精工舎の1953年製SUPERを入手してO/Hをしました。ホームページの「今なにしてる」にUPしましたのでご覧ください。
http://www6.ocn.ne.jp/~tomys800/sub1.html
外観の非常にきれいなPEN-FT #2216XXが来ていますが、シャッターが極端に遅く、リターンミラーの開閉もスローモーですね。画像をよ~くご覧くださいね。全体のメンテナンスを実施することに致します。
しかし、調子の悪い個体ですよ。外観はきれいで保存状態も悪くは無いと思えるのに、メカはガチャガチャな感じです。どこと言って全てが油切れのような状態。集中して作業をしていましたら画像を撮るのを忘れていました。ダイカスト、巻上げ関係とシャッターユニットを洗浄注油をして組立てています。巻上げギヤの潤滑はカラカラの状態でした。
シャッターユニットを組み込みましたので、シャッター幕保護のため裏蓋を取り付けます。モルトもやり直してあります。
新しいブレーキのOリングはすでにリングホルダーにセットしてありますが、ピンセットのOリングがこの個体にセットしてあったもの。よくよく見ると八角形にカットしてありますね。これではブレーキリングとセットしても、殆どブレーキ機能は果せないと思います。この個体のシボ革は過去に剥がされた形跡は無く、工場で組まれたままのオリジナルに見えますが、これが工場での処置とすると理由を聞いてみたいと思うのです。過去にも同様にカットされた個体を確認しています。
結局のところ使われない状態で長期に放置されていた結果だろうね。各部の磨耗劣化は少ないのです。しかし、このような履歴の個体は決まってスローガバナーにダメージがあります。各歯車が他の部品のように表面処理(メッキ)を施されていないため、錆が発生してしまうのです。精密な部分ですので、錆が発生した歯車ですとスムーズに作動しないのです。コンスタントに作動させている個体には錆は発生しません。全反射ミラーについては、オーナーさんより「交換か再使用の判断はお任せします」とのことでしたが、見難い腐食はないので再使用は可能ですが、古いミラーですので反射率は落ちています。このような場合は返って交換の判断がしにくいのです。よって、古いミラーを再使用としてあります。
F用38mmは私の判断でメンテナンスを致します。マウントを分離すると接合面には流化したグリスがべっとりと付いています。F用ですと古いですから、殆どの個体はこのような状態です。茶色のネジロックが塗布されているビスは過去に分解されてメンテナンスを受けていることが分かります。オリジナルはグレー色です。
このようにきれいな個体ですね。調子も復活していますが、スローの1/2と1秒 が不安定な場合があるのが残念なところです。完治にはスローガバナーを交換をする必要があります。