「ベテランのプロがO/H済み」とのふれ込みで購入したと言うPEN-FV #111160 (1967年5月製)と製造から3月の初期型です。内部に使われているユニットも改良前の初期型ですので安定性に難がある頃です。外観はきれいですが、購入直後にシャッタースピード変わらないという問題があって、空シャッターを切っているうちにリターンミラーも動かなくなったとのことで私のところに来ました。絞りレバーの停止位置が変ですね。
応急復帰をさせようとアンダーカバーを取り去ると、強い水油の臭いがします。ユニットの全体に油漬けのような状態です。当然、応急復帰も出来ません。
→のリターンミラーユニットのバネカケの停止位置が変です。これは恐らくバネが折れています。
「シャッタースピードが変わらない」ことから当初は←のコントロールレバー折れ(持病)を疑いましたが幸い折れていませんでした。しかし、ユニットは汚れて油まみれ、私には何もしていないように見えます。(油を付けた?)
シャッターユニットの問題は初期型のスローガバナーは歯車に錆が発生している状態で良くない。正しくシャッタースピードをコントロールできない原因では?
別の問題。一番上のリングナットが緩んでいるため下のブレーキカンにガタが多くなって下の↑ブレーキジクが乗り越えてしまうため巻き止が解除されない。
リターンミラーユニットのバネですが、↓孔にバネが見えません。
はい、折れていますね。恐らくシャッターユニットとの同調が崩れてダブルテンションが掛かったのでしょう。交換が必要です。
すでにUPしたはずなのに消えているので再UPします。油の浸透していたダイカストボディーを脱脂洗浄をして組み立てて行きます。
リターンミラーは再使用の予定でしたが、オーナーさんのご希望で急遽交換することになりました。よく見るとかなりひどい状態でした。
リターンミラーユニットは超音波洗浄後に点検と注油をして良品のバネを組み込みます。
で、本体に組み込みましたが、何故かシャッターユニットとリターンミラーユニットの位置関係が通常と異なり、ギヤの噛合いが適正にならない。初期型の部品間の勘合不良なのか、あるいは前板が別の個体のものなのか?? 各ユニットの組み立ては皿ネジが使われることによって組み立て位置が決まってしまい、自然に正しい位置関係となるようになっているのですが・・
セルフタイマーに問題がありましたが調整しました。作動自体はミスもなく安定して作動しています。このように過去に問題のあった個体は思わぬところで落とし穴があったりするので気が抜けません。
上下カバーを取り付けて完成。リターンミラーは新品できれいです。
初期型のユニットを使われている頃の個体ですから信頼性は高くないのと、過去の疑問のある分解で一時はジャンク? 状態とも思えましたが、このカメラが希少なFVで外観がきれいであったことが幸いして復活した状況です。修理決断のオーナーさんに感謝です。
トミーのリペイント (tomys800.sakura.ne.jp)