今日、スーパーに非常食の買出しに行きましたら、カップ麺、レトルトカレー、パンなどは棚に殆ど無い状況。母が、終戦直後の買出しと同じだ。と言ってました。夕方から計画停電の予定でしたが、何故か電気は消えなかったので作業を進めることにします。余震や放射能の恐怖。明日はガソリンや灯油が手に入るか? なにか非常時の中で生活しているようです。関係の無い地方の方々には想像は出来ないでしょうね。で、このPEN-FT #1172XXは、巻上げレバーがこの位置で固着して動かない。当然シャッターも切れないとのことで来ました。外観的には、シボ革が交換されているのが気がつきますが、内部はそれだけではないですね。パッと見て、露出メーターが基板別体タイプ。これは初期型なので交換されていても不思議は無い。しかし、セルフタイマーも変更後のタイプに交換されていますね。その他、配線は全て今風の細いリード線に交換されています。
シボ革が両面テープ接着のためシールの裏紙を貼って接着面を保護します。しかし、両面テープは数年しか持ちませんよ。ピンセット先に小さな皿ビスがあります。これは、セルフレバー部のビスだね。特に悪さはしていません。シャッターユニットを見ると・・シャッター幕と分離されていますね。それより、このシャッターは初期型のものではありません。中期(20万台)付近のユニットです。観察すると、ダイカスト本体は11万台で合っています。シャッターユニットや、中身の殆どを他の個体から移植されて作られたカメラですね。だからダメというつもりはありませんよ。オーナーさんはご存知だったのかなぁ? 言わない方が良かったかな?
全て分解・洗浄後に巻上げ関係を組み上げています。この部分は初期型のユニットのままですが、特に問題はありませんでした。次はシャッターだね。ユニット内部も分解をされた形跡がありますが、上部のレリーズ「押し板」が何やらイモ半田で付けられていますね。ちょっと怪しいなぁ・・シャッター幕も初期型のものではないので、シャッターとセットものでしょう。しかし、あまり製造時期の離れたユニットを組み合わせると、どうしても作動が安定せず、信頼性が落ちる傾向にあります。今回の故障原因では明らかな部分は見つかりませんでしたが、巻上げギヤの傘歯歯車などの磨耗が大きいように思います。その辺りのギヤの噛み合わせに原因があったかも知れません。最初から組み直して行きます。
今夕6時半過ぎから計画停電が実施されていました。ロウソクなんで何十年ぶりだろう。子供の頃は雷が落ちるとすぐに停電した。9時半に復帰したが、私の部屋は電気の暖房機しかないので毛布をかぶって震えていた。被災地の方々とは比較にならないが、東京でもみな耐えているのです。電気がついてテレビを点けたら緊急地震速報。32分ごろ銚子沖だそうだが、精神的にきついですね。
で、ユニットの寄せ集めの個体はあっちこっちつじつまが合わず、画像を撮るのを忘れてしまいました。そもそもファインダーの無限が来ていませんが、かなり調整をいじって調整個所がキズだらけですね。ミラーユニットはこのダイカスト本体のものではないのでしょう。テンションは張り気味です。基板別体タイプの露出メーターは、普通は製造が比較的新しいので感度は良いのが普通ですが、このユニットかなり低下しています。初期型ですと、接眼プリズム抑えはアルミ製のはずですが、この個体は真鍮製のしかも2本留めタイプですから中期以降の部品ですね。いろいろな部品を集めて組まれているようです。
プリズムには1点腐食がありますが、まぁ良いでしょう。フレネルレンズ、リターンミラーはきれいな方です。問題は、奥に見えるシャッターダイヤル部分。露出メーターと連動するウォームギヤが連動しない。これは、基板別体タイプのメーターユニットを使った場合、ウォームギヤの軸を受ける位置が微妙に奥で、初期型のギヤでは軸の寸法が不足するため。後期の長いタイプと交換します。
トップカバーを付けてあります。オーナーさんから「セルフタイマーのレバーがしっかり留まっていない」とのご指摘でしたが、レバー自体はこんなもので問題はありません。そこでボタンを付けようとすると、あれれ、ワッシャーが入っていますね。これは過去に何台も見た記憶があります。オークションでの購入個体だったような。正直なところ、カメラとしてはあまり良い印象はありません。確かに初期型のボタンは厚みが薄いですから、それを改善するためには簡単で悪くはないアイディアだとは思います。しかし、掛かっているネジ山が短くなるので緩みやすいのです。私は、うちのオリジナルの厚み増したボタンに替えます。
で、付属の38mmですが、分解歴ありでホコリの混入を清掃ご希望です。それは良いのですが、マウント部のスリ割りビスのスリ割りがひどいことになっていますね。これね、私に同じ事をしろと言われても出来ませんね。新品を組んでいた経験から、ビスの頭を傷つけることには特に神経を使います。この方は失礼ですけど、センスと基礎技術がないのではないですか?
裏蓋ですけどね。圧板を分離してみると・・裏側に鉛筆の修理履歴があって、それを中途半端に消していますね。圧板の裏には製造年月がありますが、初期は赤鉛筆の手書きで中期以降はゴム印の捺印になっていますので、画像から初期の圧板だと言うことが分かります。しかし、その赤字が消されています。故意かどうかは不明ですが、この文字は何と書いてあるか分かりますか? 意外に画像のほうが判読し易いのですが、トップカバーのロット№から「6-Z」であろだろうと思われます。(1966-12) 圧板の表面を清掃して取り付けます。 ↑部分に変形と塗装剥れがありますね。対応する本体にもありますから、分解時にビスを挟んだまま裏蓋を閉めたためと分かります。変形を修正してタッチアップをしておきます。
こうしてみると、初期型のボディーとしては異常と思えるくらいきれいですね。とすると、内部のユニットも殆ど消耗はしていなかったと推測しますが、それでは何故シャッターユニットなどを交換する必要があったのでしょう? 電池室(ボタン含む)も初期のものより中期以降のタイプに交換されています。初期型ボディーの心臓移植モデルというところでしょうかね。調子自体は悪くはありませんけどね。