PEN-FT #2369XXという中期頃の生産機が来ています。しかも、バラバラで。ご自分で分解されていて途中で解らなくなったようです。SSでしたら分解機は修理は受けて貰えないところでしょうけど、このようにしてジャンクとして消えて行く個体が多く有りそうですので、私のところは部品の紛失や破損がなければお受けしますよ。まぁ、紛失が有っても気がつかれないでしょうけど・・
ざっと点検してみましたが、それほど悪い個体ではないと思います。というより素性は良いと見ました。慣れない方が犯しやすいミスは画像の駒数板。↓の部分が少し折れ曲がって歪んでいますね。これは、トップカバーを開けた状態で、カメラを机に逆さまに置いて底部を分解したのでしょう。すると、駒数板が圧迫されて簡単に曲がってしまうのです。これ、一度曲がると元には戻りませんから。ご自身で分解されるのはご自由なんですが、私も「今なに」で簡単に作業をしているように見えますが、実際は書けない事の方が多くて、それなりのノウハウはあるんですね。100台治して解ることもあるのです。私が鈍感なだけかも知れませんが・・
重要な部分は手を付けられていませんでしたので、ここまで、特に問題はなく組み上がっています。巻上げの感触は、中期頃の個体特有なも非常に滑らかなもので、私はこの頃の感触が好きですね。
カメラ本体側には大きな問題はありませんが、慣れない方が分解をすると、細かなところでダメージがあるものです。シンクロのリード線が本体側で断線していますが、シンクロソケットの中心の絶縁体が例によって抜けてしまい、空転してしまうのです。それでリード線の接片が外せなかったということでしょう。シンクロソケットは修理して再使用します。
この組立式のケースは良いですね。時計の分解に使いたいと思いますが、どこに売っているのでしょう? 本体は、光学系を組み込んでいますが、接眼プリズムのアイピース枠部分の劣化したモルトを几帳面に取り去ったために墨塗りが落ちてしまいましたね。ここは、モルトの接着面は残しておくのです。墨塗りの修正をしてあります。
セルフタイマーレバーも完全に分解をしてありましたが、ピンセット先の皿ビスが1個足りませんね。(2個使用) このオーナーさんは非常に丁寧に分解をして部品の分類をされる几帳面な方ですが、必ず紛失している部品はあるものです。FTで使用されているビス中で一番小さなビスですが、腕時計の部品に比べれば遥かに大きいのですけどね。多分、床のカーペットに落ちていると思いますよ。捜索する場合は、粘着テープのコロコロが一番です(掃除機はダメ)。今回は追加しておきますが。
うん、中々良いケースだこと。ダイソーには売ってないですね。もう少し上質な製品のようです。で、めでたく1台をお助け救出しました。コンディションは悪くない個体ですから、ジャンクにされたらもったいないです。今回は、ご自身でメンテナンスをされているうちにセッティングが狂ってしまい、元に戻せなくなってしまったということですが、このような事例が多くあるようでしたら、PENの修理教室などを開いてご指導も考えたいと思います。