今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
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次も不動のPEN-F

2010年12月07日 17時30分37秒 | インポート

Dscf147843 当分PEN-Fが続きますが、この個体も#1110XXと初期の個体で分解歴がありますね。シボ革を剥離する時に工具でキズをつけていますね。私が一番気を使うことです。初期型ですからリターンミラーの先端2カ所を抑えのビスがありますが、上側はビスが付いていますが、下側はビスは無く補修塗料で埋められているようです。何でこのようになっているのでしょう? また、リターンミラー自体も貼り替えられているのではと思います。ピントの再調整をした形跡がありますので、プロの修理屋さんの作業でしょう。

Dscf148169 分離してみると・・そもそもリターンミラーは複製品に交換されていますが、ちょっと小さめなんですね。幅で0.5mmぐらい小さいのでミラーホルダーとの隙間が開いています。左側のミラー抑えとビスは付いていますが、右側はなぜかプレートが接着されてビスは省略されています。このようにした意味が分かりませんね。

Dscf148344 F系のリターンミラーの厚みは特殊で薄いものが採用されていますが、接着されているミラーは使用可能と判断しましたので再使用とします。一度抑えビスなどを分離清掃して改めて両側に取り付けて塗装の剥離を修正しておきます。ミラーサイズが小さめなため、抑えプレートが辛うじて届いているのに注意。初期以降は抑えビスは省略されますので、特に無くとも支障はありませんが・・ミラーの接着剥離事故は防げる訳です。

Dscf149023 UPが遅れてすみません。1台目のFと同じように自然故障機ではなくて、過去に分解修理歴がある個体ですが、本来分解してはいけない部分にも分解が及び、全体のバランスを崩しているのが特徴です。この個体の場合は、ギヤの逆転防止爪が何度も締め込まれてビスが壊れた状態でしたので、爪の位置が変化してギャの戻りが発生しています。本来は工場で調整の後、エポキシ接着剤で強固に緩み止めをされていますが、この個体の場合はバカネジにゴム系ネジロックを塗布してありましたので利くはずがありません。ギヤのロック位置を何度も調整している間にネジが壊れたのでしょう。余計なことは何とかです。

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ここも気になります。シャッターユニットからミラーユニットに伝達する役目のレリーズ部がグラグラで何度もピンセットでキズをつけられた形跡があります。この状態ですと、スローガバナーが利かずシャッターが高速のまま切れる可能性があります。ここも通常は分解する必要はありませんが、何が問題だったのでしょう? 観察すると薄いワッシャーが入っていません。その分、レリーズにガタが大きかったのでしょう。規定値のワッシャーを追加して組み立てをします。

Dscf148692 ブレーキは一度分解されてOリングをナイフで削った状態のものが何故か半分に切って入っていました。意味が分かりませんね??

Dscf149539 シャッターのテストをしているとね。リターンミラーが飛び出してきました。割れなくて良かったこと。接着面を観察すると、最初はエポキシ接着剤で付けてありますが、それが剥離したと見えて、そのままゴム系接着剤で付いていました。接着面がどんどん厚くなってしまいます。使われているリプロ部品や、内部の見えない部分のモルトは省略する流儀は何度も拝見したことのある眺めです。このように細かな部分の推理と修正が続いて、とても普通のオーバーホールとは言えないのが最近のFの修理です。「元々ユニットに強度が無くてしかも古く、消耗磨耗も進んでおまけに意味不明の修理を受けている」という具合ですね。これですから、徹夜でやっても終らないわけですね。

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この個体は、他にもミラーユニットの不良がありましたので、フリーズした直接的な原因は特定できません。ミラーユニットは使用による消耗が原因ですので修正をしておきましたが、他の問題は分解したことで返って状態を悪くしています。1台のカメラの中に問題点が複数存在していることで規定工数での修復を困難にしています。同時に作業をされたのかは分かりませんが、高価なリプロ部品が使われていると思うと、それに見合わない作業がある。アンバランスな個体です。初期型にはきびしい状態の個体も多くありますが、初期型のみの特徴もありますので、平均的に残して行きたいとは思うのです。この画像ですと、ピンセット先のカギバネをセットするカギ板にはまだホルダー(ダボ)はなくてプレスのお越しですね。真鍮の接眼プリズム抑えもリード線をホールドするためのスリットが設けられています。あまり意味は無いので、すぐに取り去られて只のロ穴となります。

Dscf1502951 付属の38mmはFT用の後期生産機が付いていますね。清掃をしてあります。初期型のもう一つの特徴はマウントの合わせマークです。この個体は↑のように側面にスリットを切って色入れをされています。ちょっと見にくいですしデザイン的にもアクセントが欲しいですね。そこで、その後の赤となっています。ここの所続いているFは、通常のオーバーホールで済む状態ではありませんね。新品の交換部品も無い中で手持ち部品をやり繰りしての修復作業ですから、どうしても時間が必要なのです。その点ご理解頂きたいと思うのです。


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