以上は分解が出来ないのです。と言うか、ユニットカメラですから、設計の段階から故障時の対処は新品のユニットに交換することで、分解修理は考慮していないわけです。私は、このカメラで一番の肝はこの部分だと思っています。良くもまぁ考えられた作動は驚嘆します。気がつけば、私のジャンク箱には、ロックせずのユニットが溜まっています。それが全て改良前のユニットでした。概ね23万代付近が、改良後のユニットとの変更時期と思います。細かな部分で改良されていて、シボリレバーを駆動するスプリングの強化や、シャッター作動時のショックを軽減するダンパーなどが改良されています。結局、幾つかの手持ちをテストして見ましたが、確実性を重視して、作動良好な個体からの移植としました。

Dscf046002 全反射ミラーは、汎用ガラスからの切り出しがセットされていましたが、破損をしていますので、今回は純正品を使います。

Dscf046102 これで、メカ部分は完成しました。あとは、外装と小物部品の取付けです。

Dscf046203 最後に、タイマーレバーの角度を調整と付属の40mmも清掃して完了。結局、全反射ミラー、リターンミラー、駒数ガラス、ミラーユニットを交換と大手術となってしまいましたが、巻上げは、当初のフィーリングが劇的に改善して、非常に軽くスムーズになっています。稀少な1967-5月製FVの個体数を維持しましたね。


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